( 234884 )  2024/12/18 01:05:15  
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元自民党幹事長の二階伸康氏は衆院選で敗北し、不倫スキャンダルが発覚した。

記事によると、伸康氏は8月に不倫旅行に出かけ、不倫相手との関係を公表している。

また、父親や兄とは異なり、地元支援も得られず、厳しい状況に置かれている。

地元の政治家は伸康氏に対して失望し、世耕氏が復党すれば支部長争いになる可能性もあるとされる。

(要約)

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二階伸康氏 

 

「いや、今は何も……」 

 

 と絶句したまま、電話が切られた。 

 

 携帯電話を鳴らした相手は二階俊博元自民党幹事長の三男、二階伸康氏だ。10月の衆院選では、引退した二階元幹事長の後継者として和歌山2区から自民党公認候補として出馬したが、裏金事件で処分を受けて無所属で立候補した世耕弘成・元参院幹事長に惨敗した。 

 

 その後は捲土重来とばかりに次の選挙に向けた活動をしていたはずだが、12月16日に発売された週刊ポスト(12月27日号)が、 

 

〈二階俊博の三男伸康が10歳年下美女と隠密不倫旅行!〉 

 

 と題したスクープ記事を掲載したのだ。 

 

 記事によると、伸康氏は銀座のバーのママA子さんと親密な関係にあり、8月に2人で広島に“不倫旅行”をしていた。10月の衆院選中に石破茂首相が和歌山2区に応援演説に来た際にはA子さんも見にきていて、伸康氏が所有する和歌山市内にあるタワーマンションに宿泊したという。週刊ポストの直撃取材に、伸康氏はA子さんとの交際を認め、夫人とは離婚協議中だと答えている。 

 

 冒頭の電話は、不倫や離婚調停について伸康氏に見解を聞こうと、記者が伸康氏の携帯電話を鳴らした際のやりとりだが、一方的に切られて以降、電話はつながらなくなった。 

 

■参院くら替えを拒んでいた伸康氏だが… 

 

「これで二階王国も完全崩壊だ」 

 

 と話すのは、和歌山2区内選出のA県議だ。 

 

 A県議によると、伸康氏は落選後も和歌山2区にとどまり、地元の活動に参加したり、あいさつ回りをしたりしながら、次の衆院選でも和歌山2区の支部長として出馬を目指していた。ただ、世耕氏が参院から衆院にくら替えしたため、「空席となった参院和歌山選挙区から、来年夏の参院選で出馬してはどうか。二階家から政治家を絶やしてはいけない」という支援者も多かったという。 

 

 だが、伸康氏は、 

 

「これで引いたら世耕氏に負けたことを認めてしまう。もう一度、衆院で戦う」 

 

 と、あくまで俊博氏が長年守ってきた衆院の議席を奪い返すことを目指していたという。しかし、女性スキャンダルが噴き出たことで、厳しい情勢となった。 

 

 

■衆院選中に地元を離れて噂になっていた 

 

 伸康氏の地元のB町議はこう言う。 

 

「父親の俊博氏は、亡くなった怜子夫人と地元ではおしどり夫婦として知られていた。世耕氏も、衆院選の勝利の背景には、元参院議員で妻の林久美子さんの献身的な応援があったと言われる。一方で、伸康氏は女性スキャンダル。これは地元で、想像以上に響く。記事が出て以降、女性の有権者からは『こんな人とは思わなかった』と拒絶反応がすごい。選挙中も不倫相手と会っていたとまで書かれると言い訳できない」 

 

 伸康氏の不倫疑惑は、衆院選の時からうわさになっていたという。B町議は憤懣やるかたない様子だ。 

 

「和歌山2区が選挙区なのに、なぜか和歌山1区の和歌山市内にある、誰もが知るリゾート地のタワマンに頻繁に行っている、これは怪しいという話を何度も聞いた。衆院選中もタワーマンションに泊まっていると聞いた。伸康氏は新人候補で、他の候補の応援に入る必要もないので、選挙中は和歌山2区を一歩も出ないのは当然のこと。それが選挙区外のタワマンに出入りするのはどういうことやと不満の声があった。また、伸康氏は陣営から『奥さんはいつ和歌山2区に入るのか』と聞かれてもごまかすばかりで、『そのうち』、『落ち着いたら応援に来る』と言っていた。私も直接聞いた。それが、『体調が悪くて』とそのうち言い出した。おかしい、何か隠していると思ってたら、この記事ですわ。こんなヤツを応援していたなんて、情けない。私の支援者も伸康氏を応援してくれたが、メンツ丸つぶれや」 

 

 二階家の「王国崩壊」を思わせるこんな出来事もあった。和歌山県警は11月26日、県議の冨安民浩容疑者を逮捕した。県発注の道路工事の競争入札で、県職員をそそのかして情報を漏えいさせたという地方公務員法違反(教唆)の容疑だ。冨安容疑者は和歌山県内の道路工事に大きな影響力をもつとされていた。 

 

 A県議はこう話す。 

 

「冨安県議は当選9回。議長経験者でもあり、和歌山県の『道路族』と呼ばれるほどの力があった。力の源泉は二階家との強い関係です。衆院選で二階氏が落選して、1カ月ほどで冨安県議が逮捕された。このタイミングに二階家の落日を感じます」 

 

 

■世耕氏が復党すれば「支部長」争いに 

 

 女性スキャンダルだけでなく、伸康氏にとっては厳しい政治情勢もある。 

 

 裏金事件の処分で離党し、無所属で当選した世耕氏は、現在は無所属ながら自民党会派に所属している。当選直後の世耕氏に話を聞いた時は、 

 

「無所属ですが、一貫して自民党です。復党? そうなるかどうかはわからないが、首班指名ではもちろん、石破さんに投じますよ」 

 

 と語っていた。 

 

 衆院選で惨敗した自民・公明両党は、過半数を割って少数与党に落ち込んだ。石破政権としては1人でも多くの議員を取り込みたいところで、世耕氏の「復党」が早くもささやかれている。 

 

 やはり裏金問題で党員資格停止1年の処分を受け、無所属で衆院選を戦って議席を守った西村康稔・元経済産業相は、来年4月に自民党復党の見込みとされている。 

 

 自民党の幹部がこう話す。 

 

「過半数割れで石破政権は不安定な政権運営だ。今回の臨時国会での補正予算も国民民主党と維新の賛成でなんとか切り抜けたが、いつこの2つの党が反旗を翻すかわからない。世耕氏と西村氏という大物にはすぐにでも戻ってきてほしい。西村氏が先に復党して、間をおいて世耕氏というのは、ほぼ決まった路線だ。ただ、和歌山2区から当選した世耕氏は支部長を前提に復党したいとの思いがある。次期支部長の予定の二階伸康氏とガチンコとなる。石破首相は大きな難題を抱えることになる」 

 

 和歌山県の町村会長で、衆院選で伸康氏に出馬を促し、応援してきた九度山町の岡本章町長は渋い表情だ。 

 

「今年4月か5月から伸康氏は家庭の状況がよくなくて、離婚調停中とは聞いていた。記事を見て、彼はちょっと甘いなとは感じる。ただ、和歌山2区の新しい支部長を、引き続き伸康氏にやってもらうと県連でもほぼ合意され、年内にも決まる予定だった。そういう時にこの記事でしょう。裏があるとしか思えない」 

 

 一方、世耕氏の地元支援者は、 

「女性スキャンダルの伸康氏が支部長なんてありえない。世耕氏が自民党に戻ったなら、当然、支部長です」 

 と言う。 

 

 選挙後も、二階伸康氏と世耕氏の「戦争」は続いている。 

 

(AERA dot.編集部・今西憲之) 

 

今西憲之 

 

 

 
 

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