( 243889 )  2025/01/03 19:10:44  
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「第75回NHK紅白歌合戦」では、B'zの紅白初出場や橋本環奈主演の朝ドラ主題歌の披露などがあり、盛り上がりを見せた。

B'zのパフォーマンスは大きな反響を呼び、動画再生回数も増加している。

番組視聴率は前年より若干低かったが、紅白に対する期待値が高いことやライバル番組の強力性がないことが指摘されている。

また、男女別の対抗戦形式に疑問が呈されている。

(要約)

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紅白歌合戦の司会を務めた有吉弘行(左)と橋本環奈 

 

 昨年大みそかに放送された「第75回NHK紅白歌合戦」は期待された中森明菜の姿こそなかったものの、特別企画枠で出演した人気ロックユニット「B'z」の出演などもあり、それなりの盛り上がりを見せた。 

 

 デビュー36年目にして「紅白」初出場となった「B'z」は、司会の一人である橋本環奈主演で現在放送中の朝ドラ「おむすび」の主題歌『イルミネーション』をスタジオから披露。その後、NHKホールのメインステージにも登場し、ヒット曲『LOVE PHANTOM』と『ultra soul』の2曲を熱唱し会場を大いに盛り上げた。 

 

「B'z」の登場はネット上でも大きな反響を呼び、X(旧Twitter)では早々に「B'z紅白」「B'zさん」などの関連ワードがトレンド入りした。 

 

「紅白」のダイジェスト動画が公開されている「NHK MUSIC」のYouTubeチャンネルでは、「B'z」が『ultra soul』を披露した動画が一晩で100万回再生を突破し、1月2日時点で500万回再生を突破する勢いをみせている。 

 

「B'z」のNHKホールでのパフォーマンスは橋本ら司会者や共演陣にも知らされておらず、文字通りのサプライズだったようだが、レコード会社のスタッフは明かす。 

 

「『B'z』に関しては以前から番組サイドがラブコールを送っていましたが、『クローズアップ現代』で特集が組まれた昨年も『紅白』出演は実現しなかったことで、今年も厳しいのではないかと見る向きが大半でした。そもそも、稲葉浩志さんも松本孝弘さんも年末年始は海外で過ごすのがお決まりのパターン。それに、朝ドラの主題歌になっているとはいえ、そこまでヒットしたとは言い難い『イルミネーション』を披露するために、わざわざ『紅白』に出演するだろうか、といった懐疑的な見方も多かったのです。ただ、12月19日に、松本さんが今年リリースしたアルバムで企画賞を受賞した『輝く!日本レコード大賞』に出演することが発表されると、“風向き”に変化がありました。松本さんの例年とは異なる年末の動きを受けて、“もしかして『B'z』として『紅白』も出るつもりなのか?”と期待する声も出ていたんです」 

 

 

■機材トラブルでも逆に歌唱力を知らしめた「B'z」 

 

 本番では、『LOVE PHANTOM』のパフォーマンス中に機材トラブルの影響でボーカルの稲葉の声が小さくなる場面もあったが、圧巻の美声と声量で見事に乗り越え、かえってその歌唱力の高さを知らしめることとなった。 

 

「B'z」のほか、特別企画枠では“復活”を果たした氷川きよしや玉置浩二も出演した。また、THE ALFEE、南こうせつ、イルカ、高橋真梨子らベテラン勢の活躍などもあり、今年の「紅白」は視聴者からおおむね好評を博している。 

 

 だが、番組視聴率に関しては平均世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は第1部が前年と同じ29.0%、第2部が前年から0.8ポイントアップの32.7%という結果に。1部は2年連続での30%割れ、2部は歴代ワースト記録更新こそ避けられたものの、過去2番目の低さとなった。この数字について放送作家はこう語る。 

 

「今のご時世に平均視聴率30%以上を記録するだけでも上出来との声もありますが、『紅白』は日本を代表する年末の大型テレビ番組です。そして何よりも毎年莫大(ばくだい)な番組制作費が投じられており、その原資は国民の受信料です。他の民放の番組と同じ感覚で“数字”を評価すべきものでもなく、当然、期待値も高くあって然るべきでしょう。とくに近年は『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』の年末特番や格闘技の大みそか興行の中継番組など強力な裏番組の存在もありませんから、紅白にとっては有利な状況です」 

 

 実際、今年の「紅白」の裏番組ではテレビ朝日系の「ザワつく!大晦日2024一茂良純ちさ子の会」が平均世帯視聴率が12.7%で民放トップとなったが、過去には14年放送の日本テレビ系「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」の年越しスペシャル「絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!」が19.8%を記録しており、ライバル番組の弱体化は明らかだ。 

 

 

■「男女別の対抗戦形式」にこだわる意味は? 

 

 そのうえで、「紅白」が抱える矛盾点にも言及する。 

 

「『紅白』はジェンダーレスが叫ばれる時代にあって、いまだに『紅組』と『白組』による対戦形式を継続していますが、『B'z』や玉置さん、氷川さん、故西田敏行さんの追悼コーナーなど比較的評判が良かったステージの多くは『紅組』にも『白組』にも属さない『特別企画』でした。今年に限らず、近年は特別企画枠のアーティスト頼みのところがありますし、もはや男女分けによる対抗戦形式にこだわる必要はないのではないでしょうか」(同放送作家)  

 

 また、前出のレコード会社スタッフは今年も4組が出場したK-POPグループについてこう話す。 

 

「昨年11月に出場歌手が発表された際、公式サイトで『今年の活躍』や『世論の支持』『番組の企画・演出』といった選考基準も公開されました。そうした中でK-POPグループ4組と韓国の総合エンターテイメント企業CJENMが吉本興業と組んで日本でプロデュースした2組の計6組が出場していることに関しては、さすがに『多すぎるのでは?』と疑問を抱いた視聴者も多かったようです。百歩譲って視聴率に大きく貢献しているのであれば韓流勢の大量出演も合理性があるが、主に彼らの出番がある1部の視聴率が右肩下がりの現状をみると、疑問視する視聴者を納得させるのは至難の業でしょうね」 

 

 何とか2年連続でのワースト視聴率更新を回避した「紅白」だが、手放しで喜んでばかりもいられなさそうだ。 

 

(立花茂) 

 

立花茂 

 

 

 
 

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