( 241884 )  2024/12/30 18:13:15  
00

エン・ジャパンが中小企業の人事担当者を対象に行った調査によると、冬のボーナスを支給する企業は9割以上で、そのうち約半数が前年比で増額したと報告された。

賞与支給の背景には、物価高による実質賃金の低下や人手不足があるとされている。

業種別に見ると、増額したのは金融業界や不動産・建設関連で、減額したのは流通・小売関連や広告・出版・マスコミ関連が目立った。

増額した理由としては、社員の意欲向上、業績好調、物価上昇への対応が挙げられている。

調査によると、景気の上昇や回復を実感していない企業も多く、景気の落ち込みを感じる声もあった。

(要約)

( 241886 )  2024/12/30 18:13:15  
00

冬のボーナス、中小企業はどうだった? 

 

 人事向け情報サイト『人事のミカタ』を運営しているエン・ジャパン(東京都新宿区)は、中小企業の人事担当者を対象に「冬季賞与」に関する調査を実施した。冬季賞与を支給予定の企業は9割以上で、そのうち約半数の企業が2023年比で「増額した」と回答した。 

 

 2024年の冬季賞与について、90%の企業が「支給する」と回答。過去2年と比べて8ポイント増加し、2021年比で見ると、11ポイントの増加となった。 

 

 支給企業が増えている理由について、『人事のミカタ』編集長の手塚伸弥氏は2つのポイントを挙げている。1つめは、物価高が続いていること。「実質賃金が上がらなければ、社員の意欲低下が懸念される。賞与を支給して、社員の収入を増やすことで退職を防ぐ狙いがある」(手塚氏)とした。 

 

 もう1つは、深刻な人手不足の影響があること。「人手不足が深刻化している中、賞与支給の有無は企業の採用力を高める要素の一つになる。結果、賞与を支給する企業が増えた」(手塚氏)と見る。 

 

 支給割合を業種別で見ると、「メーカー」「金融・コンサル関連」「人材関連」はいずれも100%、「商社」は95%、「広告・出版・マスコミ関連」は92%だった。 

 

 2023年の冬季賞与と比較して、「支給額が増額した」と答えたのは48%。業種別で見ると「金融・コンサル関連」(100%)、「不動産・建設関連」(79%)、「人材関連」(75%)が目立った。 

 

 一方、「減額した」と答えたのは「流通・小売関連」(63%)、「サービス関連」(57%)、「広告・出版・マスコミ関連」(55%)が並んだ。 

 

 増額した業界について、手塚氏は「金融業界はマイナス金利の解除などの影響で業績が上向き傾向にある。不動産・建設に関しては三井不動産などを筆頭に増収した。業績好調な業界が、賞与を増額している」と分析した。 

 

 一方、減額傾向の流通・小売関連について「流通業の稼働時間の制限や、人件費高騰に伴う利益圧迫があった分、賞与は抑えられた」(同)とした。広告・出版・マスコミについて「広告業界は好調なものの、出版やマスコミは厳しい状況が続いており、業績が良くない会社が減額している」(同)とコメントした。 

 

 

 冬季賞与を増額した理由で、最も多かったのは「社員の意欲向上」(57%)。以下「業績が好調」(56%)、「物価上昇への対応」(46%)が続いた。 

 

 一方、2023年比で冬季賞与を減額した企業は11%。減額率は「15%以上」(25%)が最多だった。 

 

 減額した理由で最も多かったのは「業績不振」(76%)で、以下「経営体質強化に向けた人件費圧縮」(24%)、「給与と賞与の配分見直し」(10%)という結果に。 

 

 2023年と比較して、景気の上昇や回復を実感しているかという質問に対し、47%が「感じない(全く+どちらかというと)」と回答。理由として「売り上げが前年から伸びていないから」(サービス関連:50~99人規模企業)、「先行指標となる製品を製造しているので景気の状況がよく分かるが、中小企業は景気が落ち込んでいると感じるから」(メーカー:30~49人規模企業)といった声があった。 

 

 調査は12月10~13日。従業員数299人以下の企業を対象に、インターネットで実施した。有効回答は206社。 

 

ITmedia ビジネスオンライン 

 

 

 
 

IMAGE