( 235411 ) 2024/12/18 20:03:02 0 00 かつて侍ジャパンで共にプレーした甲斐拓也と小林誠司がFAと人的補償で交換?(写真・日刊スポーツ/アフロ)
巨人は17日、ソフトバンクからフリーエージェントを行使していた甲斐拓也捕手(32)と契約合意したことを発表した。今季のゴールデングラブ賞捕手を失ったソフトバンクは大きな痛手だ。ただ甲斐は「Bランク」だと考えられているため、人的補償が発生する。もし巨人の28人の人的補償のプロテクトから小林誠司捕手(35)が外れた場合、ソフトバンクは甲斐の代役として指名すべきなのか。
ソフトバンクの側から見れば“甲斐ショック“と言っていい。チームの“扇の要”である正捕手の巨人への流出が決まったのだ。ソフトバンクは、引き留めのために大型契約を提示したそうだが、巨人の条件はそれを上回っていた。 育成ドラフトからソフトバンクに育てられ“世界一捕手”にまでになった甲斐にしてみれば、難しい決断だったに違いない。 球団を通じて発表したコメントにも「ホークスでの全ての経験を思い返すたびに、本当にホークスを離れていいのか、自問自答を繰り返しましたが、今回、新たな経験をすることで野球選手としての自分をもっと高めたい、という心境に至り、移籍することを決めました」との心情を綴っている。 だがFAは選手の権利。より評価の高いチームを選択するのは当然だろう。 現役時代にタイトルの獲得経験のある野球評論家の一人は「ソフトバンクにとっては、来季のペナントレースの行方さえ左右する大問題。次が育ってきているのならまだしも甲斐一人に頼りきっていた状態だっただけに、痛いとか、ダメージとかいう言葉で表現できないほどの危機的な戦力ダウンでしょう」と評した。 説明するまでもなく、甲斐はゴールデングラブ賞を7度、ベストナインを3度受賞の球界を代表する捕手。侍ジャパンでもマスクをかぶり東京五輪では、チーム最高の打率.385で金メダル獲得に貢献、大谷翔平を擁して優勝した昨年のWBCでも主戦捕手の一人として世界一を支えた。今季も102試合に先発マスクをかぶり、119試合に出場して打率.256、5本塁打、43打点の好成績を残した。 打率は2019年の.260に次ぐキャリア2番目の数字で、本塁打は昨年の10本から5本減ったが、二塁打は16本から25本に急増、これはキャリアトップの数字でずっと課題とされていた打撃面に改善が見えた。今季の盗塁阻止率は.284でリーグ5位だったが、7度目のゴールデングラブ賞を獲得するなど“甲斐キャノン”は健在だ。その甲斐が、来季のリーグ連覇、そして日本一奪還を目指すソフトバンクからいなくなる。
代わって正捕手に座る筆頭候補は、2019年のドラフト2位(東海大)の海野隆司だ。今季は大関友久、大津亮介の先発時の限定捕手として38試合に先発マスクをかぶり、51試合に出場したが、打撃成績は、打率.173、2本塁打、10打点に留まった。2番手が、2015年のドラフト3位(豊橋中央高)の谷川原健太。打撃が自慢の攻撃型捕手で。今季ファームではチーム最多の65試合で捕手を務めたが、1軍では3試合の先発出場に留まっている。 また2022年オフに横浜DeNAからFAで移籍した攻撃型捕手として嶺井博希がいるが、今季捕手としては3試合に途中出場したのみ。守備への不安は残る。 前出の評論家は、「巨人の大城、中日の木下がFAで残っているなら獲得に乗り出しただろうが、2人とも先に残留が決まっていた。残ったメンバーのままなら海野を主軸にせざるを得ないのだろうが、かなりの懸念が残る」と見ている。 甲斐の入団で出番が減るはずの巨人の大城卓三が、早々と残留を決断。また中日の木下拓哉も甲斐の決断が出る前に残留を決めた。 ただその中で捕手の補強の可能性がひとつ残っている。巨人の28人の人的補償のプロテクトから小林が外れる公算が高いのだ。小林は、今季菅野の専属捕手としてエースが登板した24試合を含む36試合に先発マスクをかぶった。その菅野のオリオールズへの移籍が決まったことと、甲斐の入団で小林が28人のプロテクトから外れる可能性は高い。 小林の今季の盗塁阻止率は.222と下がったが、強肩は健在で、阿部監督はフレーミングやブロッキング技術を含む守備力を信頼し、昨季は21試合出場に留まっていた小林の経験と守備力を買い、菅野の“女房”としての復活舞台を作った。41試合で、打率.152、1本塁打、8打点と打撃に改善は見られなかったが、犠打を7つ決めるなど7、8番打者として最低限の役割は果たした。 前出の評論家もソフトバンクは人的補償に小林を指名すべきだと主張する。 「甲斐が抜けたことで高い守備力を持つ捕手がいなくなった。たとえ打てなくとも小林の経験と守備力は魅力でしょう。トレードみたいなものだが、最大の補強ポイントが捕手になったのだから、もしプロテクトがされていなければ迷わず人的補償で指名すべき」 巨人の捕手には、23歳の山瀬慎之介がいるが、まだ経験不足。彼もプロテクトを外れていたとしても、2025年の戦いを見据えるのであれば小林だろう。 果たしてソフトバンクは“甲斐ショック"を払拭するために人的補償でどんな選択をするのだろうか。
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