( 244661 ) 2025/01/05 14:30:30 0 00 12月29日に30歳の誕生日を迎えた秋篠宮家の次女の佳子さま。赤坂御用地内を散策する=2024年12月5日、東京・元赤坂の赤坂御用地、宮内庁提供
秋篠宮家の次女、佳子さまは、昨年12月に30歳の誕生日を迎えられた。姉の小室眞子さんも30歳で結婚していることもあり、佳子さまの「お相手」をめぐる報道も相次いでいる。その一方で、皇室は少子高齢化が進んでおり、女性皇族が結婚後も皇室に残ることなどについて政府で議論が続いている。結婚のタイミングで人生が大きく左右影響する制度であるだけに、両陛下の長女の愛子さまや佳子さまなど、未婚の女性皇族に注目が集まっている。
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「ここ(皇室)にいる限り、どうせ好きな人とは結婚を出来ないと思っている」
「皇室から出たい。出るためには、結婚しかない」
秋篠宮家の次女、佳子さまが周囲にこう語っていたのは、姉の眞子さんの結婚問題が続いていたころだった。
秋篠宮家の事情に詳しい人物は、こう話す。
「佳子さまは、かなり早い時期から皇室を出て、民間の世界で生きていきたいというお考えを持っておられたようです。皇室を出る手段のひとつが結婚だと考えていらっしゃったのでしょう」
しかし、眞子さんが結婚して渡米した後、佳子さまが担う公務や祭祀は増え、天皇、皇后両陛下を支える若い世代の皇族としての存在感は高まる一方だ。
その一方で、佳子さまの結婚の「お相手」についての報道も増えた。今年の春に長男の悠仁さまの成年の儀式が済んだタイミングで、佳子さまの婚約の話が進むのではないか――そんな噂もささやかれている。
それが皇族おひとりの話にとどまらないのは、佳子さまのご結婚が、皇族が減り続けている皇室の問題に絡んでいるからだ。
■「女性皇族が結婚年齢に近づいている」と首相
昨年11月に三笠宮妃の百合子さまが亡くなったことで、皇室は天皇陛下と上皇さま、そして皇族方を合わせて16人となった。40代以下の未婚の皇族6人のうち、男性は秋篠宮家の悠仁さまだけだ。
いまの皇室典範では、女性皇族は民間人と結婚すれば皇室を離れると定められている。仮に女性皇族5人が結婚によって皇室を離れるとなると、悠仁さまを除く「若い」皇族は59歳の秋篠宮さまと58歳の紀子さまとなり、極端な高齢化も進むことになる。
政府の有識者会議は2021年の報告書で、皇族数の確保のために「女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する」「旧宮家の男系男子が養子として皇族に復帰する」の2案を示した。
これを受けて昨年5月から与野党で協議がスタート。秋には衆参両院の議長が、女性皇族が結婚後も皇室に残る案について各党でおおむね共通認識が得られた、とする中間報告をまとめた。昨年12月には、衆院議長らが今年夏の参院選前までに結論を出す必要があるとの認識を示したと報じられたものの、先は見えない。
そもそも「女性宮家」の創設を視野にいれた議論が本格的にスタートしたのは11年、野田佳彦政権のときだ。当時の宮内庁の羽毛田信吾長官が野田首相に面会し、「皇族の減少が緊急性の高い課題」と進言。首相も「女性皇族が結婚年齢に近づいている」と会見で説明して議論が本格的にスタートしたが、10年以上が経っても具体的な「成果」はない状態だ。
■「皇室はやせ細ってしまった」
皇室をめぐる議論が始まったときに、高校2年生で16歳だった佳子さまは30歳になり、小学4年生で8歳だった愛子さまは23歳の誕生日を迎えた。
皇室制度史や儀式に詳しい京都産業大の所功・名誉教授は、21年に開かれた「安定的な皇位継承のあり方を議論する政府の有識者会議」のヒアリングの場で、女性皇族の結婚後の身分の確保の重要性について意見を述べている。
「手をこまねいている間に、皇室はどんどんやせ細ってしまった」
と、所さんは現状を心配する。
「宮家の存続」と「結婚」をめぐっては、こんな話も聞こえてきていた。
■「宮家に人生をささげる
英国での留学生活をつづった『赤と青のガウン オックスフォード留学記』がベストセラーとなった三笠宮家の故・寛仁親王の長女の彬子さま(43)は、日本美術の研究者として活躍している皇族だ。女性皇族として初めて英オックスフォード大で博士号を取得するなど、女性皇族としてキャリア形成を成し遂げた先駆け的存在でもある。
複数の関係者によれば、そうした彬子さまでさえ、父の寛仁親王から、
「結婚するならば、旧皇族が相手だ」
と条件をつけられたと言われている。そして、彬子さまご本人も以前から周囲にこう話しているという。
「結婚はしない。三笠宮家に人生をささげるつもりだ」
高円宮家では、次女の千家典子さんと三女の守谷絢子さんが結婚して皇室を離れた。長女の承子さま(38)にも、母の久子さまも公認で長年交際しているお相手がいる、といわれている。その人物と一緒にいる写真が何度かメディアに掲載されたこともある。
にもかかわらず、数年前から結婚のタイミングをうかがいながらも踏み切らないのは、承子さまはご自分の代までは高円宮家を支える覚悟なのではないか――そのようにも受け止められている。
■愛子さまが皇室に残るとすれば
そして、30歳の佳子さま、23歳の愛子さまのおふたりの人生は、皇室典範の議論の行方によって、大きく影響を受ける可能性がある。
前出の所さんによれば、天皇家の内親王である愛子さまが皇室に残られるとして、皇位を継ぐためではなく、両陛下をお支えする役割を担うためだとすれば、その意義は大きいという。
佳子さまも、皇室を離れれば、皇位継承権を持つ弟の悠仁さまをそばで支える皇族がいなくなってしまう。そのため、女性皇族の婚姻後の身分についての制度が固まるまでは、結婚を待つのではないか、という考えもありうる。
「いずれにせよ、あくまでも天皇ご一家や秋篠宮家と内親王方がどうお考えになるかがいちばん大切です。仮に佳子さまが若い頃に皇室を出ることを希望されていたとしても、公務のご経験を積まれるなかで、お考えに変化が生じているかもしれません」
大切なのは当事者である皇族方がより良い選択のできる環境を整えることだと、所さんは指摘する。
というのも、秋篠宮さまは昨年11月の会見で、「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」と定める皇室典範第12条の改正に関わる質問をメディアから受けた。
それに対して秋篠宮さまは、「該当する皇族は生身の人間」としたうえで、影響を受ける皇族方について「宮内庁は、その人たちがどういう考えを持っているかということを理解して、知っておく必要がある」と述べられている。
所さんは、この第12条について10年ほど前から、いまの皇室典範に沿って女性皇族は婚姻とともに皇室を離れることを原則として残すとともに、「皇室会議の議論を経て、皇族の身分に留まることができる」という文言を加えるべきだと提案してきた。
女性皇族には、皇室を離れるか留まるか、その選択肢を用意しておくべきだという考えだ。
■「離れても留まっても」受ける批判
一方で、宮内庁職員を長く務めた皇室解説者の山下晋司さんは、皇族方に皇室に残るという選択肢があることで、逆に苦しい立場に立たされる可能性もあるのでは、とみる。
「もし、佳子内親王殿下が結婚したら皇室を離れたいとお考えならば、制度が改正される前に結婚されたほうがいいと思っています」
皇室典範が改正されるならば、「皇室から離れる権利」と「皇室に留まる権利」の両方が保証される形になるだろうと、山下さんも考えている。
しかし、いまの皇嗣家に向けられた批判の強さを考えると、佳子さまが皇室を離れる選択をすれば「皇族が減少しているのに逃げるのか」という声があがり、皇室に留まることを選んでも「特権を享受し続けるのか」と批判されるのではないかと言う。
「ご本人の意思を尊重することは当然ですが、重要な決断の責任を負うという過酷な状況に置かれます」
佳子さま、愛子さまは、ひとりの「成人」として、いつでも結婚できる立場だ。
秋篠宮さまは、皇室の将来の議論にあたって、「皇族は生身の人間であり、そのひとたちがどういう考えを持っているかを知るべきだ」と訴えた。
愛子さまと佳子さまの2人の内親王と、彬子さまら3人の女王は、これからどのような道を選ばれるのだろうか。
(AERA dot.編集部・永井貴子)
永井貴子
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