( 236459 )  2024/12/20 17:16:15  
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ホリエモンこと堀江貴文氏が、女性コラムニストが40近くの男性がパーカーを着ることについて言及したことに対し不快感を示した。

この発言に対して、堀江氏や他の有名インフルエンサーが反発しており、SNS上で「パーカー論争」が拡散された。

一方、コラムニストの妹尾ユウカ氏は批判的な意見を述べたことで、さらに論争がエスカレートした。

服装に対する批評に対して、他人の自己表現を否定すべきではないとの考えが示されており、多様性を尊重する社会であるべきだとの意見もある。

(要約)

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(c) Adobe Stock 

 

 ホリエモンの愛称で知られる実業家・堀江貴文氏が「パーカーおじさん論争」でプンプンだ。ある女性コラムニストが「40近くになってパーカーとか着てるおじさんって結構おかしいと思う」と吐き捨てたことが発端で、人気タレントやインフルエンサーらも反発。堀江氏は「関係ない奴に悪いことみたいに言われるの普通に腹立つでしょ」と不快感を示している。経済アナリストの佐藤健太氏は「コラムニスト特有の“炎上商法”とすれば成功だろうが、一言でいえば『おまゆう』ということだ」と指弾する。 

 

 ネット上に「パーカー論争」が突如浮上した時、そのインパクトの強さからして世界的な著名人が火をつけたのかと察した。だが、震源は世界を舞台に活躍するファッションデザイナーでもモデルでも、アーティストでもなく1人の女性コラムニストだった。 

 

 コラムニストの妹尾ユウカ氏は12月6日に公開されたYouTube「新R25チャンネル」で、天野俊吉副編集長と対談。そもそも「【老害おじさん化回避】若者と絡むな、パーカー着るな。“いいおじさん”のすべて【イケオジへの道】」というタイトルからして炎上必至なのだが、妹尾氏は「40歳近くになって、パーカーを着ているおじさんはおかしい」「しかもデブじゃないですか」などと言い放った。 

 

 妹尾氏は「毒舌」で知られ、独特な恋愛観などを描いてきた“炎上系恋愛コラムニスト”だ。過去にはサッカー選手の容姿を嘲笑したり、「男は女におごって当たり前」との価値観を披露したりして物議を醸してきた。そのキャリアを見れば、妹尾氏の発言はある意味で“期待通り”なのだが、今回も例にならって「おじさん」たちを刺激したようだ。 

 

 妹尾氏は「広告代理店の人とか、何を勘違いしているのか。会社員なのにアイコンになろうとしてる大したことないおじさん」「『おじ』うんぬん以前に、いろんな自認ができていない」と舌鋒鋭く、さらに「おじ自認がある人はおじとつるんでる。おじ自認がない人は若い子とつるんでる。若い子とつるんでると若い気になっている。後輩とつるんでる人たちって同世代に相手にされてないだけ」「若い子とつるまないとおじさんになるって思う人が多いけど、逆なんです。おじさんとつるんでるおじさんを何とも思わない。若い子の村に入ってくるおじ自認のないおじさんに怒っている」と語った。 

 

 

 これに反応したのが堀江氏や「2ちゃんねる」創設者の西村博之(ひろゆき)氏らの著名インフルエンサーだ。堀江氏は「おじさんがパーカー着るなとか、若い子と交流するなとか言うのはエイジハラスメントじゃないですかね!!若い女がおじさんのことをdisるのはいいんですかね?逆はめちゃくちゃ叩かれるのに!正直めちゃくちゃ腹立ちますね。この女」と反発。ひろゆき氏も「こういうタイプの人に寄って来て欲しくないので、パーカーを着る事で両者に幸せが訪れると思うおいらです」と当てこすった。 

 

 堀江氏は「X」(旧ツイッター)だけでもフォロワー数が約365万に上り、ひろゆき氏も約258万に達しているのだから「パーカー論争」は一気に拡散された。筆者が専門としているSNSマーケティングの点から見ると、動画が公開された12月6日から同8日にかけて関連するメンションや投稿数は3倍超に急上昇していることがわかる。 

 

 センチメント(感情)分析では「着る」「可愛い」といったポジティブが圧倒的で、「いや」「おじさん」などのネガティブ反応は少数派だ。それでも妹尾氏はXに「ジジイはパーカーでフラフラすな」「ちなみにこれ『商談の際などにパーカー着てる会社員のジジイなんなん?』って話だったのが『ジジイはパーカー着るな』という形で拡散されてしまったんだけど、ジジイっつーのは先が短いから早とちりなんだな!!」と投稿し、世のオジサンたちを刺激し続けている。 

 

 Xフォロワー数が約17万8000の妹尾氏の一言から一気に拡散されたことを考えれば、“炎上商法”は大成功ということなのだろう。SNS上には「BBA VS オジサン ファイッ!」「しばらくパーカーネタで食えますねw」「売名成功おめでとう」などのコメントが寄せられている。妹尾氏は12月10日のXに「逆におかしいおじさんしか着ることが許されない、40禁パーカーが出来ました」と商品サイトのURLをつけて投稿し、コメント欄には「なーんや、今までのはステマかいな」といった声が寄せられた。 

 

 堀江氏も「結局売名なのか笑」「こんなクソ女のいう戯言を正面で受け止めてパーカーを着なくなる気の弱いおじさんが可哀想なので、代わりに俺がブチ切れれば、みんなが幸せにパーカーを堂々と着られる世の中が続くかなぁと思っただけよ」と妹尾氏の狙いを見透すようにコメントしている。 

 

 

 ただ、SNSを中心とした「パーカー論争」は芸能界にも波及し、12月14日放送のMBSラジオ「ヤングタウン土曜日」で明石家さんま氏は「こんなんが話題になってんの?訳わからん時代やパーカーもくそも『服着たらあかん』と言え。そしたら、もっと反論できんのに」と反応した。 

 

 もちろん、服装は誰がいつ、どのように着けていようが他人がとやかく言うものではない。それを否定してしまえば、多様性を受け入れる社会なんて夢のまた夢だ。公序良俗やドレスコードに反しない限り、それは時代によって変化しながらも認められるべきものである。その意味では妹尾氏が「おじさん斬り」をしても、そこにイチイチ目くじらを立てる必要はない。 

 

 逆に1人のコラムニストが言及したところで「じゃあ、パーカーを着るのはやめよう」という人がいるのであれば、それはそれで問題があるように感じる。昭和時代の価値観のように「女性はこうあるべし」「男は涙を見せてはならない」といった多様性を受け入れられない古い感覚を抱くからだ。 

 

 結局のところ、服装とは自己表現の一部であったり、単に身につけているモノだったりするわけで、それが仕事着や寝間着にもなっていたところで誰かに批判されるべきではないだろう。スーツ姿で髪型もバッチリ整えるということが好きな人もいれば、短パンとTシャツ姿で職場にやってきて仕事ができる人もいる。一見すると「だらしないな」と思われるかもしれないが、そういう人に限って実は“マイナス点”を十分に補うだけの高いスキルを持っていることもあるのだ。 

 

 キャリアを見る限り、妹尾氏の発言は堀江氏やひろゆき氏らの反応を事前に想定していたと感じる。その意味では大したインフルエンサーであり、今回の騒動で得たものもあるだろう。ただ、マジメに反応するならば「おまゆう」ということである。残念ながら古今東西、年齢を重ねない人類は存在しない。 

 

 やがて妹尾氏も「おば自認がない」と言われるかもしれない。10代から見れば、すでにそうかもしれない。その時にどう感じるのか。注視していきたい。 

 

佐藤健太 

 

 

 
 

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