( 243054 )  2025/01/02 04:45:25  
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ホンダの独自技術である「センタータンクレイアウト」は、コンパクトカー向けに開発された技術で、車内スペースを最大限に活用するためにガソリンタンクをフロントシート下に配置するという画期的な発想です。

これはホンダの特許技術であり、初代「フィット」から採用され、さらに進化を遂げています。

 

 

最近のホンダの次世代技術では、次世代小型e:HEVシステムが発表されました。

このシステムでは、エンジンやバッテリーパックの配置が最適化されており、AWDを電動化したことも特徴です。

センタータンクレイアウト以外のレイアウトが採用されつつも、引き続きM・M思想に基づいたクルマ全体のデザインが重視されています。

(要約)

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 ホンダの独自技術となる「センタータンクレイアウト」は、「フィット」や「ヴェゼル」などのコンパクトカーです。 

 

 このセンタータンクレイアウトとは、どのような技術なのでしょうか。 

 

 また今後はどうなるのでしょうか。 

 

ホンダのコンパクトモデルを支える「センタータンクレイアウト」はなぜ他社が真似しない? 

 

「センタータンクレイアウトが変わるということか__。」 

 

 ホンダが2024年12月中旬、栃木県内の同社関連施設で実施した、「Honda e:HEV Biz&Tech ワークショップ」を取材して、ホンダが目指す新たな技術の方向性を知りました。 

 

 センタータンクレイアウトとは、コンパクトカー(グローバルでいうスモールカー)の世界に革新をもたらしたホンダ独自のパッケージで、「グローバル・スモールプラットフォーム」に用いられています。 

 

 車内スペースを最大に活用するために、クルマ全体のパッケージを抜本的に見直す中で、ガソリンタンクをフロントシート下部に配置する画期的な発想に辿り着いたもので、ホンダの特許技術となります。 

 

 2001年に初代「フィット」に採用され世に出て、さらに軽自動車ベストセラーの記録を塗り替えている「N-BOX」へと踏襲されました。 

 

 なお、2006年にホンダから技術供与を受けて三菱の軽自動車「i(アイ)」に搭載されていた実績があります。 

 

これがホンダの「センタータンクレイアウト」 

 

 そんなセンタータンクレイアウトのベースとなるのは、ホンダのクルマ造りの理念である「M・M思想」。 

 

 いまさら説明は不要かもしれませんが、M・M思想とは「人のためのスペースは最大に、メカニズムのためのスペースは最小に」を意味する、「マン・マキシマム/ メカ・ミニマム」を指します。 

 

 こうしたM・M思想が今、「100年に一度の自動車産業大変革期」を迎えて、さらなる進化を遂げようとしているのです。 

 

 Honda e:HEV Biz & Techワークショップでは、次世代e:HEV(イー・エイチイーブイ)に関する技術展示と、実車の試乗が用意されていました。 

 

 その中で、「ネクストジェネレーション スモールサイズ(次世代小型)e:HEV システム」の展示がありました。 

 

 エンジンは新開発の排気量1.5L直噴エンジン。 

 

 今後ますます厳しさを増すことが確実なグローバルでの環境規制に対応した全領域での理論空燃比を実現しています。 

 

 その1.5Lエンジンの上部には、小型化したパワーコントロールユニットを搭載しているのが特徴です。 

 

 さらに、新たなバッテリーパックを採用しています。 

 

 

ホンダが公開した次世代小型e:HEVシステムの概要 

 

 現行のバッテリーパックは「フィット」などのハッチバック、SUVの「ヴィゼル」、さらにセダンなど各種スモールモデルで形状が異なっていました。 

 

 これを、次世代小型e:HEVシステムでは統一し、これをフロントシート下に配置するというのです。 

 

 ホンダの担当エンジニアは「これは、M・M思想を具現化したフロントシート下の配置です」と説明します。 

 

 そのため、燃料タンクの位置については、リアシートの下になります。 

 

 また、バッテリーパックは、車体骨骼部品の機能を統合するという役目もあります。 

 

 結果的に、車1台分として見た場合の重量の低減につながっているのです。 

 

 もう1点は、AWD(四輪駆動)を電動化したことも、次世代小型e:HEVシステムの大きな特徴です。 

 

 これまでのホンダグローバルスモールカーの場合、機械式のAWD機構を採用してきました。 

 

 次世代小型e:HEVシステムでは、次世代EV「ゼロシリーズ」と部品を共用した出力50kWモーターを採用しています。 

 

 これにより、車体フロントに搭載するエンジンから後輪に駆動力を伝えるプロペラシャフトが不要に。 

 

 さらにモーターの小型化により、ガソリンタンクの搭載位置にも自由度が高まったと言えます。 

 

 結果的に、ガソリンタンクはリアシート下に配置され、センタータンクレイアウトではなくなるのです。 

 

 プロペラシャフトがないことで、薄厚したバッテリーパックがフロントシート下に収まっています。 

 

 さらに車体後部にデファレンシャル機能などがないことで、荷室の拡大につなるなどM・M思想が具現化されています。 

 

 ホンダとしては、あくまでもM・M思想に基づいて、その時代導入可能な最新技術を念頭においてクルマ全体のレイアウトを開発しているのです。 

 

 結果として、センタータンクレイアウトが生まれ、そして今後は次世代小型e:HEVシステムへと進化します。 

 

 なお、「ネクストジェネレーション ミッドサイズ (次世代中型)e:HEVシステム」については、排気量2.0Lエンジン、高効率小型トランスミッション、小型大出力モーター。 

 

 そして次世代小型e:HEVシステムと部品共通性を高めたパワーコントロールユニットを含めた、フロントドライブユニットを新開発しています。 

 

 バッテリーパックについても、次世代小型e:HEVとの部品共通性を高めたうえで小型化しています。 

 

 バッテリーパックの搭載位置については、新開発した車体(プラットフォーム)との兼ね合いから、リアシート下に配置。 

 

 その後方下部にガソリンタンク、さらにその後方に電動AWDユニットというレイアウトになり、荷室を拡大することに貢献しているのです。 

 

 このように、ホンダの次世代e:HEVは、ホンダの真骨頂であるM・M思想に対してさらなる磨きがかかっていると言えるでしょう。 

 

桃田健史 

 

 

 
 

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