( 244694 )  2025/01/05 15:11:25  
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内閣府の世論調査では、選択的夫婦別姓に関する意見で、「旧姓使用拡大」が42.2%で最多だったが、この結果を大手メディアがあまり取り上げなかった。

一部の新聞社は調査を否定的に報じた。

同調査では別姓夫婦の子供への影響について69%が「あると思う」と回答し、多くの人が心理的負担や違和感を懸念していた。

民法改正案では、父母の協議で子供の姓を定め、一致しない場合は裁判所が決定することになったが、これが家族の分断を招く可能性もある。

最高裁は同姓制度の合理性を認め、27年以降の状況を踏まえて判断を変更せずとした。

旧姓使用の拡大は進んでいるが、訴訟では「改姓の喪失感」や「精神的負担」が強調されるようになっている。

選択的夫婦別姓には家族や戸籍への影響もあり、懸念が持たれている。

(要約)

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選択的夫婦別姓に伴う令和3年12月の内閣府の世論調査では「旧姓使用拡大」が最多の42・2%を占めたが、この結果を大手メディアは積極的に取り上げない。中には「保守派に配慮した」などとして調査そのものを否定的に報じた新聞社もあった。 

 

同じ調査には、別姓夫婦の子供への影響について「あると思う」は69%、「ないと思う」30・3%という結果もあり、「ある」と答えた人の理由(複数回答)は「名字が違うことを指摘されて対人関係で心理的負担が生じる」78・6%、「親との関係で違和感や不安感を覚える」60・1%が多かった。 

 

では、立憲民主党が令和4年に野党と共同で国会提出した選択的夫婦別姓の民法改正案はどのような内容だったのか。子供の姓については「出生の際に父母の協議で定める」としており、一致しない場合は「家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる」とした。 

 

この世に生を受けた瞬間から裁判になる可能性もある。仮に妊娠初期はどちらかの名字で一致していても、出産後の子供を見て気持ちが変わることもあり、家族の深刻な分断を招きかねない。 

 

■くじ引きが合理的 

 

弁護士の北村晴男氏は「結論ありきで制度設計するから馬鹿げたことになる。裁判所が姓を決めるぐらいなら、調停委員の面前でのくじ引きの方がまだ合理性がある」と指摘する。 

 

夫婦を同姓とする現行の法規定が違憲かどうか争われた訴訟で、最高裁大法廷は平成27年、「夫婦や子供が同じ姓を名乗ることには合理性がある」と判断した。 

 

さらに「家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位と捉えられ、その呼称を一つにするのは合理的」と続けており、この判例は令和3年の大法廷決定でも維持された。 

 

この決定では、女性の有業率や管理職に占める割合、別姓導入に賛成する人の割合増加など27年以降の状況を踏まえた上でなお「判断を変更すべきものとは認められない」と結論付けている。 

 

■新たな人生が始まる 

 

 

この間も、公的資格などを含む旧姓使用の拡大は進み、日常生活の煩わしさは改善されつつあるが、最近の訴訟では、より一層「改姓の喪失感」「精神的な負担」が強調されるようになった。 

 

昨年3月に提起された訴状では、現行法の婚姻は、いずれかの姓を変えるか、諦めるかの「過酷な二者択一」を迫っていると指摘。「家族の在り方や国民意識の多様化」が進み、別姓を認めないことの合理性はないと主張している。 

 

もちろん個人のアイデンティティーは大切だが、子供にしてみれば「強制的親子別姓」となり、共通のファミリーネームがなくなれば家族としての同一性は失われることになる。 

 

家族法に詳しい長崎大学の池谷和子准教授は「夫婦間だけではすまない話だ。嫁姑の確執もひどくなるだろう」と危惧する。孫の名字をめぐって双方の祖父母が争いになる可能性もある。 

 

また、同一世帯に2つの姓が混在する状況は、戸籍への影響も懸念される。国士舘大学の百地章名誉教授は「戸籍は『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を表す。わが国が長年維持してきた戸籍制度の解体につながる」と警鐘を鳴らす。 

 

先の内閣府の世論調査には、「婚姻で相手の名字に変わった場合、どのような感じを持つと思うか」(複数回答)との問いもある。 

 

最も多かったのが「新たな人生が始まるような喜びを感じる」(54・1%)、次が「相手と一体になったような喜びを感じる」(39・7%)だった。 

 

 

 
 

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