( 230909 )  2024/11/07 02:06:18  
00

アメリカ大統領選挙でトランプ氏が勝利を宣言し、支持者たちは喜びを分かち合った。

トランプ氏の再選により、バイデン政権とは異なる時代が訪れると言われている。

(要約)

( 230911 )  2024/11/07 02:06:18  
00

喜ぶトランプ氏の支持者たち(写真:Eva Marie Uzcategui) 

 

 民主党のカマラ・ハリス副大統領(60)と共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)が一騎打ちとなったアメリカの大統領選は11月6日未明(アメリカ東部時間)、AP通信がトランプ氏勝利に当確を報じた。 

 

【写真】ペンシルバニア州のレビットタウンで目立つようになったトランプ氏支持の看板 

 

 トランプ氏がホワイトハウスに返り咲くことにより、協調と民主主義を守ることを継承してきたバイデン政権とは異なる時代が訪れる。アメリカはグローバル・リーダーではなく、リーダーに知性や常識が求められた時代も終わった。 

 

■異例の”フライング勝利宣言” 

 

 トランプ氏は当確速報より3時間ほど前の6日午前2時過ぎ、南部フロリダ州ウェストパームビーチに集まった支持者らを前に早々と「勝利宣言」をした。主要メディアが「当確」を打つ前の勝利宣言は、極めて異例だ。 

 

 大歓声に包まれたトランプ氏は「第47代と第45代の大統領に選ばれたというすばらしい栄誉を国民に感謝したい」と笑みを浮かべた。 

 

 勝敗を分ける7つの激戦州のうち、AP通信は早い段階で南部ノースカロライナ州とジョージア州をトランプ氏が獲得することが確実だと報じた。激戦州のうち両候補が喉から手が出るほど「獲得」を願った北部ペンシルベニア州でも、トランプ氏が勝利した。 

 

 実は5日午前、私は話題のペンシルベニア州にあるレビットタウンにいた。リベラル派市民が圧倒的に多い大都市フィラデルフィアから東北に32キロの郊外の街だ。 

 

 都会に近いため、歴史的に民主党が勝利していた街だが、地元紙が「レビットタウンがホワイトハウス行きを決めるかも」という記事を出した。街をくまなく歩いた記者によると、かつてないほど住宅地でトランプの立て看板を見るようになったという。つまり、トランプ派が目立って増えてきたことを示す。 

 

■「ハリスが勝ったら、この世の終わり」 

 

 レビットタウン駅からUberに乗り、運転手のハリー氏に「投票に行った? トランプの看板があるね」と聞くと、「ハリスが勝ったら、この世の終わりだ」と即答してきた。 

 

 ショッピングモールで話しかけたポーラさんの一言目はこれだった。 

 

 「今朝投票したけど、国境がオープン(で不法移民が流入してくる)という問題が心配で、特にこれはこの地域で、3人のティーンエイジャーが行方不明になっているのに関係しているからなの。3人とも14歳の“アメリカ人”で、人身売買の疑いがあるの」 

 

 

 明らかに彼女はトランプ派だ。トランプ氏は「不法移民は、犯罪人だ。テロリストになって通りを闊歩している」という誤情報を繰り返し、移民政策への差別主義を煽ってきた。 

 

 投票所となっていたミル・クリーク小学校には、ひっきりなしに市民が入ってくるが、止まっていたバイクにトランプのステッカーがベタベタと張られており、トランプの立て看板がハリスの10倍ほどあった。 

 

 同校教頭のクリス・ショトル氏は、トランプ氏に投票したという。 

 

 「2人の悪者のうち、悪さが小さい方を選ぶという感じだね。トランプの発言は、正直というか、歯に衣着せぬものだ。ハリスは、バイデンの陰で、彼女が背負うものに対して準備ができていない。彼女は未知数なのに比べて、トランプがどんな人物なのか、少なくとも私たちは知っている」 

 

 レビットタウンから移動し5日夜には、私は首都ワシントンにある黒人女子の名門校、ハワード大学のキャンパスにいた。ハリス氏は同大を卒業。開票ウォッチ集会を開き、勝利すれば「勝利宣言」を行う予定だった。黒人で女性初の大統領が誕生となれば、同大ほどふさわしい場所はない。 

 

 会場には、ハリス氏の勝利宣言に用意された民主党の色、ブルー一色の巨大なステージが作られ、各所に星条旗がはためく。CNNの速報などを映し出す大スクリーンを見て、集まった学生らが一喜一憂した。 

 

■次第に静かになっていった会場 

 

 ブルーのステージに卒業生が立ち、初の女性大統領になる宣言を一目見ようと、学生らは誘い合ってキャンパスに集い、顔を紅潮させ、自撮りしていた。DJがかけるラップミュージックに合わせてグループでダンスをし、声を合わせて歌った。それが続いていた午後9時前まで、ハリス氏が勝利するのではないかと思わせる盛り上がりだった。 

 

 午後9時からCNNの速報が画面に映る。激戦州ペンシルベニア州、ミシガン州などでハリス氏のリードが伝えられ、キャーーっと歓声が上がる。逆にトランプ氏が優勢の報道には、中指を立ててブーイングがキャンパスに鳴り響いた。 

 

 午後10時、CNNは選挙人数でトランプ氏が172人、ハリス氏が82人と伝えるが、学生は「まだまだ!」と掛け声をかけて待つ。午後11時、ハリス氏が西部カリフォルニア州を獲得し、選挙人数はトランプ氏182人対145人に。 

 

 しかし、ハリス氏が少なくとも獲得すべきだとされていたペンシルベニア州、中西部ミシガン州とウィスコンシン州の結果でトランプ氏が優勢となり、会場は次第に静かになっていった。 

 

 AP通信による当確速報では、トランプ氏が獲得した選挙人が277人、ハリス氏が224人だった。MSNBCは6日午前5時ちかく、ハリス氏が同日何らかの発表をすると報じた。 

 

津山 恵子 :ジャーナリスト 

 

 

 
 

IMAGE