( 245131 ) 2025/01/06 05:58:04 0 00 鈴木奈々
タレントの鈴木奈々が今年8月、長きにわたる創価学会への信仰をカミングアウト。現在、教義の広報にも積極的に携わっている。さらに、11月14日、歌手の氷川きよしも聖教新聞社発行の雑誌「WORLD SEIKYO」VOL.5のインタビューにて人生の支えが「信仰だった」と告白。「カミングアウトラッシュ」とでも呼ぶべき事態となっているのだ。
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ここ数年、公明党は党勢の衰退に苦しんできた。先の衆院選で獲得した比例票は596万票にとどまり、令和3年の前回選挙から114万票も減少。現行の選挙制度が導入された平成8年以来最低の得票で、過去最多得票を記録した平成17年の衆院選での898万票から3割も減らした計算となる。
このような状況の中、鈴木と氷川という有名人二名が信仰を大々的に告白したことは、党勢回復の一助となるのか――。
創価学会の信仰厚い芸能人が、その教義を宣伝し、「広告塔」的役割を果たしてきたことはよく知られたところ。その役割を担ってきた芸術部員として、山本リンダ、岸本加世子、久本雅美などの名前が有名だが、そこに新たな二名が名前を連ねることになるのだろうか。
鈴木奈々はモデル出身の36歳。雑誌「Popteen」でデビューし、人気となった後、バラエティーに進出。「おバカキャラ」でブレイクし、一時は「バラエティー女王」の異名を取るほどの人気タレントとなった。2014年には一般男性と結婚したが、2021年に離婚している。
宗教とはほど遠いイメージだった鈴木の名が突如、聖教新聞の1面に躍ったのは、8月6日のことだった。〈私の未来部時代〉という連載の第4回に顔写真入りで登場して、熱い信仰心について告白したのだ。
一方、今回が初のカミングアウトとなった鈴木とは異なり、氷川が学会員であることはこれまでも知られていた。例えば、お笑いタレントで元創価学会員の長井秀和氏(西東京市議会議員)は、かつて、氷川と共に、創価学会の本部幹部会で池田氏に激励を受ける機会に恵まれたことがあった。その際、心酔した様子の氷川は、涙ぐみながら壇上の池田氏を見つめていた――と昨年、「週刊新潮」に証言している。そうした光景は学会の中ではよく知られていたし、週刊誌などに報じられてきたこともあった。しかし、氷川自身はこれまで公にすることはなかった。
氷川が11月14日に発売された聖教新聞社発行の雑誌「WORLD SEIKYO」VOL.5の巻頭インタビューに登場。「ありのままの私でいる『勇気』」と題されたその記事の中で、大きな悩みや葛藤を抱えた人生の支えとなってきたのは、「創価学会の信仰だった」とはっきり述べているのである。
むろんわが国においては信教の自由も表現の自由も認められている。彼らが救われた体験談を語るのも自由である。とはいえ、それをオープンにするにはそれなりのリスクも想定される。会員以外の人たちの受け止め方はさまざまだからだ。
それでもなおカミングアウトしたのには、彼らなりの熱い思いがあるのは事実だろう。一体いかなる体験がそこまでの熱意を持たせることになったのか?
当人たちの言葉に耳を傾けてみよう。
(以下、「デイリー新潮」2024年8月29日、11月29日配信記事をもとに作成しました。日付や年齢、肩書などは当時のまま)
まずは先述の〈私の未来部時代〉で鈴木が語った内容を見ていく。
〈「祈りは絶対にかなう!」小さな頃から母に言われてきた言葉です。その言葉を信じて、小学生の時から「雑誌のモデルになる」と祈っていました。“ギャル中学生”になってからも、勤行・唱題に毎日挑戦! 創価家族の温かな雰囲気が大好きで、座談会や未来部の会合にも参加してきました〉
未来部とは、創価学会会員の中でも18歳以下の小、中、高校生で構成される組織だ。これを読むと、鈴木は親の代からの信者の「宗教2世」のようである。
〈信心にグッと力が入るようになった転機は、高校3年生の冬です。憧れのトップモデルの握手会に参加する機会がありました。自分に握手の番が回ってくると、その方から「モデルにならない?」と、いきなり言われたんです。(中略)“うわ! 祈りってガチかなうじゃん”。心の底からそう思いました〉
こうして芸能界入りし、やがて売れっ子となった鈴木は一時、年間に仕事が360本以上も入ったほど。目の回るような忙しさだったが、
〈しんどさよりも楽しいという気持ちの方が大きかったんです。毎日、題目を唱えているから、心が前向きなんだと思います。それに、池田先生の励ましの言葉や聖教新聞を読むと、勇気が湧いてきます。学会の同志の方と、会合で語り合えば元気が出ます〉
激務を支えたのは、2023年11月に亡くなった故・池田大作名誉会長の言葉だと明かしている。
〈これまで勤行・唱題に挑戦してきて、たくさんの目標を実現できました。信心の力がすごすぎて、「ライバルたちに教えたくない!」と思ってしまうほどです(笑)〉
そして最後にこう呼びかける。
〈未来部のみんな! まずは朝晩の題目三唱からでもいいと思います。この信心で必ず、自分らしい(中略)個性が輝きます。やらなきゃもったいない!〉
さらに、彼女のブログをさかのぼると、10年前、悩んだ時に勇気づけられた言葉として、ある詩を紹介しているが、調べるとそれは「池田大作名言100選」に載っている名誉会長作のものであった。
「加えてここ数年、彼女のインスタなどを見ていると、加藤茶の奥さんでタレントの綾菜さんとテレビ番組に出たとか、ご飯を食べた、遊んだなどの記載がよく出てきます。綾菜さんは同じ芸能事務所の所属ではあるものの、一方で、夫婦で学会員であることをカミングアウトしていますから……」(創価学会ウォッチャー)
学会と結びつく“足跡”が多数残されていたというわけだ。
「鈴木さんは8月の聖教新聞が出る前の今春には、学会メンバーの前では既に芸術部員として活動していたそうです。創価学会では会員向けに、信仰体験や教義を宣伝する番組を作成し、各地の会館などでの集会や座談会の際に提供しています。彼女はこの動画に綾菜さんとの対談で出演。〈奈々と綾菜のセキララ☆ズッ友トーク〉との題で、『どんな時も変わらず貫いてきた信仰の体験などを朗らかに語る』という触れ込みのものです」(前出・ウォッチャー)
5月以降、その番組は各地の会館などで放映されている。そこで鈴木は「今の目標はちゃんと朝と夜にお題目をあげることなの」「池田先生の言葉って心にすっごく染みるよね~」などと述べ、今でも月に1度は自宅で女性部の会員同士の集まりを開くと明かしているそうだ。
鈴木は長い信仰歴を持つようだが、なぜ今頃になってカミングアウトしたのか。今後はどのような活動をしていくのか。芸術部の“先輩”の久本や柴田理恵は、公明党の選挙応援に駆け付けるほどの熱の入れようであるが……。
「芸術部を支えてきた山本さん、岸本さん、久本さんらは既に還暦を超えている。信者の高齢化が課題で、若い世代の会員獲得が急務とされている創価学会では、より下の世代に親しみのある“広告塔”が求められています。その点、まだ30代で、明るく、元気なイメージの強い彼女は適任でしょう。今後、芸術部で重宝される存在になっていくのではないでしょうか」(同)
もう一人、氷川の信仰心に関するインタビューは、「WORLD SEIKYO」VOL.5の巻頭に掲載されている。
ここでは、氷川が福岡で過ごした小学校時代に「オカマ」「貧乏人」「デブ」などの言葉を投げつけられ、時に暴力を振るわれたという「いじめ」の過去が明かされている。「消えてしまいたい」と思うこともあったそうだが、氷川は次のように述べている。
〈そんな時、心の支えになったのが、池田大作先生(創価学会第3代会長)の言葉でした〉
いわく、
〈私の家は祖父母の代から創価学会員です。両親の「大丈夫だよ。お題目をあげていけば、必ず、幸せになれるよ!」との言葉に、いつしか御本尊の前に座り、祈るようになりました。母に連れられて参加した座談会では地域の学会員さんが温かく接してくれたことが、とてもうれしかったのを覚えています〉
歌を始めたのも、創価学会がきっかけだったという。
〈小学3年生からは、学会の少年少女部の合唱団に入団。歌うことが大好きだった私は、「自分の歌で人に勇気や希望を与えていきたい」と思えるようになったんです〉
高校2年生の時には、福岡ドームで開催された学会のイベント「アジア青年平和音楽祭」に出演し、池田氏の前で、5万人の合唱団の一員としてベートーベンの「第9」を合唱。「必ず歌手になって、自分の使命を果たしていきます」と誓ったという。そしてその願いをかなえるために上京。知り合いがいない東京で、生活を支えてくれたのは、地域の学会員だったと告白している。デビュー後5年たって初めて池田氏から声をかけられ、翌年には「世界の芸術博士に! 氷川君 頑張れ!」との激励を受けた。それを生涯の指針としているという。
先に述べたように、氷川は2023年からこの夏まで、歌手活動を休業していた。その際には、
〈アメリカやイギリスなどに長期滞在し、現地のSGI(創価学会インタナショナル)のメンバーと交流をさせていただきました〉
休業中の2023年11月15日には、池田氏が死去した。それについてもこう語っている。
〈今でも私の中には、先生が残してくださった多くの言葉があります。胸中の先生と常に一緒なのです。これからも、いつも見守り続けてくださった先生への報恩感謝の心を忘れず、自分らしく歩んでいきます〉
そして最後に述べる。
〈ありのままであることは、とても「勇気」が必要です。私にとって、その勇気の源泉こそ、日々の唱題です。どんなに苦しくても大丈夫。「法華経を信ずる人は冬のごとし。冬は必ず春となる」(『日蓮大聖人御書全集新版』)ですから〉
インタビューではかなりストレートに信仰心が語られている。なぜ今、そのような告白をしたのだろうか。
「独立したことが大きいでしょう。それまでは老舗の『長良プロダクション』に所属していましたから、言動には縛られることも少なくなかった。しかし、そこから離れて自身の事務所を立ち上げたことで“縛り”がなくなり、自由に活動できるようになったのでしょう。また、独立後、氷川はコンサートの客席が埋まるか不安で仕方がなかったようで、自ら飲食店でポスターを配り回っていたことがスポーツ紙に報じられています。信仰を告白し、池田氏との縁を強調することで、より多くの学会メンバーの応援を期待しているのかもしれません」(前出・ウォッチャー)
実際、9月の聖教新聞には、コンサートツアーに関する記事も掲載されている。カミングアウトも済んだ以上、全面バックアップは当然の流れといえるだろう。
「芸能界のスターの告白は、信者離れに悩む組織には朗報です。公明党は先の総選挙で、議席を32から24に大きく減らしています。久本らのように、氷川にもいずれは選挙応援までしてもらえば万々歳でしょう。ただ、信仰を強調すればするほど、従来のファンには拒否感を持つ人も出てくるかもしれない。その辺りのサジ加減は難しいところでしょう」(同)
人気者が信者であることがオープンになることは創価学会にとってはプラスしかないだろう。一方で当人の人気にどう作用するかは不透明。そんな損得抜きで語らずにはいられないほどの信心を持っていることだけは間違いない。
デイリー新潮編集部
新潮社
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