( 241461 ) 2024/12/29 19:34:51 0 00 MBSニュース
実の娘に、常習的に性行為を強要していた父親。1審の大阪地裁は「鬼畜の所業」などと糾弾し懲役20年を言い渡しましたが、2審の大阪高裁は「量刑が重すぎる」として、1審判決を破棄。懲役15年に刑を軽くしました。
判決によりますと、56歳の被告の男は2022年3月~4月、大阪府内で娘(当時12)に性行為を強要し、複雑性心的外傷後ストレス障害(CPTSD)を負わせました。
娘は中学校入学を目前に控えていましたが、自傷行為や自殺未遂に至るほど精神状態が悪化。中学校にも通えなくなりました。
男は娘の母親(被告の当時の妻)にばれないように、自宅ではない場所で犯行に及び、泣いて抵抗する娘を説教した末に性行為を強要。
さらに、男は娘が保育園にいる時期から約6年にわたって性的虐待を継続、口止めしていました。
1審の裁判員裁判で、被告の男は起訴内容を否認し、「娘の母親が、被告と離婚するため、娘に虚偽の被害申告をさせた」などと主張しました。
2024年2月の判決で大阪地裁(田中伸一裁判長)は、「娘を道具扱いし、性欲のはけ口としか見ていない点において、卑劣で悪質極まりない犯行」「常習性が際立っており、子あるいは人に対する情愛がみられない鬼畜の所業というほかない」と、最大限の表現で糾弾。
「まだ中学生である1人の人間の人生を破壊する結果をもたらしたとみても、過大な評価ではない」「無期懲役が相当とまでは言えないとしても、生じた結果は極めて重篤であり、悪質性・常習性も際立っている」として、検察側の求刑(懲役18年)を上回る、懲役20年を言い渡していました。
その後、1審判決には事実誤認があるとして、被告側が控訴。
大阪高裁(坪井祐子裁判長)は、2024年12月24日の判決で、事実誤認の主張は退けたものの、職権で量刑について検討しました。
高裁判決は「性犯罪の中に重大な精神的被害が伴うものが少なくないことは、従来から承認されている」「1審判決は、人生を破壊する結果をもたらしたとみても過言ではないなどと説示しているが、いささか過剰な評価といわざるを得ない」などと指摘。
▽同種の事案の量刑の上限が、おおむね懲役14年~15年であることや、▽懲役20年という量刑は、虐待による傷害致死の量刑(現状では懲役16年が最も重い)もはるかに上回っている点を踏まえ、「(1審で)裁判員を含む裁判体において、被告の責任が非常に重いと判断したことは尊重されるべきで、同種事案の量刑の幅の上限、すなわち懲役15年程度で処遇することまでは許容できるとしても、これを大幅に超えることは、従来の量刑傾向から合理的な理由のない著しい乖離であり、重すぎて不当である」と判断。
1審判決を破棄し、被告の男に懲役15年を言い渡しました。
大阪高裁によりますと、被告側は即日、最高裁に上告したということです。
(MBS大阪司法担当 松本陸)
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