( 234756 ) 2024/12/17 18:49:57 0 00 Photo by gettyimages
2024年7月10日、日経平均株価は史上最高値の4万2224円2銭を記録した。その一方で、8月には過去最大の暴落幅を記録し、株価乱高下の時代に突入している。インフレ時代の今、自分の資産を守り抜いていくために私たちはどのような対策をすべきなのか。NVIDIA急成長の背景や新NISAとの向き合い方を見直しながら、日本経済の未来について考えていかなくてはならない。
本連載では世界的経済アナリストのエミン・ユルマズ氏と第一生命経済研究所の永濱利廣氏が語る日本経済復活のシナリオを、『「エブリシング・バブル」リスクの深層』より一部抜粋・再編集してお届けする。
『「エブリシング・バブル」リスクの深層』連載第42回
『「インドは次の中国にはなれない」…「第三世界のリーダー」を目論むインドが“これから急失速する”納得の理由』より続く
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エミン:エミン・ユルマズ。トルコ出身のエコノミスト・グローバルストラテジスト。レディーバードキャピタル代表。1996年に国際生物学オリンピック優勝。1997年に日本に留学し東京大学理科一類合格、工学部卒業。同大学院にて生命工学修士取得。2006年野村證券に入社し、M&Aアドバイザリー業務に携わった。現在各種メディアに出演しているほか、全国のセミナーに登壇。
永濱:永濱利廣(ナガハマ トシヒロ)。第一生命経済研究所首席エコノミスト。1995年第一生命保険入社。98年より日本経済研究センター出向。2000年より第一生命経済研究所経済調査部、16年より現職。景気循環学会常務理事、衆議院調査局内閣調査室客員調査員などを務める。
永濱:私はそれこそ、日本が中国の役割を一部代替できると思っています。
エミン:私もそう思います。
永濱:私は2024年の年明けに台湾へ行ってきました。日本では台湾のTSMCの熊本工場の給料が大卒初任給で28万円とかなり高いと話題になりましたが、台湾の人に聞くと、むしろ熊本工場の給料が安くてびっくりしたと言っていました。
台湾では院卒の優秀な人材だと、社会人1年目で年収900万円くらいいくそうです。もちろん成果主義的な給与体系の影響もあるかもしれませんが。
私も驚いたのですが、主要国の工場従業員の給料を比較すると、日本の給料は韓国の3分の2程度です。円安の影響もあるとは思いますが、それにしても日本の給料は安すぎると思います。同じ人が韓国で働けば1.5倍もらえるわけですから。
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永濱:ただ逆に言えば、それくらい人件費が割安なわけです。だから日本に工場を持ってくると、コスト面では非常に有利なわけです。
かつ、日本は人材育成に力を入れはじめています。TSMC熊本工場の影響もあると思いますが、熊本大学には半導体デバイス工学課程が新設されました。また、九州各地の高専でも半導体教育を拡充しています。日本の教育現場全体を見ても、理系人材を増やそうという機運が高まっています。
これらを考えると、半導体の製造は日本が代替できる余地は広がるでしょうし、アメリカもリスク分散の面からそれに期待していると思います。
そもそも、円安はアメリカにとっても好ましくありません。日本からの輸入が増えて貿易収支が悪化しますので。にもかかわらず、アメリカがあえて円安を容認しているのは、日本が中国に代わりハイテク製品の生産拠点になることを期待している側面もあるのではないでしょうか。この動きが、日本経済復活のきっかけになると思っています。
『「トランプ当選が円安に終止符を打つ」…大統領選に振り回される日本が「アメリカに一矢報いる」驚愕の秘策とは』へ続く
永濱 利廣、エミン・ユルマズ
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