( 226849 )  2024/10/27 02:41:31  
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投資家であるおけいどん氏は、日本の経済状況を知ることが投資を始めるきっかけになると考えている。

近年の消費税や税負担、社会保険料の増加などの状況を通じて、インフレの影響が日本で進行していることを指摘している。

具体的には物価の上昇や社会保険料の増加で、同じお金で買える量が減少していることが示されている。

このインフレに対処する手段として、投資が提案されており、インフレに対する「ヘッジ」として投資を始めることが重要と強調されている。

老後への備えや将来のリスクに対応するためにも、投資を仕組み化して取り組むことが勧められている。

(要約)

( 226851 )  2024/10/27 02:41:31  
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長引く「ドル高円安・インフレ」にどう対応するか(イメージ) 

 

 人生100年時代の資産計画に、投資は欠かせない要素のひとつになりつつある。「投資は怖い」と敬遠する人には「まずは今の日本の現状を知ること」というのは配当投資家・おけいどん(桶井 道)氏。 

 

【資料】10年で大幅に円は安くなった 「ドル円為替レート10年の推移」。トイレットペーパー価格の変遷なども 

 

 高配当株・増配株を長期間保有する「ぐうたら投資」でコツコツと資産を増やし、資産1.8億円を築いたおけいどん氏は、日本に取り巻く経済環境を知ることも投資を始めるきっかけに繋がると考える。 

 

 おけいどん氏の新刊『おけいどん式「高配当株・増配株」ぐうたら投資大全』より、これから日本で起こるであろう「10の予測」のうち、後半の6~10の予測を紹介する。【前後編の後編。前編から読む】 

 

 * * * 

 

 納税は国民の義務です。それを怠ってはいけませんが、税負担が増えることは、金融資産を圧迫する要因になります。振り返ると、税負担は重くなってきています。 

 

 身近な例は消費税でしょう。30年で税率は3倍以上になりました。 

 

・1989年/平成元年 4月1日施行(竹下内閣)初の消費税導入3% 

・1997年/平成9年 4月1日施行(橋本内閣)5%へ 

・2014年/平成26年 4月1日施行(第2次安倍内閣)8%へ 

・2019年/令和元年 10月1日施行(第4次安倍内閣)10%へ(軽減税率導入) 

 

 所得税はどうでしょう。 

 

 2001年と2021年の給与所得者の税負担を比較しました。国税庁のデータによると、年収600万円以上の給与区分では所得税の負担が増しています(国税庁 民間給与実態統計調査より)。 

 

 相続税は2015年から基礎控除が引き下げられたことにより、課税対象者が増えています。 

 

 近年は、投資で得られる利益への課税強化や防衛費確保のための増税がしばしば議論になっています。今後もその傾向は続くでしょう。 

 

 社会保険とは、相互扶助の理念に基づき、病気や高齢、介護、失業、労働災害などのリスクに備えるための公的保険制度です。 

 

 社会保険には、医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つがあります。 

 

 給与所得者であれば、給与から保険料が天引きされていることが多いでしょう。事実上の税金のようなものです。前項で税負担が重くなってきたと申し上げましたが、実は社会保険料負担も重くなってきています。 

 

 被保険者負担が均一な国民年金保険料を見ると、月額保険料は、2001年から現在に至るまで3000円以上も上昇しています(日本年金機構より)。 

 

 多くの被保険者が加入している医療保険の「全国健康保険協会」、通称「協会けんぽ」の保険料率も上昇してきています。 

 

 給与から天引きされていると気づいていないかもしれませんが、これは「ステルス値上げ」のようなものですね。 

 

 

 図0-5は、ドル円の為替レート、10年の推移です。このチャートは上の方に位置していれば、ドル高円安を意味します。ここ数年で大きくドル高円安が進んだことがわかります。 

 

 日本は生活必需品の多くを輸入に依存している国です。原油や天然ガスといったエネルギー、小麦や大豆をはじめとしたたくさんの種類の食料など、私たちの身近なものは多くを輸入に頼っています。そして、ドル高円安はそれらの価格が上昇することを意味します。 

 

 輸入価格が外貨建てで変化していなかったとしても、たとえば米ドルが1ドル=100円か140円かでは、輸入に対して支払う金額は4割違うことになります。 

 

 それは最終的に購入する人の価格に反映されますから、同じものであっても価格が上昇するわけです。 

 

 近年は、買い物へ行くたびに「値段上がったなぁ」と感じるものが増えていませんか? もしくは「値段は変わらないけど、小さくなったなぁ・少なくなったなぁ」と感じることもあるでしょう。 

 

 具体的な品物の価格の変化を確認しましょう。総務省統計局が実施している「小売物価統計調査」は商品別の価格の変化を公表しています。それによると、東京都区部のカップ麺(1個78g)は2年間で約25%、しょう油(1リットル)は同22%も上昇しています。 

 

 欠かせない日用品であるトイレットペーパーも見てみましょう(図0-6)。1000mという単位なので、少し金額が大きく見えてしまうかもしれません。1巻が50m程度であれば20巻分の価格になります。2年間で約22%の上昇です。 

 

 エネルギー源として灯油(18リットル)の価格も確認しましょう。こちらも2年間で約22%上昇しています(図0-7)。 

 

 どういうことかわかりますか? 2年で20%以上の上昇をしている。これは何かを1万円で買った時に、量り売りなら2割量が減っていることを意味します。 

 

 つまり、1万円の価値が減っている=インフレーションです(以下、長いので「インフレ」と書きます)。 

 

 ですから、日本円だけを持っているとその貨幣の価値は減っていることになります。これは「何もしないリスク」「何も知らないリスク」と言えるでしょう。 

 

 一方、投資はこのインフレを「ヘッジ」できる手段です。 「ヘッジ」とは、将来起こりうるリスクの程度・具合を予測し、そのリスクに対応できるようにしておくことです。 

 

 インフレが為替レートのみで起きるとは言えませんが、たとえば米ドル建ての資産を持っておけば、その資産はドル高で上昇しますから、「ヘッジ」できるというわけです。 

 

 

 内閣府の「令和4年版高齢社会白書」によると、75歳以上の高齢者が要支援か要介護になる割合はおよそ3人に1人という統計データがあります。 

 

 注意したいのは、親は1人ではないということ。義父母も含めて4人いると想定すると、親の誰かが要介護状態になる可能性は低くないことが窺えます。 

 

 40代半ば以降に、親の介護が発生することをライフプランに加味しておくべきでしょう。 

 

 予測5で、寿命が伸びそうだと申し上げました。それは親世代も同様です。介護する確率が上がり、介護する期間が長くなる可能性も想定しておいたほうがいいかもしれません。 

 

 今や60歳でリタイアする人が少なくなってきています。60~64歳の年齢階級では7割以上の人が就業、65~69歳でも5割を超えています(総務省「労働力調査」より)。 

 

 一方、老後、自分や家族が必ずしも健康で働けるとは限らないことも想定しておくべきでしょう。運よく働けるような健康が保てたとしても、求人は限られ、希望する仕事が見つかる可能性が高いとは言えません。希望しない職種に低賃金で就かざるを得ないことも考えられます。 

 

 老後まで嫌々仕事に行くのは辛くないですか? 健康年齢のうちに老後を楽しむ人生にしたくありませんか? 

 

 これまでに申し上げてきた現状の課題を解決するのが投資です。ただやみくもに投資を始めてしまうと、逆効果。「仕組み化」が大切です。 

 

(前編記事:【予測1】~【予測5】を読む) 

 

※桶井道・著『おけいどん式「高配当株・増配株」ぐうたら投資大全』を元に一部抜粋して再構成 

 

【プロフィール】 

桶井道(おけい・どん):個人投資家(投資歴25年)・物書き。1973年生まれ。世界中の優良株・ETF等を約100銘柄保有し、高配当株および増配株を買ったら放置する「ぐうたら投資」を極めてから資産成長を加速させる。2020年に資産1億円達成すると同時に早期退職を実現、2024年にはピークで資産1.9億円に到達。最新刊は『資産1.8億円+年間配当金(手取り)240万円を実現!おけいどん式「高配当株・増配株」ぐうたら投資大全』(PHP研究所)。 

 

 

 
 

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