( 240889 )  2024/12/28 18:02:53  
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サラリーマンの定年退職金の使い道に関する記事では、定年退職後の生活資金などを確保するために、退職金を預貯金に回す人が多いことが分かります。

一方、金子将さん(仮名・72歳)は定年退職金を全額車購入に費やし、その後の生活が苦しい状況になっています。

家賃やガソリン代で年金の半分以上を使い、今後の介護リスクにも備えることができない状況です。

金子さんは今後の不安を感じつつも、「人生は楽しむもの勝ちと思って生きてきたけど、お金がないとダメなんだな。

趣味に生きる人生の末路を教訓にしたい」と苦笑いしています。

(要約)

( 240891 )  2024/12/28 18:02:53  
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※写真はイメージです/PIXTA 

 

学校を卒業して以来、苦しいことのほうが多いであろうサラリーマン。そんな苦労のご褒美としてもらえるのが定年退職金です。一度にもらえるお金としては、おそらく人生史上最高額。何に使うかは人それぞれですが、何とも残念な使い方をする人もいるようです。 

 

金子将さん(仮名・72歳)。勤めていた会社は60歳で定年だったといいますが、人材の若返りを目指し、58歳のときに早期退職を募集。金子さんは手を挙げて、定年時の金額に上乗せして退職金を受け取ったといいます。その額、3,200万円。 

 

――2年分の給与が貰えませんが、もう十分働いたからもういいかなと思って。退職金は800万円ほど多くもらえたんじゃないかな 

 

突然始まった定年生活。家族にきちんと相談をして決めたことではなかったので、呆れられたといいます。家族の反応はさえておき、いきなり3,000万円を超えるお金が入るわけですから、相当テンションが上がったとか。 

 

――あれや、これやと退職金の使い道を考える……人生で一番幸せなときだったかもしれません(笑) 

 

一般社団法人投資信託協会『60歳代以上の投資信託等に関するアンケート調査報告書』によると、退職金の使い道で最も多かったのは「預貯金」で6割弱。多くの人が老後の生活資金を確保するために、リスクを避ける選択をしていると考えられます。 

 

 

 

【退職金使い道ランキング】 

 

1位:預貯金…59.3% 

 

2位:日常生活費への充当…25.6% 

 

3位:旅行等の趣味…21.7% 

 

4位:住宅ローンの返済…20.8% 

 

5位:資産運用のための金融商品の購入…20.3% 

 

6位:住宅のリフォーム…19.0% 

 

7位:医療費の準備…15.0% 

 

8位:子供や孫への支援…14.5% 

 

9位:その他…8.0% 

 

また「旅行等の趣味」は3位。退職後の生活を楽しむための支出も重要視し、退職後の時間を有意義に過ごしたいという思いが伝わってきます。ただランキングをみる限り、退職後の生活に対する不安や安定を求める傾向が強く、老後を前に保守的にならざるを得ない事情を垣間見ることができます。 

 

 

頑張ってきた会社員人生。そのご褒美でもある退職金の使い道から、世のサラリーマンの多くが堅実的であることが見えてきましたが、金子さんの場合はちょっと違ったようです。 

 

――昔から車が好きで。初めて車を買ってからは、3年~5年くらいで乗り換えていて……退職時点で10台くらいは乗ったかな。そこに3,000万円でしょ。それで買いたかった車を買いました 

 

車の魅力を語りだすと止まらない金子さん。趣味に浸る有意義な老後を過ごしているかと思えば、そうでもないといいます。退職後も家庭を顧みず、趣味に生きる金子さんに、ついに奥さんから離婚を突きつけられたのだとか。 

 

――どこか、奥さんは私のことを理解してくれていると思っていたんですが、単なる甘えだったようで…… 

 

元々、散財を繰り返す金子さんに愛想を尽かせていた奥さん。退職金のすべてを趣味に使ってしまったことが引き金になったといいます。結婚して35年目で離婚。自宅と700万円ほどの貯金は奥さんに譲ったものの、年金分割は請求されなかったのがせめてもの救いだったといいます。 

 

離婚後、当面の生活費を稼ぐために、アルバイトをスタートさせた金子さん。退職金で購入した車を守るために、必死だったといいます。 

 

そして72歳になった金子さん。東京・新宿区、築58年・家賃4万5,00円アパートでひとり暮らし。年金月20万円、手取りで17万円ほどで、今はアルバイトはしていないといいます。 

 

――正直いうと……ボロアパートですね(笑)。車!? ありますよ。電車で1時間ほどのところにガレージを借りています。本当はガレージハウスを借りたかったんですが断られました。年寄りには貸せないと……。 

 

ガレージは東京郊外、駅から徒歩だと40分ほどかかるところにあり、週に2、3度“会いにいく”のだとか。家賃は月5万5,000円。本当はアパート近くにガレージを借りたかったといいますが、高すぎて借りられず。それであればガレージの近くにと思いましたが、ひとり暮らしの高齢者が借りられるアパートが見つからず、今に至るといいます。 

 

年金の半分以上を家賃とガレージに費やしているほか、さらに車の維持費も。わずかに残る年金でなんとかやり過ごしているといいますが、今後、病院に通わないといけなくなったら、介護が必要になったら、とても車を維持することはできず、お別れしなくてはいけないでしょう。 

 

金子さん、趣味の車のために生きてきたともいえるような人生を振り返り、「バカみたいに散財してきましたね」と苦笑い。 

 

――人生は楽しんだもの勝ちと思って生きてきたけど、この年になるとお金がないとダメだね。車を眺めていても不安な気持ちが消えない。趣味に生きる人生の末路がこんなものだとは……過去の自分に教えてあげたいです 

 

[参考資料] 

 

一般社団法人投資信託協会『60歳代以上の投資信託等に関するアンケート調査報告書』 

 

 

 
 

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