( 242799 )  2025/01/01 16:43:21  
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ジェネリック医薬品を選ばずに先発医薬品を使うと、自己負担額が増えることがあります。

これは、2021年10月から新たに導入された制度で、先発医薬品の特別料金を支払わなければならなくなったためです。

ジェネリック医薬品は、効果や安全性が先発医薬品と同等で価格が安いのが特徴です。

また、自己負担の仕組みが変更されたので、先発医薬品とジェネリック医薬品の価格差の4分の1が患者の負担となります。

国はジェネリック医薬品の利用を促進しており、医療費を抑えるためにも普及が進められています。

(要約)

( 242801 )  2025/01/01 16:43:21  
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薬局でジェネリック医薬品を断ったら「先発医薬品は自己負担額が増えます」と言われました。これまで同額だったのに、どういうことですか? 

 

病院で処方箋を受け取って薬局にいくと、「ジェネリック医薬品でいいですか? 」と聞かれることがあると思います。その際、先発医薬品を選択すると「自己負担額が増える」と聞いて驚いた方もいらっしゃるでしょう。どういうことなのか、解説します。 

 

令和6年10月から、医薬品の自己負担に関する仕組みが変更されました。後発医薬品(ジェネリック医薬品)がある薬にもかかわらず、先発医薬品の処方を希望する場合は、「特別の料金」を支払わなければならなくなりました。これまでも、なるべくジェネリック医薬品を利用するように推奨されていましたが、より強化された形です。 

 

そもそもジェネリック医薬品とは、新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に製造販売される薬で、新薬と同一の有効成分を同一量含み、同一の効能・効果を持つ医薬品のことです。すべての薬にジェネリック医薬品があるわけではありませんが、新しい技術で味や飲みやすさなどの使用感が改善されたものもあります。 

有効性や安全性などは国が審査し、製造販売の承認をしています。国が利用を推奨している理由は価格にあります。開発費用が抑えられているので低価格です。厚生労働省のパンフレットでは、新薬の5割程度と解説しています。 

 

もちろん、実際に窓口で支払う場合は調剤料などの費用も掛かりますが、特に服用が長期間になる場合は、薬価の料金を抑えることによる医療費軽減効果は大きいです。 

 

自己負担の仕組みが変わり、どのように負担が増えたのかを見てみます。先発医薬品の価格とジェネリック医薬品の価格の差額の4分の1相当が「特別の料金」として患者負担になります。 

 

例えば、先発医薬品の価格が1錠100円、ジェネリック医薬品の価格が1錠60円だったとします。差額40円の4分の1相当が「特別の料金」なので、この場合は10円です。薬局の窓口で、通常は1~3割負担の計算で薬代を払いますが、それに加えて「特別の料金」を負担します。「特別の料金」は課税対象なので消費税分も合わせて払うことになります。またジェネリック医薬品が複数存在する場合は、薬価が一番高い金額で差額を算出することになっています。 

 

ジェネリック医薬品が存在する場合でも、医師が何らかの理由で先発医薬品を処方する必要があると判断した場合は「特別の料金」は発生しません。自分の服用している薬は、先発医薬品? ジェネリック医薬品? あまり気に留めなかったかもしれませんが、次回は薬局での説明に注意を払うといいかもしれません。 

 

 

先日、筆者が処方箋薬局に行った時の出来事です。クリニックで処方された薬は先発医薬品でした。すでに“ジェネリック医薬品があれば、そちらを希望する”旨を伝えてあります。薬剤師さんから「この薬にはジェネリック医薬品があります。本来は『特別の料金』の加算が必要なのですが、容量の小さいタイプはジェネリック医薬品で発売されていないので、先発医薬品ですが加算なしです」と説明を受けました。いろいろなパターンがあるので薬局も対応が大変そうです。 

 

国は新薬からジェネリック医薬品への変更を推進しています。海外に比べて日本はジェネリック医薬品のシェアが少ないです。2020年10月~2021年9月の平均値では、アメリカ96%、ドイツ90%、日本71% となっています。2029年度末までにすべての都道府県で80%以上にしたいと目標を掲げています(※)。 

 

医療費を有効活用する施策として、ジェネリック医薬品の普及に期待したいところです。 

 

出典 

(※) 

厚生労働省 後発医薬品使用促進の推移・現状 

厚生労働省 1 後発医薬品(ジェネリック医薬品)に関する基本的なこと~一般の皆様への広報資料~ 

厚生労働省 令和6年10月からの医薬品の自己負担の新たな仕組み 

 

執筆者:宮﨑真紀子 

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士 

 

ファイナンシャルフィールド編集部 

 

 

 
 

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