( 236576 ) 2024/12/20 19:12:08 0 00 Photo by gettyimages
2024年7月10日、日経平均株価は史上最高値の4万2224円2銭を記録した。その一方で、8月には過去最大の暴落幅を記録し、株価乱高下の時代に突入している。インフレ時代の今、自分の資産を守り抜いていくために私たちはどのような対策をすべきなのか。NVIDIA急成長の背景や新NISAとの向き合い方を見直しながら、日本経済の未来について考えていかなくてはならない。
本連載では世界的経済アナリストのエミン・ユルマズ氏と第一生命経済研究所の永濱利廣氏が語る日本経済復活のシナリオを、『「エブリシング・バブル」リスクの深層』より一部抜粋・再編集してお届けする。
『「エブリシング・バブル」リスクの深層』連載第45回
『「トランプ再選は日本にとって追い風」!?…安倍元総理を失った日本がこれから迎える「光と闇」』より続く
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エミン:エミン・ユルマズ。トルコ出身のエコノミスト・グローバルストラテジスト。レディーバードキャピタル代表。1996年に国際生物学オリンピック優勝。1997年に日本に留学し東京大学理科一類合格、工学部卒業。同大学院にて生命工学修士取得。2006年野村證券に入社し、M&Aアドバイザリー業務に携わった。現在各種メディアに出演しているほか、全国のセミナーに登壇。
永濱:永濱利廣(ナガハマ トシヒロ)。第一生命経済研究所首席エコノミスト。1995年第一生命保険入社。98年より日本経済研究センター出向。2000年より第一生命経済研究所経済調査部、16年より現職。景気循環学会常務理事、衆議院調査局内閣調査室客員調査員などを務める。
永濱:トランプ再選でアメリカが国際紛争から手を引く、というシナリオをマーケットは恐れています。アメリカがウクライナ支援を減らせば、ロシアが勝利する可能性も高くなります。ただ、そうなれば「侵攻したもの勝ち」になりますから、戦争を仕掛ける国が増える観測が強まります。当然、台湾有事に対する警戒も高まるでしょう。
エミン:トランプ氏は台湾を守ると明言していません。むしろ、台湾のせいでアメリカの半導体産業が蝕まれていると、敵視するような発言さえしています。中国側が「トランプ政権は台湾を守らない」と判断し、台湾侵攻を実施する、というシナリオに現実味が出てしまうわけです。
ただし、トランプ氏の発言はあくまで有権者向けのもの。トランプ政権が現実に実施する政策はまた別だと見たほうがいいでしょう。
前回のトランプ政権時のスタッフを見ると、特に外交チームは共和党のタカ派で占められていました。次のトランプ政権でも、アメリカの「台湾を守る」方針は結局継承されると思います。
むしろ、トランプ氏がやってきそうなのは、危機に乗じて日本などにアメリカ製の兵器を売りつけてくることでしょう。前回政権時はアラブに対してたくさん武器を売っていました。
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エミン:いま日本は台湾有事を見据えて防衛予算を大幅に増やしています。ただ、予定外の円安で、海外の兵器が値上がりし、予算が足りなくなっているとか。そんな問題があっても、日本はアメリカ製の兵器をこれからもっと買うことになると思います。ミサイル防衛システムなど、日本は防衛力強化が必須ですから。
ロシアのウクライナ侵攻や、イスラエルによるガザ地区侵攻作戦を見ても、アメリカにはもう2正面作戦を遂行する力がないのは明らかです。アメリカもそれをわかっている。だから、ドイツと日本に対して、もっと軍事力を強化し、アメリカの代わりに地域の安全保障に参加しろと言っているわけです。
これはかなり昔からの流れであり、トランプ再選で加速しそうです。
永濱:日本政府も防衛力強化の方向に動いています。防衛予算の大幅増も決まりましたし、それをまかなうための防衛増税も議論されています。
NTT法改正とともに、政府が保有するNTT株を売却して防衛費にあてる動きも進んでいます。為替介入をすると為替差益が出ますが、こうした決算剰余金や特別会計からの繰り入れなども防衛費に使うという話になっています。防衛予算は確実に増えていくでしょう。
永濱 利廣、エミン・ユルマズ
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