( 229069 )  2024/11/01 17:37:37  
00

DeNAがソフトバンクを破り、日本シリーズ初勝利を挙げたが、フジテレビがワールドシリーズを放送していたことで日本野球機構(NPB)がフジテレビに処分を下した。

NPBはフジテレビに日本シリーズの取材パスを回収し、出入り禁止処分を課した。

NPBはフジテレビの行動を批判し、フジテレビは処分を受け入れたが、後に放送権剥奪の未遂に終わった。

NPBがフジテレビに対して来季の取材パス凍結の可能性もある。

(要約)

( 229071 )  2024/11/01 17:37:37  
00

第3戦でソフトバンクを破り、日本シリーズ初勝利を挙げたDeNA・三浦大輔監督(左から2人目)。試合はフジテレビ系列で生中継された=10月29日、みずほペイペイドーム(渋井君夫撮影) 

 

DeNAとソフトバンクが戦っているプロ野球のSMBC日本シリーズの舞台裏で、日本野球機構(NPB)がフジテレビに下した処分が波紋を広げている。フジテレビは日本シリーズと日程が重なる米大リーグのワールドシリーズ、ドジャース-ヤンキースを日本時間午前に生中継し、さらに夜のゴールデンタイムでもダイジェスト番組を放送。これに対し、NPBはフジテレビに支給した日本シリーズの取材パスを回収し、事実上の出入り禁止処分を行ったのだ。 

 

【写真】「昭和感」「ダサすぎる」…物議を醸しているドジャース優勝後に表示されたテロップ 

 

■〝裏番組〟で録画放送 

 

今回の処分に対してNPBは正式なコメントを発表していないが、球界関係者の話を総合すると、「12球団、中継局、スポンサーなどが一体となって日本プロ野球のコンテンツ価値の向上、野球ファンの裾野拡大に努めてきた中で、フジテレビのワールドシリーズに関する中継方針は、日本シリーズの価値やプロ野球を取り巻く関係者と団体が築き上げてきた信頼関係を毀損(きそん)する行為」などとして断行したとみられる。プロ野球最高峰の戦いの〝裏番組〟で、大谷人気で注目を集めるワールドシリーズをダイジェスト放送することに対し、主催者側のNPBが激怒したということだろう。 

 

世間の受け止め方はさまざまだ。取材パス剝奪の処分に対し「あまりにも理不尽だ。日本のプロ野球界が大リーグや大谷人気に畏怖を感じている裏返し。日本シリーズの裏番組で何を放送してもそれぞれの放送局の勝手だろう」との声もあれば、フジテレビの番組編成について「大谷人気に依存しすぎだ。日本シリーズに対するリスペクトがない。朝の生中継だけで十分なのでは?」と指摘する声もある。 

 

■約3時間後に撤回 

 

ただ今回の騒動をめぐっては、まだ表に出ていない事実もある。NPBは日本シリーズ第1戦当日の10月26日夕刻、井原敦事務局長名で12球団首脳を含む関係者に処分内容を示す通達を出しており、そこには「フジテレビの日本シリーズ第3戦中継を他のテレビ局に変更調整する」という文言がある。つまり、NPBは当初、取材パスの回収のみならず、フジ系列による中継が決まっていた第3戦(10月29日、みずほペイペイドーム)の放映権剝奪に踏み切るつもりだったことになる。 

 

しかし、ソフトバンクの本拠地、福岡の地元局・テレビ西日本(TNC)がフジテレビとは別会社であることに加え、第3戦が通達から3日後に迫っていた事情もあってか、「放送局の変更調整」は約3時間後に撤回された。放映権の剝奪は〝未遂〟に終わったわけだが、NPBはフジテレビに対して来季の取材パスを凍結するのでは-という情報まで早くも飛び交っている。 

 

 

■NPBは説明を 

 

NPBは12球団のオーナー会議や実行委員会の決定事項に沿ってプロ野球を運営している。このため、球界関係者からは「NPBにはオーナー会議を上回る権限があるのか?」という声も上がっている。 

 

いずれにせよ、日本シリーズの舞台裏で物議を醸したフジテレビへの処分について、NPBは会見などを開き、きちんと説明すべきだろう。こうした騒動はかえって日本シリーズのコンテンツ価値に微妙な影を落としかねないと思う。 

 

◇ 

 

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て特別客員記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。 

 

 

 
 

IMAGE