( 243041 ) 2025/01/02 04:27:38 0 00 大切なデータをどう守るべきか
大容量のデータを保存する外付けHDD(ハードディスクドライブ)。使用状況などにもよるが、寿命は意外と短く3年から4年程度といわれ、それ以上長く使い続けていると、故障のリスクが高くなるという。大切なデータを守るためには、定期的にHDDを買い替えてデータを移行する必要があるが、怠るとHDDの不具合に気づかず、データの復元ができなくなるという悲劇に見舞われる可能性もある。
実際に、使用していた外付けHDDが故障し、保存データをすべて失ったフリーライターのAさん(40代男性)が、その時の状況を明かす。
「先日、仕事で使っている自宅のデスクトップパソコンのOSをアップデートしたら、その後、それまで接続していた2TBの外付けHDDが認識されていないことに気づいたんです」(Aさん、以下「」内同)
その外付けHDDには、10万曲以上の音楽ファイル、動画ファイル、デジカメで撮影した写真などが保存されていたという。
「学生時代から音楽が好きで、当時から買い漁っていたCDを取り込んでHDDに保存していました。海外のインディーズバンドが無料で配布している楽曲データを集めるのも好きで、そういったファイルもたくさん保存していました」
HDDが認識されないのは、OSをアップデートしたことが原因かと思ったAさんは、古いバージョンのOSを搭載したノートパソコンにHDDを接続してみたものの、それでもやはり認識されなかった。
「OSが原因ではないとなると、やはりHDD自体の問題なのかなと思って、ネットでいろいろ調べましたが、似たような症状を報告するものはなく、原因は不明のまま。PC関連に詳しい友人に相談したら、HDD自体の物理的な故障の可能性が高いとのこと。意外とHDDの寿命は短いんですね……。少なくとも自力で復元するのは不可能そうでした」
もちろんHDDを修理に出すことも可能だったが、直る可能性は未知数なうえ、費用がかかる。そういった現実をうけてAさんは、データ復元を諦めた。
それにしても10万曲以上もの楽曲データが“消える”となれば、かなりショックな出来事だとしてもおかしくはない。しかしAさんは「意外とそうでもなかった」と話す。
「正直、それらのデータがなくても音楽は聴けますからね。今音楽を聴く手段はサブスクやYouTubeが多く、自分で持っているデータを再生することはあまりない。もちろん10万曲のデータにはサブスクに入っていない曲もありますが、元となるCDを持っているのが不幸中の幸いでした。
CDを中古ショップに売っていたり、レンタルCDから取り込んだものだったりしたら、確かにデータ消失は痛いですが、持っているので、聴きたくなればまた取り込めばいいだけのこと。ネット上で無料公開されている楽曲は、またダウンロードすればいいですからね。手元にデータを置いておく必要がないといえばないんです」
そもそもそのHDDに最後にアクセスしたのがいつかも覚えていないという。
「最近は、CD を買ったとしても、曲はサブスクで聴くことがほとんど。動画を保存するような機会もなかったし、写真などは基本的にクラウドに保存。外付けHDDが必要ない状況が続いていました。
今回OSをアップデートしたことで、外付けHDDが認識されないことが発覚しましたが、実はもっと前から認識されていなかったのでしょう。そう考えると、自分にとって外付けHDDはもはや必要なかったわけです。10万曲のデータを保存していたのも、結局は自己満足。必要のない大量のデータを失った結果、無駄なこだわりを捨てることができたような気がして、逆にすっきりした気分です」
とはいえ、「HDDはいつか壊れる」ということを知ったAさんは、大切なデータに関しては、頻繁にバックアップをとるようになった。
「外付けHDDだけでなく、パソコン内蔵のHDDも壊れる可能性があると考えると、結構怖い。消えたら困るデータはクラウドに保存して、自宅のデスクトップパソコンだけでなく、持ち運び用のノートパソコンやスマホでもアクセスできるようにしています。
特に重要なデータや容量の多い動画などは、外付けHDDにバックアップをとっています。その外付けHDDは、もう“壊れていたことに気づかない”ということがないように、定期的にチェックするように心がけるつもりです」
Aさんの場合、大きなダメージを受けることはなかったが、取り返しのつかないことにならないとも限らない。デジタル時代、何らかの方法でバックアップをとることだけは忘れてはならない。
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