( 226519 )  2024/10/26 15:00:27  
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衆議院選挙の最終盤で自民党と公明党が過半数割れの可能性が報じられ、石破茂首相の責任問題が浮上している。

次期首相候補として、初の女性首相を狙う高市早苗氏が有力視されている。

選挙状況は自民党にとって厳しいものであり、野党との連立も予想されているが、自民党の裏金問題により連立が困難かもしれない。

選挙結果次第で動きがありそうだが、石破首相の進退や次期首相候補に注目が集まっている。

(要約)

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応援演説をする高市早苗氏=24年10月、岐阜県可児市 

 

 最終盤を迎えた衆議院選挙。ここにきて連日、自民党と公明党は「過半数割れの様相」と報道されている。各地で苦戦が続くなか、気になるのは自公で過半数割れした際の石破茂首相の責任問題だ。長年、政治取材をしてきたジャーナリストの有馬晴海氏は「石破首相の退陣は避けられない」と指摘する。気になる「次の首相」に一番近いのは、「初の女性首相」を狙う高市早苗氏との見方が有力だ。 

 

【写真】次期首相候補で高市氏の対抗馬となるのはこの人 

 

*  *  * 

 

■想像以上に強い自民党への”逆風” 

 

 大接戦を繰り広げた自民党総裁選から約1か月。早くも「次期首相」の話が上がってきた。ネットやSNSでは「石破降ろし」と表現され盛り上がりを見せているが、それほど今回の衆院選は、自民党に厳しい情勢だということだろう。  

 

 有馬氏がこう説明する。 

 

「自民候補は各地で苦戦を強いられ、情勢は芳しくありません。公示日時点で自公で過半数は獲得できそうと想定した議席は、それが難しい情勢ともみられています。のちに追認するであろう、裏金問題のため公認から外した“ステルス公認”の候補者や、無所属で出馬しているけど自民に近い候補者を合わせてみても、過半数に届かない可能性も考えられます」 

 

 そうなると、自公以外の党との連立を模索し、過半数を確保することが予想されますが、有馬氏は「自民党は想像以上に厳しい状況で、野党との連立が組めるのかも危うい」と話す。 

 

 有馬氏の見立てはこうだ。 

 

「まず、自民党が野党と連立を組むことはありえない話ではありません。自民党は、自分たちが下野しないためなら1994年の自社さ連立政権のような連立も厭わない性質を持ち合わせています。政策の近い保守系の日本維新の会、国民民主党などが候補に挙げられ、既に模索段階に入っていると思います。不足の議席にもよりますが、両党との連立すらも難しいとみています」 

 

 その理由については、 

 

「自民党の裏金問題への風当たりが想像以上に厳しいということ。選挙であれだけ批判していた野党が連立を組むには抵抗があるでしょう。国民は違和感が生じ、自民党に協力することは自滅行為になります。ただ政権入りするメリットもあります。ただ前回、議席を大幅に増やした維新は独自路線を進んでいます。与党の予算案に賛成までしていた国民民主党の方が自民党との距離は近く、可能性は高いとみます。自公で過半数にどれほど議席が不足するのかにもよりますが、野党が協力して野党政権になるのかも含めて選挙結果が出てから動きが出るでしょう。」 

 

 

■負けたらすぐに始まる「石破降ろし」 

 

 想像以上に厳しい状況の自民党。頼みの維新、国民民主党に“フラれる”と、政権維持すら難しいことになる。いずれにしても、気になるのは「石破首相の進退」だ。 

 

「本来は、この『政治とカネ』の問題で逆風に耐えている石破さんを擁護する声が党内から出てもよいはずです。しかし、石破さんが人気を得ていたのは“党内野党”という存在で、安倍晋三元首相にも正論をぶつけていたから。国民からすると、その石破さんが今度は“嘘つき自民党の先頭”になってしまったとみられている。先の支援金2000万円報道の反響もそうですが、選挙の顔に選んだ石破首相が選挙に負けると党内から責任論は出るでしょう。それでも交代論になるかは不明です。石破首相自身が退陣を表明すれば別ですが、選んだ自分たちの責任もあり総理を下すのも一苦労です。火中の栗を拾うものをすんなり決める時間の猶予もありません。今後の仕事ぶりで支持率が回復できるか、しばらく様子見になるのでしょう。 

 

と話す。選挙で負けても石破首相が首相のイスに座り続けるためには、党内で多数派工作ができればいいということか。 

 

 とはいえ、すでに始まっているとも報じられる「石破降ろし」。この点について、有馬氏はこう説明する。 

 

「自公が過半数を割った場合、石破首相をはじめ森山裕幹事長、小泉進次郎選対委員長も責任問題を問われかねません。選挙前の石破首相の非情な決断に恨みを持った人たちが、高市早苗氏やネオリーダーのもとに結集し、石破首相を引きずり降ろすチャンスを伺うことになるでしょう。党内分裂などという報道もありますが、今はそんなことを考えられる余裕がある議員は少ない。これまでの選挙では余裕を見せていた大物政治家からも『今回ばかりは(自分も)負けるかもしれない』という声をよく聞きます。それぐらい逆風が吹いています」 

 

■現実味を増す政権交代 

 

 では、「次の首相」の候補は誰になるのだろうか。 

 

 有馬氏は“野党連立政権”の現実味を指摘したうえで、こう話す。 

 

「当面は、石破総理で政権運営を行っていく方針のようです。首班指名で野田佳彦立憲民主党代表が野党統一代表として石破氏の票を上回れば、こちらが総理大臣ということになります。万が一石破総理が多数を獲れなければ自民党総裁でしかなくなりますが、次期総裁の大本命は、高市氏でしょうか。先の総裁選でも石破氏と決戦で争い、総裁選後に総務会長を打診されましたが固辞して無役の立場です。三番目得票が多かった小泉氏は現在選対委員長で石破総理とは一蓮托生です。自民党は、無役で距離を置いていた高市氏を『初の女性首相へ』と打ち上げて政権奪還に邁進するでしょう。高市氏も担虎視眈々と次を狙っているのではないでしょうか」 

 

 石破首相は、ようやく手に入れた首相の座から早くも転げ落ちようとしている。 

 

(AERA dot.編集部・小山歩) 

 

小山歩 

 

 

 
 

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