( 243419 )  2025/01/02 19:35:24  
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林正芳氏の公式Xで物議をかもした林芳正官房長官の妻・裕子さんの着物姿について話題になっている。

一部ネット上では、「着崩れ着物」という表現が使われているが、実際は着付けの段階で問題があったようで、技量が向上するまでの過程であると推測される。

その他、着物やアクセサリーの選び方、ポージングについても指摘があり、礼装のドレスコードについても説明が加えられていた。

(要約)

( 243421 )  2025/01/02 19:35:24  
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林正芳氏の公式Xより 

 

「両陛下に失礼では」とネット上で物議をかもした、林芳正官房長官の妻・裕子さんの着物姿。“着崩れ着物”“着崩れ姿”と話題ですが、お写真を見る限り「着崩れ」は語弊があると感じました。「着崩れ」とは「きちんと着ていた着物の着付けが、次第に崩れること」を意味しますが、裕子夫人の場合、着付けの時点で問題があったケースとお見受けしたのです。 

 

お写真を拝見する限り「着付け教室でひと通り、習得したばかり」の方が、自分で着つけたケースではないかと考えました。このような仕上がりになってしまうのは、着付けが上達するまでの間、誰もが通る通過点。「着付けの手順は覚えた、あとはブラッシュアップに精進する」という段階を経てこなれた着付けができるようになるからです。 

 

とはいえ、皇后陛下の誕生日祝賀式典という国家の祝事。しかも、政治家の配偶者として列席するというお立場。プロの着付けとヘアメイクの万全の準備で臨まれた方が結果的に、良かったのではないかと思わずにはいられません。 

 

ネット上ですでにいろいろな指摘がなされていますが、「異様に短い着丈」「裾広がりと写真向かって右の脇線の違和感」「乱れまくったおはしょり」が耳目を集めているようです。 

 

他にも気になるのが、帯揚げの結び方と始末や帯締めの端の始末がアシンメトリーになっている点や、袖が短く手首の「グリグリ」が露出していること。腕時計をつけることは必ずしもNGではありませんが、デザインや質感が着物向きではありませんでした。華奢な文字盤で、肌馴染みの良い色の皮やチェーンの細いベルトでしたら、悪目立ちしなかったことでしょう。 

 

ここで、いったん「美しい着付け」を確認しましょう。 

 

雑誌『美しいキモノ冬号』の巻頭特集の女優・伊東美咲さんの訪問着姿は、裾は草履の「ツボ」という足の指で挟む部分にかぶり、手首のグリグリは袖で隠れています。礼装の場合、このぐらいの長さが推奨されます。 

 

 

林官房長官のXのツーショットのお写真は、ポーズも残念すぎます。着物が美しく見えるショットは少し右を向いた斜めの姿勢。特に訪問着は着ている人の左上半身に文様が描かれているので、しっかり見えるように斜めの姿勢を取るのが好ましいです。また着物姿は洋装と異なり、四肢を動かしての肉体を駆使したポージングの幅が狭い衣装です。 

 

そのため、「手持ち無沙汰な印象」を緩和するために、ハンドバッグやクラッチバッグを活用するのがおすすめです。「おはしょりの仕上がりがイマイチなときはバッグで隠す」は庶民にも使えるテクニック。左半身を少し前に出したポーズで、左手にクラッチバックを持つと「手持ち無沙汰な印象」がなくなります。 

 

今回はご夫婦でのツーショットなので、「ひな人形」や「婚礼写真」に準じて夫が向かって左側、妻が右側の立ち位置のほうが見た人に与える「違和感」を軽減できたのではないかと思いました。とはいえ、ジェンダーギャップ指数が156か国中、118位(2024年)のわが国ですので「私たち夫婦は性別役割分担にはこだわっていません」という意図が込められていたのかもしれません。だとしたら、差し出がましく失礼いたしました。 

 

最後に、宮中行事に参列する際の着物のドレスコードを、林官房長官の装いをベースに調べました。モーニングをお召しなので、配偶者が着物を着る場合は「色留袖」または「五つ紋の訪問着」とありました。「色留袖」なら、家紋の不一致問題を気にせず気軽にレンタルできるので、庶民でも心強いです。 

 

基本的に着物は「好きなように着てOK!」というスタンスにしていくことで、多くの人たちが気軽に楽しめるようになっていくと考えています。とはいえ、それは「よそゆきのワンピース」感覚でのお出かけの場合。 

 

礼装のドレスコードは文化であり伝統であり、何より「参列者に恥をかかせないようにするためのもの」という配慮でもあります。身だしなみ、そしてドレスコードの大切さやありがたみをあらためて実感いたしました。 

 

<文/栗原貴子>  

 

【栗原貴子】 

(くりはら・たかこ)コンテンツディレクター、編集・ライター。ライフスタイルマガジン元編集長。仕事がたてこんでくると、掃除や片付け、捨て活で現実逃避をするクセがある。着物好きが高じて「きものコラムニスト」として雑誌連載やイベント登壇、着物カタログの制作などの活動にも従事。目下、似合わなくなった若き日の着物や帯を、どうやって片付けるかを悩んでいる 

 

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