( 242554 )  2025/01/01 04:17:36  
00

MT車はかつてはダブルクラッチやヒール&トゥの技術が必要だったが、今では誰でも簡単に乗れるようになっている。

最新のMT車を体験するために、レンタカーサービスなどで試乗することを勧められている。

MT車の魅力や利便性、先進機能について解説されており、MT車愛好者や新たにMT車を乗り始める人にとって役立つ情報が提供されている。

(要約)

( 242556 )  2025/01/01 04:17:36  
00

かつてはダブルクラッチやらヒール&トゥなどといった小技が必要とされたMT車も、今となっては誰でも乗れるほど簡単になっている。MTに乗れる普通運転免許を持っていて、もし気になったら、最新車などを用意しているレンタカーサービスなどで最新のMT車をご体感あれ。 

 

 クルマはMT車!! そんなクルマ好き、運転好きのドライバーにとって、いまはクルマ選びに苦労する時代だ。なにしろここ最近のMT車比率は1%といわれ、マツダはまだMT車が比較的多く用意されているものの、主にスポーツカーに用意される程度で、かつてあったトヨタのカローラスポーツやC-HRのMT車も消滅。 

 

 筆者のように昭和の時代にMT車の教習車で免許を取り、最初のころの愛車もMT車(いすゞ117クーペやファミリアGT)だった世代にとっては寂しい限り。とはいえいまはAT、というよりCVT、そしてモーター駆動のEVでは、トランスミッションという概念さえない(一部、トランスミッション搭載車もある)。 

 

 スタートボタンを押し、Dレンジに入れるだけで走り出すことができ、シフターやパドルシフトでのシフトアップ/ダウンも可能。とくに日本の渋滞路では2ペダルのAT、CVTのありがたみを感じさせるシーンは少なくない。なにしろポルシェなどのスポーツカーでさえ2ペダルで乗っている人が多い時代であり、下手にMTをクラッチ&シフト操作するより、電子制御ATの電光石火のシフトで加速したほうが速い場合もあるほどだ。 

 

 しかし、それでも手動でギヤチェンジする楽しみ、クルマを自身でコントロールしている実感が得られるダイレクト感ある走りを望むドライバーにとっては、MT車の走る喜びにこだわる人もいるはずである。 

 

 そんなMT派が「余計なお世話」と感じるMTの機能がある。まずは自動ブリッピング機能だ。そう、シフトチェンジ時に自動的にエンジン回転を合わせてくれる機能で、たとえばフェアレディZのシンクロレブコントロール、カローラスポーツのiMT=インテリジェント・マニュアル・トランスミッションがそれにあたる。 

 

 実際のところ、特別な技術なしにマニュアル車を痛快に走らせることができ、トヨタのiMTはエンスト防止機能まで備わっているのだから、MT車初心者からベテランMT車ドライバーまで、幅広い層にMT車の使いやすさを実感させてくれるはずだ。「そんなもんいらん」というMT至上主義ドライバーだって、一度体験する価値はある。 

 

 筆者もそうだったが、MT車の乗り始めでは、坂道発進は鬼門。クラッチとアクセルの微妙な操作が必要で、うっかりしているとズリズリと坂道を後退。うしろのクルマにぶつかる危険とともに、同乗者に対して恥をかく場面にもなり、カッコ悪い。 

 

 が、いまどきのMT車の多くにはそれを見越したヒルスタートアシストという機能があり、ブレーキから足を離してもクルマがブレーキを3秒程度ホールドしてくれる。その間にクラッチをミートすればOK。後ろに下がる心配はまずなく、もちろん、パーキングブレーキをかける必要もないから便利なのだ。 

 

 そんなもんなくてもボクは絶妙にクラッチミートし、坂道発進も困らない……というMT派もいるはずだが、坂道の大渋滞を経験すれば、その有難みが染みるはずである。デートカーとしてMT車でブイブイいわせたい、坂道発進で恥をかきたくないドライバーにとってはなおさらの神器となりうるのである。 

 

 

 さらに、スズキ・ハスラーのエンジンリスタート機能(クラッチ操作をミスり、エンストしてしまった際、プッシュスタートボタンを操作することなく、シフトをニュートラルに戻す→クラッチを置くまで踏み込むだけでエンジンを再始動することができる機能)や、マツダのSKYACTIV-X搭載車のMT車に用意されるMT変速アシスト機能(シフトアップ時のクラッチ操作に伴うショックを低減させるため、マイルドハイブリッドのモーターを用いてエンジン回転を素早く落とす制御を盛り込み、クラッチをつなぐ際のショックとスムースなシフトアップを実現する)といった機能なども存在する。 

 

 本気なMT乗りには「余計なお世話」と思う機能かもしれないが、これから初めてMT車に乗ってみたいというドライバーにとっては、上記のヒルディセントコントロールなどとともに、MT車を嫌いにならずに済む先進運転支援機能といっていいものだろう。 

 

 最後に古きMT派ドライバーが「不要」と思いがちなMT車の機能がACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)だ。これまでにもクルーズコントロールを備えたMT車はあったものの、いまや前車との距離を一定に保ってくれるACCまで備えたMT車も増えている。 

 

 しかも、自動運転に近いAT車のACC同様に、車線逸脱抑制機能やステアリング補助機能付きのMT車用ACCもあり、高速走行、ロングドライブでの運転に関わるストレスを低減。さすがにAT車のACCのように、渋滞追従機能はもち合わせてはいないが、MT車を普段はキビキビ走らせ、高速走行ではACC任せの快適走行ができるメリットは極めて大きいはずである。 

 

 MT車でACC付きのクルマは新旧モデルでスズキ・スイフト、ホンダ・シビック、ホンダN-ONE RS、カローラスポーツ、BMWミニなどがある(中古でしか買えない前型MT車含む)。 

 

 MT至上主義のドライバーで「余計な機能は不要」と考える人は別にして、AT車を乗り継いできて、ここでMT車にチャレンジしてみようと思っている人や、年齢も年齢だからMT車でも気楽に乗りたいという人にとって、MTの先進機能は大いに役立ってくれるに違いない。 

 

 ちなみに、MT車のようなダイレクト感ある変速を2ペダルで味わいたいなら、フォルクスワーゲンのDSGといった2ぺダルで乗れるミッションもある。スポーティグレードのGTIやRでさえ、2ペダルのDSGとの組み合わせになっている時代でもあるのだ。延々とした渋滞時にありがたみを感じること必至ではないか。 

 

青山尚暉 

 

 

 
 

IMAGE