( 244864 )  2025/01/05 18:26:11  
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バイデン米大統領が日本製鉄による米国企業への買収を阻止したことは、国家安全保障に基づく新たな政策を示すものだと報じられた。

狭義の国家安全保障懸念に加えて、同盟国との関係が強調されている。

この決定は米国がグローバル化から離れつつあり、国家安全保障を理由に自己定義する傾向が強まっていることを反映している。

将来的にも国家安全保障を根拠にした措置が増える可能性があるとの懸念も示されている。

(要約)

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Signage for Nippon Steel Corp

 

 

(ブルームバーグ): USスチールは数カ月にわたり、日本製鉄への売却が生き残る唯一の方法だと主張していた。しかし、バイデン米大統領は異なる考えを持っており、同盟国である日本に拠点を置く企業による買収であっても、国家安全保障上の懸念を解消するには不十分だと結論づけた。 

 

これが、グローバルな貿易と投資における新しい政治のあり方だ。 

 

買収阻止を3日に発表するに当たり、バイデン氏は日本製鉄による買収が「米国の国家安全保障と重要なサプライチェーンにリスクをもたらす」という「信頼に足る証拠」があると述べたが、その証拠が何であるかは明らかにしなかった。 

 

バイデン氏は重要な物品の供給を確保するために大統領に経済に対する権限を与える国防生産法(DPA)を引用したが、これは同氏が米国の国家安全保障に対する脅威となるものの定義をより拡大して解釈していることをあらためて示すものだった。 

 

「友好国や同盟国を安全保障上の脅威と宣言するのは異例だ。国家安全保障の定義がかつてよりも拡大しているように思える」と、クリントン政権の商務省高官で、現在は米戦略国際問題研究所(CSIS)のシニアアドバイザーを務めるビル・ラインシュ氏は述べた。日本は米国にとって、極めて重要な同盟国だ。 

 

買収阻止の決定は2010年代半ばまで米国の貿易および投資政策の特徴であったグローバル化の原則から同国が急激に離れたことを示すものだと元政府当局者や専門家は指摘する。米国はそのシフトの一部として、漠然と定義された「国家安全保障」という考えに依存してきた。 

 

「大統領や政権関係者が国家安全保障を理由に特定の行動を正当化する場合、国家安全保障を自分たちが望むように定義することができる」と、大西洋評議会ジオエコノミクスセンター、ステートクラフト・イニシアチブの常勤シニアフェロー、サラ・バウアーレ・ダンツマン氏は述べた。 

 

ジャンピエール大統領報道官は買収阻止について、日本とは何の関係もなく「USスチールが米国資本で米国経営のままである」ことを目的としたものだと政権の決定を擁護した。 

 

 

23年には米国への外国直接投資は引き続き増加していたが、より多くの投資を歓迎する人々はUSスチールを巡る決定が発するシグナルを懸念している。 

 

この決定は、米国で生産を拡大しようとする他の外国企業を阻む危険性がある。米商工会議所の国際貿易部門を率いるジョン・マーフィー氏は声明で「米国への国際投資に悪影響を及ぼす可能性がある」と懸念を示した。 

 

多くの通商法の専門家は、トランプ氏が今月に米大統領に就任した後、国家安全保障を理由とする措置をさらに強化するだろうと予想している。 

 

「かなり広範な権限を持つ政府が、それを抑制しつつ行使することを確実にしたいと切に思う」と大西洋評議会のバウアーレ・ダンツマン氏は述べた。 

 

USスチールの件で国家安全保障を持ち出す議論は「信ぴょう性が薄い」と付け加えた。 

 

原題:Nippon Rejection Shows National Security Means Whatever You Want(抜粋) 

 

(c)2025 Bloomberg L.P. 

 

Eric Martin 

 

 

 
 

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