( 235059 )  2024/12/18 04:04:25  
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年金支給日に、高齢者たちの暮らしを取材。

物価の高騰の影響で節約が必要な状況が浮かび上がり、「何も娯楽ない」と話す人も。

年金受給者は安売り品を求めるものの、出費がかさむ現実があり、医療費などで負担が増加。

介護ヘルパーの86歳の方も現役で働き続けており、年金だけでは生活が厳しい現実が浮かび上がった。

(要約)

( 235061 )  2024/12/18 04:04:25  
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今年最後の年金支給日に密着 節約や不安…「娯楽は何もない」 86歳の介護ヘルパーも 

 

 13日が今年最後の年金の支給日でした。年金受給者の方を取材すると、物価の高騰の影響で「電気代の節約のためにエアコンはつけない」「86歳になっても働く」という切実な状況が見えてきました。 

 

 都内のスーパーでは、年金支給日に合わせて値段が上がっているコメなどを特売しています。 

 

年金受給者(77) 年金1カ月約8万円 

「この間買ったばっかりなんだけど、やっぱり(普段)3800円ぐらい。安くなってるのかな?昔はだって2000円ぐらいでもう買えたもん」 

「(Q.今いくらです?)きょう安いんじゃない?3500円ぐらい。消費税入れて」 

 

 出費はかさむものの、少しでも安いうちにとコメを購入しました。 

 

年金受給者(77)年金1カ月約8万円 

「何とか節約して無駄のないように…。来年用」 

 

年金受給者(77)年金1カ月約7万円 

「(Q.年金は月々いくらもらっている?)7万だな。(年金)7万では足らないですよ、正直言って」 

 

 特売日のチラシを見て買い物に来た、77歳の藤澤健一さんです。 

 

藤澤さん 

「大抵ね、ここに来たらこのカゴ2つはいっぱいになる」 

 

 糖尿病を患ってから、足が不自由になった藤澤さん。スーパーで買い物することが生きがいで運動の一環にもなっています。 

 

藤澤さん 

「柿を6個ぐらい買うかな」 

 

 最終的に柿8個とりんご1個を買い物カゴに入れると、足を引きずりながらゆっくり、次の売り場へいきます。 

 

藤澤さん 

「全然ない」  

 

 この日目当てだった、特売の1リットル100円のコーヒー牛乳がすでに売り切れ。藤澤さんは諦められず代わりのものを探します。 

 

藤澤さん 

「コーヒー牛乳がなかったら、何買おう?コーヒー牛乳みたいなのないかな…」 

「(Q.カフェオレとかありますけどね)この大きいやつでも、いつも夏はここを出て(店の)入り口で一本飲んでしまう」 

 

 悩んだ末に手に取ったのは、買うはずだったコーヒー牛乳の半分のサイズで、値段は19円高い119円です。他にも3日前から食べたかったという刺し身や、糖尿病のため普段は控えているスイーツなど、プチ贅沢な商品をカゴに入れレジに向かいます。 

 

 今年最後の年金支給日には、7200円ほどの食材や商品を購入しました。 

 

 

 足が不自由なため店に許可を得てスーパーのカートで荷物を運ぶ藤澤さん。直接自宅には帰らず、なぜか近所のおにぎり店へ向かいます。 

 

藤澤さん 

「(Q.ここでは何を?)柿を置いていかんと。柿とリンゴ」 

「(Q.柿とリンゴをどうする?)ここ(お店)でむいてもらって、パックに入れてもらうのよ」 

 

 藤澤さんは2年ほど前からこの店に通っています。おにぎり店の店主は、藤澤さんが身寄りもなく、身体が不自由なことを知り手助けをしているといいます。 

 

店主 

「半分だけむいて、あと半分また明日かあさってか。それでいいの?」 

 

藤澤さん 

「大丈夫だ」 

 

 藤澤さんは、家賃月およそ5万円のアパートで生活。1カ月7万円ほどの年金では、家賃と光熱費を支払うのがギリギリで、現在は貯金を取り崩して生活をしています。 

 

藤澤さん 

「食べるものは本当に高くなってる」 

「(Q.電気・ガスとか光熱費は?)やっぱり高くなっている」 

 

 寒さが厳しくなってきた今でも電気代節約のためエアコンはつけていません。 

 

藤澤さん 

「電気代ばっかり上がる。一回だけ、電気代だけで1万8000円くらい。これは電気ばっかりつけていられないなと思って」 

 

 さらに、壊れた家電も電気代節約のため、あえて修理せずそのままにしているといいます。 

 

 そんな節約生活のなかでも“年金支給日の贅沢”は欠かせません。取り出したのは糖尿病のため普段は控えているシュークリーム。1口、また1口と食べていると訪問客が。おにぎり店の店主がむいた果物を家まで届けてくれたのです。 

 

藤澤さん 

「はーい」 

「どれ?ちょっと待ってよ」 

「ありがとうね」 

 

店主 

「またあした来るね」 

 

藤澤さん 

「俺はあんたがいるから助かってるんだよ。あんたがいなかったら俺はもうこの辺りでのびてるから。栄養失調で」 

 

店主 

「またあした来るね」 

 

藤澤さん 

「ありがとね」 

 

店主 

「寒いから気を付けてね」 

 

 

 今年最後の年金。年の瀬ならではの使い方をする人もいます。 

 

年金受給者(75) 夫婦で年金1カ月約14万円 

「お年玉の前にはクリスマスもあるし」 

「(Q.お孫さんの)(クリスマスに)5000円くらい。お年玉は1万円くらい」 

 

年金受給者(78) 年金1カ月約14万円 

「孫にはね、クリスマスとかお正月とか。大金じゃないから」 

 

 聞こえてきたのは、孫へのクリスマスプレゼントやお年玉などの出費です。 

 

年金受給者(80) 夫婦で年金1カ月約20万円 

「(あさって)15日にね、行きつけの店主催でボウリング大会がある」 

 

 女性の楽しみは、年金支給日と同様に2カ月に1回開催されるボーリング大会です。大会後には打ち上げも行われました。 

 

年金受給者(80) 夫婦で年金1カ月約20万円 

「疲れたー。でも楽しかった。みんなと会話しながら体を動かして楽しいひと時だと思います」 

 

 一方、街行く高齢者からは切実な声が上がりました。 

 

年金受給者(60代) 夫婦で年金1カ月約13万円 

「これだけ物価が上がって、全部上がって、家賃とか食べ物とかって考えていくと、医者にもかからなきゃいけないから、さっさと死んじゃっていなくなった方がいいのかなと。極端に考えれば」 

 

年金受給者(70代) 年金1カ月約3万5000円 

「年金なんてもう食べられないですよ。食べていけない。無理ですよ。全然」 

 

 住民の5割以上が65歳を超える団地で暮らす高齢者を取材すると、年金生活に大きな不安を抱えていました。 

 

鈴木ハナイさん(90) 年金1カ月約14万円 

「貧乏はヤダ。だから生きていたくない。長生きしたくない」 

 

 そう話すのは、鈴木ハナイさん90歳。7年前に夫と死別し、1人で暮らしています。 

 

鈴木さん 

「(働いていた時は)住み込みだからお給料がすごく安かった」 

 

 58歳まで建設会社の社員寮で寮母として17年働いた鈴木さん。自身の厚生年金と夫の遺族年金を合わせ、ひと月あたりおよそ14万円の年金で暮らしています。前は少し貯金があったといいますが。 

 

鈴木さん 

「旦那が認知症になっちゃって。ずっと病院に3年半(1カ月で)20万円払ってたのよ、入院費を。葬式して、それで納骨したら、もう全部、お金なんか全然。ゼロになりましたよ」 

 

 家賃はおよそ1万4000円。安売りのスーパーで食材を購入するなど生活費を切り詰めてはいるものの、決して生活に余裕はないといいます。 

 

鈴木さん 

「(Q.令和4年(おととし)だと(生活費が)2万5000円くらいで収まっているんです。(今年)11月は3万8000円くらいまで上がっている)それは物価が上がってるし、野菜も高いし、何でも高い」 

 

 2年前には食費などの生活費は月2万5000円ほどでしたが、先月は1万円以上も高くなっていました。 

 

鈴木さん 

「物(の値段)が下がることないから、楽になることないよ」 

 

 さらに家計を圧迫するのが医療費。というのも、鈴木さんはこれまで膝や背骨の手術を繰り返し、今背骨には20本のボルトが入っています。 

 

鈴木さん 

「これ以上(背中を)曲げられないから。ここまで(背骨に)金具がこう入ってんだもん」 

 

 整形外科でのリハビリや痛みを緩和する針治療など、毎週のように医療ケアが必要です。また、寒いと傷が痛むため暖房は欠かせません。 

 

 医療費を捻出するため節約の日々。クローゼットの中はほとんどが30年以上前に買った服です。 

 

鈴木さん 

「みんな昔働いていた時の(服)だからね、(サイズが)入らなくなって」 

「(Q.入らなくなったらどうするんですか?)脇へね、継ぎはぎして(布を)足してるの。自分で」 

「ほらこれ。これマフラー(を再利用した)」  

 

 服は自分でリメイクし、今も大切に着ていると言います。他にもお出かけ用のポシェットは夫が使っていたネクタイを4本縫い合わせ作ったもの。節約は他にもあります。 

 

鈴木さん 

「ケアマネさんは(お風呂の介助に)週3回看護師さん入れましょうって言った。だけどお金かかるから」 

 

 ケアマネージャーから週3回の入浴介助を勧められましたが2回にとどめ、1回あたり1000円程度かかる費用を節約しています。 

 

鈴木さん 

「(Q.娯楽ってなんですか?)何も娯楽ないよ。何もないね」 

 

 

 今も現役で仕事をしている団地の住民もいます。 

 

介護ヘルパー 遠藤シマ子さん(86) 

「きょうは本当は(仕事に)行く日じゃなかったんですよ。特別」 

「(Q.じゃあちょっとお疲れ?)そう。あしたはまた1日中なんですよ」 

 

 介護ヘルパーの遠藤シマ子さんは10年前に夫を亡くし、1人暮らしです。 

 

遠藤さん 

「(Q.日が暮れてからお帰りでしたけど)(通常の)仕事はもっと遅い。午後9時20分。帰ってくるバスが。夜の。朝は7時50分で(行く)」 

 

 遠藤さんは週2回、1日12時間ほどの勤務をこなします。86歳になっても、なお働き続ける理由は…。 

 

遠藤さん 

「年金は(2カ月で)20万円切っちゃってますよ今。(ひと月だと)10万円切っちゃいますよね」 

 

 30年にわたり会計事務所などで働いた遠藤さん。国民年金だった時期もあり、ひと月あたりの年金は10万円以下だといいます。 

 

遠藤さん 

「これからね、出かけるから。モロちゃんも行くでしょ」 

 

 料理自慢の遠藤さん。この日は友人の誕生日会とあって、集まった人たちに赤飯を振る舞おうと朝から準備をしたそうです。時には自ら会を開き、20人以上に料理を振る舞うこともあるといいます。 

 

遠藤さん 

「誕生日おめでとう」 

 

友人 

「ありがとう!」 

 

遠藤さん 

「良かったね」 

 

 遠藤さんは「年金のみで暮らしていたら、人との交流を持てず、部屋に籠る生活だったのではないか」と想像します。 

 

遠藤さん 

「(Q.健康で豊かな生活は年金でできると思う?)できないですよね。できないと思う」 

 

 年金だけでは足りず、様々な工夫を凝らして生活費を工面する人もいます。 

 

 東京・足立区でカラオケ居酒屋を経営する石松さん夫妻。月の年金額は、夫婦で合わせておよそ12万円。店と自宅を兼ねた建物の家賃は月16万円ほどです。 

 

妻 彰子さん(74) 

「年金生活とはいえ、年金だけでは本当に生活できない」 

 

 店の営業は週に1回。この日は8人のお客さんが来店し、売り上げは2万5000円ほどでした。少ない収入を補うために、夫婦が始めたのが…。 

 

彰子さん 

「畑が好きだったから、主人が知り合いの人を通して借りたのね」 

 

 自宅から車で20分ほどの場所に借りた畑。およそ300坪の土地で、使用料は年間2万5000円ほど。白菜や大根、ニンニクなどを栽培し、日々の食事や店での料理にあて、出費を抑えています。畑には、こんな仲間もいます。 

 

夫 冨夫さん(78) 

「ご飯だよー!」 

 

 ニワトリおよそ40羽を飼い、卵を産ませています。 

 

冨夫さん 

「(卵は)うちで食べたり、分けてほしいという方にはお金いただいて」 

 

 ニワトリの餌(えさ)にはこんな節約が…。 

 

冨夫さん 

「卵の殻、これそば屋さんからいただいて。こっちはかつお節のだしをいただいて(エサにしている)」 

 

 夕方、畑での作業を終え、家路を急ぐ冨夫さん。 

 

冨夫さん 

「(Q.日没のタイミングですけど、いつもこれくらいまで?)そうですね。腹減って、早く夕ご飯食べたいなみたいな。どんな鍋にしようかなとかね」 

 

 この日の夕飯は、畑でとれた白菜を使った鍋。こうした手作りの野菜も、近所の人に販売し喜ばれているといいます。 

 

彰子さん 

「みんなに喜んでもらうことをすることを、自分たちの生きがいにすればいいんだよね」 

 

 高齢になっても生活費を稼ぐため仕事を続ける人は多く、千葉県に住む68歳の寺田由利子さんは3年前から高齢者向けの派遣会社に登録。 

 

 週5回、3時間半、事務や清掃の仕事で毎月の給料は10万円ほどです。2年前に亡くなった夫の遺族年金と自身の年金を合わせておよそ14万円。生活費を賄うだけでギリギリだといいます。 

 

寺田さん 

「少しでも余裕のある生活をしたい」 

 

 寺田さんはただお金のための仕事ではなく、やりがいも感じています。 

 

寺田さん 

「社会に少しでも貢献出来たらと思いますし、社会とのつながりも持てたらと思います」 

 

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年12月17日放送分より) 

 

テレビ朝日 

 

 

 
 

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