( 227079 )  2024/10/27 18:13:04  
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10月27日に行われる衆議院選挙では、北朝鮮による拉致事件の解決を訴える公約が複数の政党から出されている。

新潟1区には横田めぐみさんや曽我ひとみさんなどの拉致被害地が含まれており、候補者の演説でもこの問題が取り上げられる。

被害者家族や支援者は政治への期待と失望を重ね、これまでの経験を胸に論戦を見守っている。

(要約)

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拉致被害者を救う運動のシンボル「ブルーリボン」を胸に候補者の演説を聞く「曽我さん母娘を救う会」の臼木優会長=佐渡市 

 

 10月27日投開票の衆議院選挙では、複数の党が公約などで北朝鮮による拉致問題の解決を訴えている。横田めぐみさん=失踪当時(13)=、曽我ひとみさん(65)の拉致された地を含む新潟1区でも、候補者が演説で言及する場面はある。ただ、国政選挙のたびに公約に盛り込まれるが、目に見える進展はない。「本当に時間がない」。被害者家族を支える人たちは、政治への期待と失望を重ねた経験を胸に、論戦を見守った。 

 

【年表】拉致問題を巡る主な動き 

 

 「全ての拉致被害者を救出できず、大変申し訳ない」。10月18日、新潟1区に含まれる佐渡市真野地区で、ある候補者が街頭演説した。 

 

 会場は曽我さんと母ミヨシさん=失踪当時(46)=の拉致現場近く。最前列で聞いた「曽我さん母娘を救う会」の臼木優会長(74)は「今まで通りの発言。それでも言ってもらえるだけありがたい」と複雑な表情を浮かべた。 

 

 これまで、面会した多くの国会議員が「解決します」と口にした。だが、進展はない。最近では選挙で言及されても「言葉だけ」と感じてしまうことがある。 

 

 会は2002年に発足した。署名活動や救出運動のシンボルであるブルーリボンづくりを続ける。 

 

 「北朝鮮は問題を風化させたいのかもしれない。でも、絶対に諦めない」。会員で、曽我さんの同級生の菊池敬一さん(65)は力を込める。一方、政治への期待を問うと「この20年、何を発信しても(事態は)動かなかった。何かを政治に望むというより、解決を信じる」と淡々と話した。 

 

 めぐみさんらの拉致を警察庁が認定したのが1997年。2002年に北朝鮮が拉致を認め、曽我さんら5人とその家族は帰国できたが、政府認定の他の被害者12人は、今も消息すら分からない。 

 

 警察庁の認定以降、首相は13回変わった=表参照=。曽我さんは今月、石破茂首相就任の際、被害者の親世代の高齢化を踏まえ「時間との戦いであると再三再四訴えてきた」との切実なコメントを出した。 

 

 めぐみさんの母早紀江さん(88)は、小渕恵三元首相から石破首相まで、全ての首相と面会してきた。「皆同じように『必ず頑張ります』とおっしゃる」。だが、めぐみさんとの再会は実現していない。 

 

 早紀江さんを支援する「あさがおの会」(川崎市)代表の森聡美さん(62)は「被害者家族だけでなく、支援者も高齢化してギリギリの状態」と話す。 

 

 会は、早紀江さんと夫の滋さん=20年に87歳で死去=を支えるため、同じマンションの住民で03年に設立。現在約170人が登録している。 

 

 ただ「こんなに長く活動するとは思っていなかった」(森さん)。高齢による体調不良などで参加できない人が増え、写真展の開催などが難しくなっている。 

 

 森さんは「早紀江さんの様子からも、本当に時間がないと感じる。すぐにでも日朝首脳会談を断行できるような政権になってほしい」と声を強めた。 

 

 

 
 

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