( 238749 )  2024/12/24 16:35:35  
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iDeCo(個人型確定拠出年金)は、2025年度の税制改正で、60歳でイデコの年金払いではなく一時金を選ぶと、退職金の所得税控除の受けられる年齢が65歳から70歳に引き上げられるなど、メリットが減少する点が指摘されている。

財務省は、一部の人が利益を得る不公平さを解消するためにこうした変更を行ったと主張している。

(要約)

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財務省 

 

 資産運用で積み立てる私的年金のiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、税制優遇を受けられることがメリットになっているが、与党が発表した2025年度の税制改正大綱で「改悪」されていると、税理士ら専門家がネット上で指摘している。 

 

 60歳でイデコの年金払いではなく一時金を選ぶと、退職金がフルで所得税からの控除を受ける年齢が、65歳から70歳に引き上げられたからだ。財務省では、退職金とダブルで優遇を受けることは、一部の人だけの利益になって公平ではないと、取材に大綱の趣旨を説明している。 

 

■退職金のフル控除が、65歳から70歳に引き上げへ 

 

 所得税が非課税になる「年収103万円の壁」がどうなるかが国民の関心を集めており、24年12月20日発表の税制改正大綱では、これを123万円にする方針が明記された。国民民主党は、178万円への引き上げを求めており、改めて調整される見通しだ。 

 

 一方、大綱では、所得税について、他の点でも見直されている。 

 

 その中で、大きく注目されたのが、老後不安から関心を集めているイデコの見直しだ。 

 

 イデコは、掛け金の上限をいくつかのケースで引き上げる方向性を打ち出し、この点については、専門家からもネット上で評価された。ところが、税制優遇を後から止めるような見直しも見つかったと、税理士らからX上などで問題提起があった。 

 

 大綱の所得税項目では、「退職手当等の支払を受ける年の前年以前9年内に老齢一時金の支払を受けている場合には、当該老齢一時金等について、退職所得控除額の計算における勤続期間等の重複排除の特例の対象とする」などと書かれている。 

 

 退職金の控除を担当する財務省の税制第1課がJ-CASTニュースの取材に答えたところでは、この項目は、退職金などの支払いを受ける年を含めて10年以内に、イデコなどの老齢一時金の支払いを受けているときは、イデコなどを積み立てた勤続期間などを勘案して、それと重複する期間にかかる退職金の控除額を計算して差し引くことを指す。これは、26年以後にイデコなどの一時金支払いを受けたときから適用される。 

 

 

 これまでは、イデコで支払いを初めて受けられる60歳で、一時金を受け取ったとすると、65歳以降に退職金を受け取れば、フルに控除された。しかし、大綱によると、70歳以降に退職金を受け取らないと、フルに控除されず、控除額が減少することになる。つまり、「5年ルール」が「10年ルール」に変更されるわけだ。 

 

 こうしたことが専門家に指摘されると、イデコ利用者らから不満の声がネット上で相次いだ。 

 

「こんな後出しジャンケンされたらiDeCoに入れるの怖くなる」 

  「何十年も運用する制度なのに、ころころ制度が変わるってなんなん?」 

  「こんなもんライフプランに組み込めないやろ!」 

 

 今回、なぜルール変更を行ったのかについて、財務省の税制第1課は12月24日、あくまでも与党のとりまとめ文書で最終的な政府の方針ではないとしたうえで、次のように取材に説明した。 

 

「最近は、退職する年齢が上がって、退職金をもらう時期が遅くなっています。そんな中で、イデコの一時金を60歳で受け取るのは、本来の趣旨とは違ってきます。退職金とダブルでは優遇し過ぎていますので、イデコと退職金の控除を計算するに当たって、勤続期間などが重複しているのなら、どちらかに寄せるべきだと考えました」 

 

 イデコの「改悪」ではないかとの指摘については、こう話して理解を求めた。 

 

「65歳以降なら、イデコと退職金の控除をダブルでできる。そのようなことは、64歳までで退職せざるをえないケースに比べて、公平なんですかということです。一部の方が得をするだけになりますので、今回は、退職年齢が上がっていることに合わせて、70歳まで引き上げることにしました」 

 

(J-CASTニュース編集部 野口博之) 

 

 

 
 

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