( 230929 )  2024/11/07 02:30:17  
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米大統領選挙でトランプ氏の勝利を受け、金融市場では「トランプ・トレード」が急増し、株価や為替市場が大きく動いた。

投資家はトランプ政権の2期目が1期目と似た政策を期待しており、株価上昇やドル高、ビットコインの最高値更新などが見られた。

トランプ政権の政策影響を受けやすいセクターは上昇し、投資家は今後の市場動向を注視している。

(要約)

( 230931 )  2024/11/07 02:30:17  
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(ブルームバーグ): 5日に投開票が行われた米大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利したことを受け、金融市場に「トランプ・トレード」が急増し、その影響を急速に広げた。 

 

米国株式は急上昇し、S&P500種株価指数先物は2.3%上昇、ドルは主要通貨に対し2020年以来の大幅上昇となった。米国債は急落し、10年物利回りはほぼ20ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇、ビットコインは過去最高値を更新した。 

 

これらの動きは、投資家がトランプ政権の2期目が1期目と似たものになると予想していることを明確に示している。減税、規制緩和、関税など、経済成長、企業収益、インフレを同時に刺激する政策が次々と打ち出されると見込まれる。 

 

トランプトレードで利益を上げてきたウォール街の人々、特に投票前夜にトランプトレードが揺らいだ際に冷静さを保った人々にとって、勝利の瞬間だ。 

 

コロンビア・スレッドニードル・インベストメントの金利ストラテジスト、エド・アルフセイニ氏は「ここ6週間トランプトレードをしてきた人にとっては素晴らしい成果だ」と述べた上で「問題は、こうした好調な展開が永遠に続くわけではないということ、そして今が利益を確定する良いタイミングなのかどうかだ」と語った。 

 

投資家からのメッセージはおおむねポジティブだが、市場の変動には厳しい警告も含まれている。 

 

米国債利回りの急上昇は、トランプ氏の政策が肥大化した米財政赤字をさらに悪化させ、政策当局がようやく沈静化させたインフレの悪循環を再燃させるのではないかという懸念を浮き彫りにしている。 

 

長期金利の指標となる10年物ブレークイーブン・レートは4月以来の高水準に上昇。ウォール街の専門用語で言えば、これは米国の政治指導者たちに支出を抑制するよう圧力をかける債券自警団の動きだ。 

 

「自警団が完全に主導権を握っている。パニックが始まり、われわれが予想していたような混乱が起こり始めている」とナットアライアンス・セキュリティーズのアンドルー・ブレナー氏は述べた。 

 

 

市場にとって重要な未解決の問題は、共和党が上院、下院、ホワイトハウスのすべてを掌握する「三冠」を達成できるかどうかだ。さらにその先には、トランプ氏が選挙戦中の公約を実際に実行するかどうかという問題がある。 

 

ピクテ・アセット・マネジメントのチーフストラテジスト、ルカ・パオリーニ氏は「今のリスクは、トランプ大統領が選挙戦中のトランプ候補とは違うかもしれないことだ」と述べた。「市場が最高値を更新している中、トランプ氏の政策が一部のセクターに大きな混乱をもたらす可能性があるため、われわれは非常に慎重になる必要がある。われわれはただ待つしかない」と付け加えた。 

 

米株市場では、トランプ政権下で恩恵を受ける可能性が高いとアナリストが予想するセクターが上昇している。化石燃料エネルギー企業、銀行、製薬会社、刑務所経営会社、小型株が、開場前の取引で上昇した。一方、トランプ政権下で苦戦を強いられると見られるセクター、例えば再生可能エネルギー関連銘柄などは下落。 

 

「最も大きな利益を得るのは、よりビジネスに適した規制環境を歓迎するセクターや業界だろう」と、フランクリン・テンプルトン・インスティテュートのチーフ市場ストラテジスト兼責任者のスティーブン・ドーバー氏は述べた。「しかし、いずれは債券利回りの上昇が株式相場上昇を抑えるかもしれない」とも指摘した。 

 

投資家が、トランプ氏を支持するイーロン・マスク氏が経営する電気自動車メーカー、テスラがトランプ氏勝利から利益を得ると予想し、テスラ株は上昇。トランプ氏のソーシャルメディア企業、トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループは一時62%上昇した。 

 

為替市場では、ドルは1年ぶりの高値を付けた後、上げを縮めた。トランプ氏はドル安支持の姿勢を示しているが、投資家は同氏の政策がインフレをあおり、利下げペースを減速させ、その結果ドル高を招くと見ている。また、同氏が称賛する関税は、米国よりも海外経済に打撃を与える可能性が高い。 

 

 

トランプ氏の貿易政策から最も影響を受けやすいと見られているメキシコ・ペソは3カ月ぶりの大幅安、中国人民元は2年で最大下落した。円とユーロも安い。 

 

ウクライナのドル建て国債は、トランプ氏がロシアとの戦争終結を早めることを公約していることから上昇。ドル高を受けて、原油、銅、金などドル建てで取引される商品は軒並み下落。 

 

最も大きく値上がりしたものの一つはビットコインで、8%以上上昇。デジタル資産を受け入れているトランプ氏が大統領になることへの期待でこのところ上昇していた。 

 

市場は今後、選挙後の動きが継続するかどうかを見極める必要がある。 

 

コロンビア・スレッドニールのアルフセイニ氏は「トランプトレードでの利益確定売りが出る一方で、底値買いも出てくるだろう。市場でどの程度のバランスになるかは、まだ分からない」と述べた。 

 

原題:From Dollar to Stocks, Trump Trade Erupts Across Markets (2)(抜粋) 

 

(c)2024 Bloomberg L.P. 

 

Michael Mackenzie, Carter Johnson 

 

 

 
 

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