( 232949 )  2024/11/12 17:48:35  
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11月11日の「独身の日」に中国で行われる世界最大級のネットセールが中国経済の停滞を受けて変化を遂げている。

セールの規模は巨大で、日本の年間ネット通販市場規模に匹敵する売上を稼ぎ出す。

中国企業はセールに積極参加しており、消費者行動も「背伸び消費」から「身の丈消費」へと変わりつつある。

返品率が40%に達し、商品の返品が課題となっている。

中国経済の厳しさを反映して、セールの形態も変化している。

(要約)

( 232951 )  2024/11/12 17:48:35  
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FNNプライムオンライン 

 

中国では、11月11日の「独身の日」に世界最大級のネットセールが行われている。中国経済の停滞を受け、大規模なセールにも異変が現れている。 

 

【画像】作業場を埋めつくす返品された商品 

 

11月11日は、1が並ぶことから、中国では「独身の日」と呼ばれ、大規模なネットセールが行なわれる。 

 

その規模は世界最大級で、日本の年間のネット通販の市場規模(22.7兆円・2022年度)に匹敵する売上(約23兆円・2023年)を、このセール期間で稼ぎだす。2024年は例年より早くスタートした。 

 

日用品大手のSUNSTARも10年前から参戦している。 

 

SUNSTAR上海・藤下佳之副総経理: 

(売り上げが)最初の爆発よりも、持続的に伸びていく。 

 

大きな売り上げが期待できるセールだが、停滞する中国経済の影響もあり、さまざまな「変化」が生まれてきている。 

 

SUNSTAR上海・藤下佳之副総経理: 

“背伸び消費”が去年くらいから“身の丈消費”という形で、衝動買いをあまりしなくなった。(SUNSTARは) 過剰な低価格競争には参戦しない。我々の価値を伝えるということが一番大事かなと思っています。 

 

SUNSTARでも以前は売り上げを追求していたが、今はブランドイメージを広める場としての役割を重視しているという。 

 

「変化」はこんなところにもあった。 

 

中国南部の広東省・広州市にある業者では、20人以上のインフルエンサーと契約し、商品の在庫管理や発送作業を代行している。 

 

発送代行業者・謝観林社長: 

この服は、1日に5000~6000着売れます。 

 

独身の日のセールが始まると、毎日1万以上の荷物を発送するため、作業は深夜2時ごろまで続くそうだ。 

 

そんな業者には悩みのタネがあった。それは「商品の返品」だ。 

 

中国では、オーダーメイドなどの特別な商品以外は、7日以内だと理由がなくても返品が可能だ。特にセール中は、「購入特典」目当ての客が特典だけをもらって商品を返品するケースが後を絶たない。しかも、その返品の配送料は売る側の負担だ。 

 

発送代行業者・謝観林社長: 

返品率が上がっていて、今は約40%です。だいたい1日に3000~4000ほどの返品があります。 

 

アメリカの高級アパレルブランドは、約340億円を売り上げたが、返品率が95%に達したと中国メディアが報じた。 

 

中国のウェブマーケティングを行う日系企業は、次のように話す。 

 

unbot・淡路恒平主管: 

購買チャンネルも多様化している状況になるので、消費者の嗜好を見抜きつつ、効率的に投資をしていくというところがより求められるような状況になっています。 

 

今後は、「売る」だけではなく、「返品されない戦略」も必要になってきている。 

 

 

「Live News α」では、エコノミストの崔真淑(さい・ますみ)さんに話を聞いた。 

 

堤キャスター: 

恒例となった「独身の日」のセールですが、課題もあるようですね。 

 

エコノミスト・崔真淑さん: 

「独身の日」のセールはすっかり定着し、今では日本企業にとっても大きなビジネスチャンスの日となっていますが、VTRにあった「特典目当ての返品」が増えているという話は、かなり驚きました。それだけ、お財布事情が厳しい中国の方が増えているのかもしれません。 

さらに、今年の独身の日のセールは通常とは違う運営をされているのをみても、中国経済の厳しさが見えてくると思います。 

 

堤キャスター: 

経済の停滞を背景に、セールの形が変わったということでしょうか。 

 

エコノミスト・崔真淑さん: 

2024年は大手各社が2023年と比べて、セールを10日ほど早めて開始しています。しかもセール期間は過去最長で、11月中旬まで約1カ月に渡って商戦を続けているんです。もはや、お祭りムードも薄くなり、景気減速の厳しさを表しているように思います。 

もちろん中国政府もただ見守っているだけではなく、9月にこれまでにない広範囲な景気刺激策を発表しています。しかし、ネックの不動産市況回復に対する抜本的施策は出てこず、9月の最初の頃は中国株も上がり初めていましたが、10月以降は低迷しつつあります。それだけ、投資家が中国経済になかなか期待できないことを表していると思います。 

 

堤キャスター: 

中国経済の状況ですが、先行きはどうなるのでしょうか。 

 

エコノミスト・崔真淑さん: 

先行きを考える上で4つのポイントがあります。 

イギリスの経済誌「エコノミスト」は、中国は、いま4つのDに苦しんでいると報道しています。デット=地方の債務、デモグラフィック=人口減少、デフレ、そしてドナルド・トランプ氏です。 

特に目先で重要なのは、デット=中国の地方政府の債務で、一部では8兆ドルを超えるとも試算されています。これは、潜在的に中国による金融ショックのリスクが大きくなっていることを示しています。 

もちろん、中国政府は地方債務対策を発表していますが、トランプ氏による影響を考えると、このまま持ち堪えられるのか、投資家は注目しています。 

 

堤キャスター: 

経済の先行きが不透明な中で、こういった恒例のセールは、市場に対する体力測定のような位置づけとなっているのかもしれませんね。 

(「Live News α」11月11日放送分より) 

 

Live News α 

 

 

 
 

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