( 234084 )  2024/12/16 17:33:33  
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相続税に関する法律が令和6年1月1日に大幅に変更された。

これにより、生前贈与の加算期間が7年に延長されたため、贈与を行う人が増えるかもしれない。

相続税の対象は、4,800万円以上の財産や自宅などで、ほぼ全ての人が該当する。

日本の相続税は厳しいとされ、アメリカなどと比べて高い。

新法では、生前贈与には2つの方法があり、選択肢によって課税の影響が異なる。

令和6年1月1日からの改正では、相続税ポイントが亡くなるまでの贈与扱いであり、3年から7年に延長されたことが大きな変更点。

日本は財産が少なくても相続税が高いため、富裕層への課税が強化されている。

今後も税制改正に注目が必要である。

(要約)

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(画像はイメージです/PIXTA) 

 

令和6年1月1日より相続税に関する法律が大きく変わりました。これまで生前贈与の加算期間が3年のみだったところが7年に延長されたことにより、贈与を開始する人が増えたのではないでしょうか。国際税務のプロフェッショナルが解説します。 

 

日本では4,800万円以上の財産を遺すと相続税の対象になります。また自宅を持っていればそれだけで、相続税の課税対象です。 

 

ましてや生命保険も対象になるため、普通の生活を送っている人の大半が相続税の対象になります。 

 

相続税が発生する金額に関して、アメリカでは15億円以下の相続や贈与には課税されません。 

 

日本の相続税は、昔から厳しいといわれています。 

 

かつて、当時の中曽根康弘首相は在任中、イギリスのサッチャー首相から「日本の所得税率と相続税率が高すぎる。間接税を導入したらどうか」と指摘されたことがきっかけとして、間接税の売上税を導入しようとしたといわれています。 

 

サッチャー首相の発言が中曾根首相を動かし、間接税導入のきっかけになりました。売上税はとん挫しましたが昭和63年の消費税導入につながったのです。 

 

令和6年1月1日より相続税に関する新しい法律が施行されています。 

 

日本では、生前贈与を2つの方法から選ぶことができます。 

 

1つ目は「暦年課税」です。これは毎年、110万円の基礎控除を活用する方法です。110万円以下の贈与であれば課税されません。 

 

2つ目は「相続時精算課税」です。これは累積2,500万円までの贈与については贈与税がかかりませんが、それを超えた場合には一律20%分課税されます。ただし、亡くなると、今までの贈与が相続財産に合算され、相続税の対象となります。今まで納めた贈与税は相続税から差し引かれます。 

 

余命いくばくとなったり、高齢になったりすると、相続税の負担を減らすために生前贈与を使われる人は多いわけですが、そこから少しでも税金を取るための方法が贈与税です。 

 

今回の変更のポイントは亡くなるまでに行われた贈与の扱いです。 

 

3年前の贈与は相続財産に合算することになっていましたが、これが7年に延長されました。 

 

つまり、贈与をはじめてから8年は生きないと、せっかく控除枠を使って生前贈与を行ったとしても意味がなくなりました。 

 

ただし、相続時精算課税を選択した人には110万円の生前贈与は死亡時に加算されません。その意味で政府は「暦年贈与」より「相続時精算課税」を進めることになりました。まあ、わずかな節税ですが。 

 

今回の改正のきっかけは北朝鮮や中国の脅威に対する防衛費の増加だったとされています。ヨーロッパ諸国であれば、全国民で負担する消費税を増税するのが筋です。しかし、金融所得課税など日本は富裕層への課税を強化しようとしました。 

 

結果その案は通りませんでしたが、わずか4,800万円の財産しかない人にも高額な相続税は襲い掛かってきます。少しでも財産を残そうとする人間が損をする国、それが日本なのです。 

 

令和7年度の税制改正では防衛費増税をまた俎上に載せています。注目したいと思います。 

 

税理士法人奥村会計事務所 代表 

 

奥村眞吾 

 

奥村 眞吾 

 

 

 
 

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