( 239306 ) 2024/12/25 17:38:43 0 00 高速道路を走行していると、追い越し車線を走行し続けるクルマを見かけることがあります。
こうした運転は、実は交通ルールに反する行為なのです。改めて追い越し車線の通行方法について見ていきましょう。
右車線をずっと走るのは…違反?[画像はイメージです]
追い越し車線は片側2車線以上ある道路における、最も右側の車線のことを指します。これは高速道路だけでなく複数車線がある一般道路においても同様です。
この追い越し車線は、その名のとおり追い越しをする際などに一時的に通行することができる車線です。
例えば2つの車両通行帯がある場合、右側の車両通行帯は追い越しなどのために空けておき、左側の車両通行帯を通行しなければなりません。これは道路交通法第20条第1項に明記されています。
また3つ以上の車両通行帯がある場合は、最も右側は空けておき、それ以外の車両通行帯を通行することができます。
ちなみにこの場合、速度の遅いクルマが一番左側を、速度が早くなるにつれて順次右側寄りの車両通行帯を通行するというのも、教習所で習うルールのひとつです。
追い越しを行う方法については、同条3項において次のように記載されています。
「車両は、(略)追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない」
このため、追い越しを行う際は最も右側の車線を通行しなければなりませんが、同時に追い越しが終わった時は速やかにそれ以外の車両通行帯に戻る必要があります。
なお、右折する際や、道路標識などによって通行区分が指定されているとき、または道路の損壊や道路工事などによって左側の車線が通行できないとき、また緊急車両に進路を譲るためなどのやむを得ない場合は、追い越しをするため以外の目的であっても通行することができます。
とはいえ追い越し車線は一時的に通行することができる車線であり、追い越し車線をずっと走り続けることは、「通行帯違反」となります。これに該当した場合、反則金は6000円(普通車)、違反点数は1点が科される可能性があります。
この通行帯違反での検挙件数は意外と多く、内閣府の「令和5年版交通安全白書」によると、2022年に高速道路において通行帯違反で検挙された件数は、最高速度違反に次いで2番目に多かったとされています。
実際どうすればいい?[画像はイメージです]
SNSを見てみても「追い越し車線を走り続ける車両多いなあ」「道交法忘れちゃったのか?」「2km以上追い越し車線走ってるクルマいるけど...」など、通行帯違反について認識が曖昧なドライバーも少なくないことが散見されます。
とはいえ通行帯違反の取り締まりは明確な距離や時間など基準がなく、現場の警察官の判断によるため、人によって基準は異なるかもしれません。
では追い越しを行う際は、どんなポイントに気をつけたら良いのか、教習所でも習う学科教本にて振り返ってみましょう。
トヨタ名古屋教育センターが発行している教本の手順では、まず追い越しを行う前に周囲の安全を確認してから右側にウインカーを出します。
約3秒後安全を確認しつつ、最高速度の制限内で加速しながら右側に進路を取り、前のクルマの右側を安全な間隔を保ちながら通過します。
その後左側にウインカーを出し、追い越したクルマがルームミラーに映るくらいの距離までそのまま進み、進路をゆるやかに左にとり、ウインカーを戻すという手順が記載されています。
上記にあるように“追い越したクルマがルームミラーに映るくらいの距離”というのはひとつ分かりやすいポイントといえるかもしれません。
これを機に追い越しを行う際の通行方法について自身の運転を振り返ってみても良いでしょう。
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また追い越し車線を走り続ける行為は、通行帯違反だけでなく「追い付かれた車両の義務違反」に該当する可能性もあります。
道路交通法第27条では、「(略)最高速度が高い車両に追いつかれたときは、その追いついた車両が当該車両の追越しを終わるまで速度を増してはならない」と明記されています。
これに該当すれば反則金6000円(普通車)、違反点数1点が科される可能性があります。
追い越し車線だけを見ても、実にさまざまな交通違反が存在します。無知な状態でうっかり交通違反をしてしまわないよう、交通ルールをしっかり守り、安全運転を心がけましょう。
青田 海
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