( 229859 )  2024/11/04 01:19:37  
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大阪と名古屋を移動する際、東海道新幹線が一般的な選択肢だが、近鉄特急や高速バスも根強い支持を受けている。

近鉄特急は快適で所要時間は約2時間で、運賃も新幹線より格安だ。

加えて、高速バスも価格が安く、所要時間は3時間前後だがストレスなく移動できる。

新幹線以外にも移動手段があり、利用者が増えている。

(要約)

( 229861 )  2024/11/04 01:19:37  
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 東京など他地域に住んでいる人にとって、「大阪-名古屋間の移動」は「東海道新幹線一択では?」と考えるのがふつうでしょう。 

 

【画像】「えぇぇぇぇ!」これが大阪‐名古屋を「もっと快適に”移動する方法です! 画像で見る(33枚) 

 

 新幹線「のぞみ号」を使えば、新大阪駅から名古屋駅までの所要時間はわずか49分。 

 

 並行するJR東海道本線には「新大阪駅から京都駅までは新幹線より10分遅いだけ」という、すぐれたコスパの「新快速」が走っていますが、京都駅から米原駅、乗り換えて米原駅から岐阜駅までは停車駅が増えることもあり、所要時間は3時間弱。新幹線の代替ルートと考えるには、ちょっと厳しいものがあります。 

 

 ところがその新幹線をあえて使わない、別のルートも根強い支持を集めています。 

 

 それは「近鉄特急」と「高速バス」です。 

 

近鉄特急「ひのとり」のプレミアムシート。新幹線のグリーン車よりも圧倒的に快適に移動することが可能だ 

 

 東海道新幹線が停車する新大阪駅は、大阪市内の北の端にあるため、新幹線を利用するには、市内の繁華街からJRや地下鉄での移動と乗り換えが必要です。 

 

 大阪市内のいわゆるキタ、大阪駅や梅田駅からはJR東海道本線で4分、大阪メトロ御堂筋線で6分ですが、もうひとつの繁華街であるミナミにあるなんば駅からは、御堂筋線で15分かかります。 

 

 乗り換え時間を含めると、新大阪駅で新幹線に乗るまでに、キタからは15分程度、ミナミからは25分程度かかると見ていいでしょう。 

 

 また新大阪駅から名古屋駅までのぞみ号を利用する場合、運賃は3410円ですが、特急料金が自由席で2530円、指定席なら3060円かかり、トータルで5940円から6470円になります。 

 

 じつはこうした「移動と乗り換えの手間」「費用」という新幹線の弱点をカバーできるのが。近鉄特急と高速バスなのです。 

 

 日本最大の私鉄である近鉄(近畿日本鉄道)は、大阪府、京都府、奈良県、三重県、愛知県に約500kmの路線網を有しています。 

 

 そして同社はこの路線網で、各地を結ぶ特急列車も走らせています。 

 

 そのうちのひとつ、大阪難波駅と近鉄名古屋駅を結ぶ全席指定の特急「ひのとり」および「アーバンライナー」が、じつは新幹線に代わる有力な移動手段なのです。 

 

 ひのとり、アーバンライナーは、大阪難波駅を出発すると、まず奈良線で東に進み、上本町駅からは大阪線に入って南東に進路を変えます。その後、奈良盆地を西から東に横切ると、そのまま布引山地を新青山トンネルで貫き、伊勢中川駅手前の短絡線を経由して名古屋線に入ります。その後は伊勢湾岸に沿って進み、南から名古屋市に入り、近鉄名古屋駅へと至ります。 

 

 所要時間はひのとりで2時間6分、アーバンライナーで2時間19分です。 

 

 

 これら近鉄特急の所要時間は、東海道新幹線のぞみ号の新大阪駅-名古屋駅間49分に比べ1時間以上多くなることから、太刀打ちできないのでは?と思う人がいるかもしれません。 

 

近鉄特急「ひのとり」。「くつろぎのアップグレード」をコンセプトとしている 

 

 しかし先に挙げたように、ミナミからは新大阪駅までの移動と乗り換えに25分程度かかるため、のぞみ号利用での実質的な所要時間は1時間15分程度となり、すぐ最寄りの大阪難波駅を始発とする近鉄特急との差はぐんと縮まります。 

 

 さらに運賃と特急料金の合計は、ひのとりで4990円から、アーバンライナーで4790円からと、のぞみ号よりも格安です。 

 

 そしてポイントとなるのが、移動の快適さです。 

 

「くつろぎのアップグレード」をコンセプトとしたひのとりは、レギュラーシートでもシートピッチ116cmのゆとりが特徴です。 

 

 またレギュラーシートに700円プラスして「プレミアムシート」を選べば、横3列シートの見晴らしのいいハイデッカーで、移動の時間そのものをいっそう楽しむことができます。 

 

 アーバンライナーも、プラス530円の「デラックス」は横3列の一人がけで、横5人がけの新幹線とは次元の異なる快適性を提供します。 

 

 このあたりは「新幹線よりも時間がかかること」を逆手にとった、旅のスタイルの提案であり、それが多くの利用者の支持を集めているのです。 

 

 そしてこれらの指定席券は、発車の直前まで指定席券がオンライン購入可能というのも、利便性にひと役買っています。 

 

大阪‐東京間を格安で移動するなら高速バスという手段もある。時期や時間にもよるが、2000円以下で移動することもできる 

 

※ ※ ※ 

  

 もう一方の新幹線のライバル、高速バスは、なんといっても「価格の安さ」が魅力です。 

 

 大阪駅(梅田)-名古屋駅間には、西日本JRバス、JR東海バス、名阪近鉄バス、WILLER EXPRESSなどが高速バスをひんぱんに運行しています。運賃はバス会社、購入時期によって異なりますが、2000円を大きく下回る水準で利用することも可能です。 

 

 所要時間は直行便でも3時間前後で、JR東海道本線の利用と肩を並べますが、高速バスはひんぱんに停車するストレスもなく、また乗り換えの手間もありません。このくらいの時間であれば、車内でひと眠りしているうちに到着するという感覚ではないでしょうか。 

 

 さらに変わり種として大阪駅(梅田)を22時30分に出発し、名古屋駅に5時44分に到着する夜行バス「青春大阪ドリーム名古屋」も設定されています。 

 

 途中、千里ニュータウン、京都駅、岐阜駅などを経由しますが、そのままではあまりにも早い時間に到着してしまうことから、途中のSAで長時間停車して時間調整を行います。 

 

 運賃水準は日中の高速バスよりも高めですが、早朝から1日をフルに使えること、夜間を移動にあてることで「1泊分」の宿泊費を節約できることから、満席になることも多くなっています。 

 

 このように大阪-名古屋間は、新幹線以外にも、ラグジュアリー向け、エコノミー向けの選択肢が用意されています。ふだん新幹線で移動している人も、ほかの移動手段に目を向けてみてはいかがでしょうか。 

 

植村祐介 

 

 

 
 

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