( 231159 )  2024/11/07 17:16:21  
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11月1日から道交法が改正され、自転車の「スマホしながら運転」と「酒気帯び運転と同ほう助」が厳罰化される。

道交法改正による罰則は懲役や罰金などが導入され、違反者への罰則が強化される。

また、将来的に自転車にも運転免許や点数制度が導入されるべきであり、法整備が重要であるとの意見がある。

(要約)

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写真はイメージです Photo:PIXTA 

 

 11月1日の道交法改正により、自転車の「スマホしながら運転」と「酒気帯び運転と同ほう助」が厳罰化されます。が、今回も結局はポーズで終わってしまわないか、心配です。自転車にも運転免許を義務づけて、点数制度も導入すべきではないでしょうか。来年から運転免許証とマイナンバーカードが一本化されるのは、いい機会かもしれません。クルマ対自転車の事故で過失相殺が自転車に有利になること、自転車が法規を守らなかった際にクルマにも責任を負わせるような風習には、筆者は納得いきません。(モータージャーナリスト/安全運転インストラクター 諸星陽一) 

 

● 自転車「ながら運転」「酒気帯び」罰則強化 

 

 2024年11月1日に改正道路交通法が施行され、自転車の「ながら運転」と「酒気帯び運転と同ほう助」に関する罰則が強化されます。 

 

 こう書くと、今までは自転車の「ながら運転」や酒気帯び運転が、法的に許されるものだったかのように感じる方もいるかもしれませんが、現在も違反は違反です。ただ、11月1日からは特に厳しくなるというわけです。 

 

 何がどう厳しくなるのか。まず、「ながら運転」については、「自転車の運転中における携帯電話使用等(いわゆる「ながら運転」)について」と記載されています。これまで「ながら運転」に対する規制は都道府県公安委員会規則が適用されました。東京都の場合、違反した際は5万円以下の罰金が科せられます。 

 

 それが11月1日からは道路交通法による規制となり、罰則は「6カ月以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。そして、もし「ながら運転」で主に交通事故を発生させるなど、交通の危険を生じさせた場合の罰則は「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」となります。 

 

● 自転車も「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」 

 

 次に、酒気帯び運転について。酒気帯び運転の定義は「血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム以上又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコールを身体に保有する状態で運転する行為」です。このように具体的な数字を書くと、「ビールなら何杯OK?」という話を求める人がいますが、「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」が大原則です。 

 

 現行では自転車の酒気帯び運転は禁止されているものの、罰則がありません。そんなことが許されていいのか? と思う事案ですが、11月1日からはしっかりと罰則が付きます。自転車を酒気帯び運転した者は、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられます。 

 

 同様に、自転車の飲酒運転をする恐れがある者に自転車を提供し、その者が自転車の酒気帯び運転をした場合も「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。つまり飲んでいる人に自転車を貸したり売ったりした場合も、同じ罪に問われます。 

 

 また、自転車の飲酒運転をする恐れがある者に酒類を提供し、その者が自転車の酒気帯び運転をした場合は、酒類を提供した者が「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」になります。 

 

 そして、自転車の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、自転車で自分を送るよう依頼して同乗し、自転車の運転者が酒気帯び運転をした場合は、同乗者が「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」となっています。なお、そもそも自転車の2人乗りは禁止じゃないの? 2人乗り分のペナルティは加算されないの? という疑問も残りますが、これはまた別の機会にしましょう。 

 

 酒酔い運転(アルコールの影響により車両等の正常な運転ができない恐れがある状態)については以前から「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」という罰則があり、これは変わらず適用されます。 

 

 これらの違反は刑事責任が問われるものであり、いわゆる“赤切符”、国庫に納める「罰金」の対象となります。11月以降、厳しくなることは大歓迎ですが、一方で、期待外れに終わることへの危惧もあります。 

 

 というのも、今までもイヤホン装着運転や信号無視について厳しく取り締まると報道され、施行された日から1週間くらいは取り締まりをやっているのを見たり、テレビで報道されたりしました。が、今現在、自転車に乗っている人の多くがイヤホンをしていますし、信号を守らない人もいます。今回も結局はポーズで終わってしまわないか、心配です。 

 

 

● 自転車にも青切符が運用される時代が到来! 

 

 さて、そもそも自転車を対象とした取り締まりには、クルマやバイクでの軽微な違反で使われる“青切符”がないので、取り締まりが難しくなっていると言われてきました。が、ついに自転車にも青切符が運用される時代が到来します。 

 

 青切符での取り締まり対象となるのは16歳以上。違反者は、「反則金」を国庫に納めることになります。違反は、実に115項目にもわたります。バイクでの違反とほぼ同じような項目です。 

 

 中でも特に重点的に取り締まると言われているのが、信号無視、一時不停止、通行区分違反(右側通行、歩行者専用道路での付通行など)、制動装置不良(ブレーキのついていない自転車)、携帯電話を使用しながらの運転、傘を差しながらの運転、イヤホンをつけながらの運転、歩行者を妨害するような危険運転などです。なお、スマホの「ながら運転」など一部は前述した通り赤切符での対応です。 

 

 この改正道路交通法は24年5月17日に可決・成立しましたが、施行は2年以内となる26年までとなっています。今まで許されていたことを禁止するなら2年くらいの周知期間が必要でしょうが、現在も違反である内容を赤切符でなく青切符で取り締まるようになる、ということを周知するのに2年も期間が必要なのでしょうか? 筆者は甚だ疑問です。この周知期間の設け方だけで、腑抜けのような感じもします。 

 

 項目の話に戻ると、信号無視や一時不停止、通行区分違反などは、言ってしまえば自転車の場合はよくある違反行為です。というより、住宅街の一時停止場所できちんと一時停止している自転車っているのでしょうか? クルマやバイクが信号無視をしたり、一時停止をしなかったり、右側通行をしたりというのは、あまり見かけません。この観点からも、自転車の違反がいかに野放しになってきたかが分かるでしょう。 

 

● 自転車ドライバーも責任を持って法規を守ろう 

 

 自転車を運転するのに、運転免許は必要ありません。この点が、違反者が後を絶たない原因だと筆者は考えます。例えば、大型四輪免許を持っている人が原動機付自転車で違反した際には、免許の点数が減点され、一定の点数減となれば免許停止や免許取消になります。原付の違反で大型車の運転ができなくなるので、自ずと原付の運転も慎重になるでしょう。運転免許が必要な職についている人はなおさらです。 

 

 しかし、自転車で違反しても運転免許が“汚れる”ことはありません。免許の点数が減ることには慎重ですが、点数が関係ない事柄は「お金で解決できること」なので、どうしても抑止力が弱くなってしまいます。 

 

 こうしたことを防止するためにも、自転車にも運転免許の取得を義務づけて、点数制度も導入すべきではないでしょうか。運転免許取得前の減点も免許取得に不利になりますので、効果があります。幸い25年3月から運転免許証とマイナンバーカードの一本化が行われるので、自転車運転時はマイナンバーカード所持とすれば、点数制度の導入も楽ですし、取り締まり時の本人確認も正確になります。 

 

 筆者が自転車の取り締まりにこだわるのには、理由があります。自転車は交通弱者として扱われ、クルマ対自転車の事故で過失相殺が有利に設定されているからです。 

 

 法規を守った者同士での事故なら、どちらがどれだけ悪かったという過失相殺が適用されても納得がいきます。しかし、一時停止を無視して交差点に進入した自転車対クルマの事故のように、自転車が法規を守らなかった際にクルマにも責任を負わせるような風習には、筆者は納得いきません。 

 

 同じ道路を使っている者なら、同じように法規を守り責任を負う必要があるでしょう。こうした不公平感を無くすためにも法整備は重要です。クルマの取り締まりと同様に自転車も取り締まることが大事だと思います。 

 

 ただし、現在のようにクルマの一時停止に対して、警察官が隠れて取り締まっているような方法で自転車も取り締まるようなコソコソした行為はやめていただきたい。クルマにしろ自転車にしろ、一時停止で大切なのは安全確認をすることであって、止まるという行為は2番目の項目。しっかり観察すれば安全確認をしているかどうかは分かるでしょう。きちんと止まらないクルマや自転車は注意すればいいし、違反を起こしそうな場所は違反しないように警察官が目立つように立てばいいんです。 

 

諸星陽一 

 

 

 
 

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