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プロボクシングWBA世界バンタム級タイトルマッチで、井上拓真が挑戦者の堤聖也に敗れ、3度目の防衛に失敗して王座から陥落した。

激しい試合展開の中、堤が井上にダウンを奪い、判定負けとなった。

雪辱に燃える相手に敗れ、次の試練が井上に訪れることになった。

(要約)

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<8大タイトル戦>第3ラウンド、堤のパンチを受ける井上拓真(撮影・島崎忠彦) 

 

 ◇プロボクシングWBA世界バンタム級タイトルマッチ 王者 井上拓真(大橋)<12回戦>同級2位 堤聖也(角海老宝石)(2024年10月13日 東京・有明アリーナ) 

 

【写真】<8大タイトル戦>第1ラウンドに切れのある左ストレートを繰り出す井上拓真(左)とガードする堤(撮影・島崎 忠彦) 

 

 WBA世界バンタム級王者の井上拓真(28=大橋)が挑戦者・堤聖也(28=角海老宝石)に判定0―3で敗れ、3度目の防衛に失敗して王座から陥落した。第10ラウンドに微妙な判定ながらダウンを奪われ、無念の判定負けとなった。 

 

 12年ぶりの再戦で同世代の難敵に力を見せつけるはずだった。第1ラウンドから中間距離で堤を迎え撃った拓真は、切れのあるアッパーで積極的に攻撃。堤の距離で左フックに右ストレートと多彩なパンチを繰り出した。第2ラウンドに入ると堤もギアを上げる。前に出てくる相手に対してアッパーと左フックでリズムをつくった。第3ラウンドでは何度かロープ際で攻撃を受けたが、巧みなディフェンスで反撃した。 

 

 第4ラウンドでは積極的に攻めてくる堤の飛び込んでからの変則の右を被弾。効いてないとアピールしながら反撃した。そして迎えた第5ラウンド。開始早々から激しい打ち合いに。会場が大きく沸いた。そんな中で、再び変則の右を被弾。聖也コールで盛り上がる中で冷静な表情を崩さなかった。 

 

 しかし、第6ラウンドは勢いに乗る堤の圧力の前にやや劣勢に。強烈なボディーと右をもらう場面が多かったが、右のカウンターを当てるなど闘志を見せた。乱打戦となる中で第8ラウンド開始直後から堤がこの日一番のラッシュで勝負をかけてきたが、堪えながら最後は強烈な左ボディーを見舞った。 

 

 激しい展開で迎えた第10ラウンド開始1分。堤の左フックをよけながら被弾したところで足がふらついたように見えた。それをジャッジはダウンと判定。激しく抗議するもダウンは変わらず。ここから堤に猛然と向かっていった。だが最後までパンチを出し続け、前に出てきた堤と第12ラウンドまで乱打戦が続き終了のゴング。113-114、112ー115、110-117の判定0―3で敗れ無念の陥落となった。 

 

 第12ラウンド終了後は健闘を称え合い、堤と抱き合った拓真。判定がコールされると笑顔で堤に駆け寄り新チャンピオンを称えた。そして、リングを引き揚げる際には両手を顔の前で合わせファンに謝罪のポーズ。その姿の会場から大きな歓声が送られた。 

 

 雪辱に燃える相手に屈した。高校2年時に総体準決勝で判定勝ちした相手を「返り討ちにする」と宣言していたが、ベルトの防衛に失敗。世界スーパーバンタム級4団体統一王者の兄・尚弥が“仮想・堤”を務め、連日のマスボクシングで対策を重ねてきたが、挑戦者が井上兄弟の想定を上回った。 

 

 「経験では拓真の方がはるかに上。ただ堤には“人間力”がある」。挑戦者の精神的な強さを警戒していた大橋ジム・大橋秀行会長の予言が的中する形となってしまった。 

 

 次戦で同じバンタム級のWBC王者・中谷潤人(26=M・T)との統一戦を見据えていた中で、痛すぎる1敗。兄の返上したバンタム級4つのベルトの再統一を掲げていた拓真に早くも試練が訪れた。 

 

 

 
 

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