( 235614 ) 2024/12/19 03:24:58 1 00 相続税の申告後、待っているのは税務調査。
調査の流れは、税務署からの通知、日程調整、事前準備、調査当日、指摘事項の回答、結果通知の6段階を踏みます。 |
( 235616 ) 2024/12/19 03:24:58 0 00 (※写真はイメージです/PIXTA)
相続税の申告書を提出したあと、気になるのはその後に待ち受けている「税務調査」。ターゲットになると9割が追徴課税を受けるといわれ、経営者としてはその流れや注意点を知っておきたいところです。そこで今回は、税務調査の具体的な流れとともに調査時に注意すべきポイントについて、税理士法人松本が解説します。
税務調査中にトイレをチェックする理由については、調査対象になるものがないか探している場合があります。たとえば、トイレの前にタオルを置いている場合に、そのタオルが調査の対象となる場合があります。
タオルには銀行や証券会社のロゴや名前が印字されていることがあり、もしその金融機関が申告書に記載されていない場合、調査官は「未申告の口座が存在するのではないか」と疑いを抱く可能性があります。
また、取引先などの情報も把握できる場合もあるので、税務調査中にトイレをチェックされてしまう場合があります。
税務調査の種類については、以下の2つが挙げられます。
・強制調査
・任意調査
それぞれの項目について解説していきます。
強制調査
強制調査とは、国税局の査察部が実施する調査のことを指します。特に大規模で悪質な脱税事案を対象として行われ、最終的には検察への告発を目的としています。
裁判所が発行する令状を取得したうえで、事前通知なしに実施されるので、調査を拒否したり、日程を変更したりすることは許されていません。しかし、実際に行われることは非常に珍しく、相当な額の脱税や悪質なケースでない限り、強制調査の対象になることはありません。
任意調査
任意調査とは、税務署が令状を取得せず、納税者の同意を得たうえで行われる税務調査のことです。
一般的な企業に対して行われる税務調査の多くは、任意調査の形式で実施されます。通常、任意調査は事前に税務署から日程の調整が行われることが多いですが、現金取引の多い事業者などでは、事前通知がなく突如として調査が行われるケースもあります。
また、調査日の都合が悪ければ、調査の日程変更を依頼することも可能です。しかし、調査を完全に拒否したり、必要な資料の提出を拒んだりすることはできないので、あらかじめ注意が必要です。
税務調査の流れについては、以下のとおりです。
・税務署から調査通知
・税務調査の日程調整
・事前準備
・調査当日
・指摘事項の回答
・税務調査の結果通知
それぞれの項目について解説していきます。
1.税務署から調査通知
税務署から税務調査の実施について事前の連絡が行われることが一般的です。電話で連絡が入ることが多いですが、連絡することは法的に義務づけられているわけではありません。
また、申告時に税理士が税務代理権限証書を添付している場合には、その税理士に対して調査の連絡が届くことになります。
2.税務調査の日程調整
税務調査は、事前に税務署から調査の日程について連絡が入ります。一般的に税務署側から調査を行う具体的な日が提示されますが、その日程に必ずしも応じる必要はありません。万が一、提示された日程で都合が悪い場合は、別の日を提案し、日程を調整することが可能です。
また、調査当日に税理士の同席を希望する場合は、事前に税理士とも日程の調整をしておくことが重要です。
3.事前準備
税務調査の日程が決まったら、まずは顧問税理士と相談し、しっかりと事前準備を進めることが大切です。準備段階では、必要な書類を揃えるのはもちろん、税務署からの質問に備えて事前にシミュレーションをしておくようにしましょう。
具体的に、税務調査で提示が求められる書類については、以下が挙げられます。
・請求書
・納品書
・領収書
・契約書
・見積書
・預貯金通帳
・総勘定元帳、仕訳帳
・議事録
・扶養控除申告書源泉徴収簿などの社会保険関連書類
特に、総勘定元帳や仕訳帳については、会計ソフトで管理されている場合が多いですが、税務調査に備えて必要に応じてあらかじめ印刷しておくことをおすすめします。
このように、税務調査に向けて事前準備をしておくことで、スムーズに調査を進めることにもつながります。
4.調査当日
指定された日に税務調査が行われます。個人事業や小規模なビジネスでは、調査にかかる日数は通常1~2日程度ですが、規模の大きな企業の場合は、調査が3~4日間にわたることもケースも少なくありません。
また、顧問税理士がいる場合、専門的な質問に対しては税理士が対応することが一般的です。しかし、取引内容などに関する質問には企業自身が直接回答する必要がある場面も出てくることがあるので、当日慌てずに回答ができるようにしっかりと準備をしておきましょう。
5.指摘事項の回答
税務調査後は、税務署から追加で質問が来たり、さらに資料の提出を求められたりすることがあります。税務署からの指摘事項については、できるだけ早く対応することが重要です。
その後、税務署からの指摘に対して回答を行ったり、必要に応じて交渉を進めたりするケースもあります。また、指摘事項の対応については、顧問税理士が行うのが一般的です。
6.税務調査の結果通知
調査結果に基づき、税務署から税務調査の通知が届きます。具体的に、税務調査の結果は、以下の3つのいずれかになります。
・申告是認:申告内容が正確で、特に問題がないと認められるケース
・修正申告:税務署からの指摘を受け入れ、企業が自主的に内容を修正して再申告するケース
・更正:納税者が修正申告を行わなかった場合に、税務署が自ら誤りを修正して課税処分を行うケース
申告是認に至らなかった場合、基本的には修正申告を行うことが求められます。
しかし、税務署の指摘に納得できない場合、修正申告をせずに税務署による更正を待つことも可能です。その場合、延滞税や過少申告加算税などが発生するリスクがあるので、対応については顧問税理士と慎重に検討するようにしましょう。
税務調査で確認されるポイントについては、以下の6つが挙げられます。
・売上や仕入金額
・期ズレ
・損金の振り分け
・領収書
・人件費
・修繕費
それぞれの項目について解説していきます。
1.売上や仕入金額
売上や仕入れ金額は、税務調査で重要な確認項目のひとつです。調査官は、売上の計上に漏れや誤りがないかを確認するため、主に預金口座の動きと帳簿や決算書の内容が一致しているかどうかを細かくチェックします。
また、税負担を減らすために、仕入金額を実際よりも多く申告する不正が行われるケースも多くあるので、税務調査官は仕入の額が正確に計上されているか、特に売上との整合性を重視します。
さらに、前年と比較して売上や仕入金額に大きな変動があった場合、その理由を問われることが多いので、合理的で分かりやすい説明ができるように準備を整えておくことが大切です。
2.期ズレ
納税額に影響を与える可能性があるので、税務調査で重要なチェックポイントとなります。期ズレとは、通常の事業年度とは異なる期間に売上や費用を計上してしまうことを指します。
基本的に、記帳は取引が実際に発生した時点で行う「発生主義」に基づいて行うのが一般的です。特に事業年度の前後での取引は慎重に扱い、正確に計上することが求められます。
3.損金の振り分け
会計上では損金として計上できるものでも、税務上では認められないケースもあるので、損金に該当するかどうか、正確に計算されているかが確認されやすい項目になります。
損金とは、法人税法において、企業が持つ資産が減少する際に生じる費用や経費、損失を指します。損金として扱われない例としては、過剰な役員報酬や法定限度を超えた接待交際費、寄付金などが挙げられます。
4.領収書
税務調査では主に決算書や帳簿の確認が行われますが、領収書も精査されるケースが多いです。たとえば、交通費の虚偽申告がないか、頻繁に利用されている飲食店の領収書が正当なものであるかどうかなどが確認されることがあります。
特に交通費は、場合によっては領収書がなくても経費として計上できることがあるので、帳簿に記載されている内容に基づいて正確に説明できる準備が重要です。また、頻繁に利用する飲食店の領収書は、私的な使用が疑われることもあるので、経費として計上する際には、その目的や取引相手との関係を明確にしておくことが求められます。
5.人件費
税務調査では、人件費が適正に計上されているかどうかを確認することが重要なポイントのひとつです。実際に、支払っていない人件費を経費として計上し、不正な節税を試みる事例があるのも事実です。
人件費の調査対象については、存在しない従業員が含まれていないことや役員への報酬や退職金の額が適正範囲を超えていないかなどが挙げられます。
税務調査では、社会保険料の支払い履歴や人件費に関する詳細な記録、さらにタイムカードや出勤簿なども確認されるので、これらの書類が一致しているかどうかを事前にチェックしておくことが大切です。また、帳簿や給与明細とタイムカードのデータに矛盾がないことを確認し、適正な管理を行うことが求められます。
6.修繕費
修繕費とは、建物や設備などの修理や補修を行った際に発生する費用のことを指します。税務調査では、修繕費が資本的支出として扱うべきものではないかどうかが確認されます。
資本的支出とは、設備の改修や改造によって、その価値を高めたり、使用できる期間を延ばしたりするための支出です。修繕費が資本的支出と判断される場合、その費用は資産として計上し、減価償却を行う必要があります。
そのため、修繕費が資本的支出に該当しないことを裏づけるための書類や説明をしっかりと準備しておくことが重要です。
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