( 245781 ) 2025/01/07 16:42:44 0 00 大型駐車場のイメージ(画像:写真AC)
千葉県の県紙・千葉日報は2024年12月11日、「アウトレット駐車場で女性はねられ死亡、2月にも2歳児が亡くなる事故 ネットで運転マナーへの批判続出 施設の改善求める声」という記事を配信した。要旨は次の通りだ。
・12月8日、三井アウトレットパーク木更津(千葉県木更津市)の大型駐車場で、歩行中の女性(57歳)が乗用車にはねられ、死亡した。 ・警察は乗用車を運転していた自称会社員の男性(53歳)を過失致死の疑いで逮捕した。 ・同じ施設では2024年2月にも、2歳の女児が車にはねられて死亡する事故が発生している。 ・ネット上では大型駐車場内の運転マナーの悪さに批判が相次ぎ、改善を求める意見が多く寄せられた。 ・特に施設の暗さや大型駐車場設計の見直しを求める声が目立った。 ・また、運転者の注意力低下を防ぐため、適切な休息の重要性を指摘する意見も見られた。
同様の事故は全国各地の大型駐車場でも後を絶たない。なぜこうした事故が繰り返されるのか。仕事とプライベートで年間約6万kmを走る私(都野塚也、ドライブライター)としても、この問題に対して何ができるのかを考えさせられる。
今回は、大型駐車場で発生する事故の現状と、求められる対策について掘り下げていく。
大型駐車場の大型駐車場所探しの困難(画像:写真AC)
全国の大型ショッピングモールやテーマパークが増えるにつれて、大型駐車場の数も増加している。これらの大型駐車場は、多くの車が行き交い、さまざまな行動が交錯する「無法地帯」と化すことが多く、事故が発生しやすい環境となっている。さらに、歩行者の数が多いため、危険性はさらに高い。
三井アウトレットパーク木更津で発生した2件の死亡事故も、ルールやモラルの欠如が原因で起きたと考えられる。以下、2件の事故の詳細を見てみよう。
●2024年2月の2歳女児死亡事故 女児が両親と妹と一緒に買い物に来ていた際、両親の車近くで男性が運転する車にはねられて亡くなった。運転していた男性は「空いている大型駐車場を探すのに気を取られ、前方の安全確認が不十分だった。子どもの存在に気がつかなかった」と証言している。
●2024年12月の57歳女性死亡事故 21時頃、男性が運転する車が歩行中の女性をはねた。警察によると、車は駐車マスから出て出口に向かっていたが、周囲が暗く、ショッピングモールも閉店間際だったため、車がかなりの速度を出していた可能性が高い。
この2件の事故に共通するのは、周囲の安全確認が不十分だった点だ。普段の公道では安全確認を徹底しているドライバーが、なぜ大型駐車場ではそれができないのか。また、大型駐車場内では次のような運転がよく見られる。
・過度な加速 ・必要な場面でのウインカーやハザードの不使用
大型駐車場内での運転マナーの悪さに不満を持つ声も多い。
大型駐車場では、公道以上に周囲の安全確認を徹底する必要がある。私も運転している際は、一般道や高速道路以上に大型駐車場内で神経を尖らせて安全確認を行うよう心がけている。具体的には、
・大型駐車場内での速度を抑える ・右左折時には必ずウインカーを使用する ・駐車時や停車時にはハザードを点灯させる
ことを徹底することで、周囲の安全を大きく向上させることができる。
歩行者通路の確保による安全性の大幅な向上(画像:写真AC)
大型駐車場での事故防止には、利用者のマナーやルールの改善に加えて、施設運営・管理側の積極的な対応が求められる。三井アウトレットパーク木更津では年間2件の死亡事故が発生しており、施設自体の抜本的な改善が必要だとの声が上がっている。こうした改善にはインフラ整備が欠かせない。具体的には、次のような対策が有効である。
・通路幅の拡張 ・駐車マスの広さの見直し ・車線の明確化 ・案内看板の増設
運転者がより安全に運転できる環境を整えることが鍵だ。特に、大型駐車場では駐車スペースを探す際に安全意識が薄れがちである。時間帯によっては駐車スペースが埋まり、空きスペースを探す過程で注意力が散漫になり、事故のリスクが高まる。この点に対しては、サービスエリアなどで導入されている
・駐車スペースの混雑状況を表示する電光掲示板 ・駐車誘導警備員の配置
が有効とされている。また、歩行者の安全を確保するための対策も不可欠だ。次の取り組みが効果的と考えられる。
・歩行者専用ゾーンの拡充 ・照明の増設と光度の確保
さらに、大型駐車場内での速度抑制のために減速帯を設置することも有効だ。減速帯は高級ホテルやビルの地下大型駐車場では見かけるが、ショッピングモールやテーマパークの大型駐車場ではまだ普及が進んでいない。事故防止のためには、危険を監視・察知できるセンサーやモニターの設置も効果的であり、これに対応する職員の配置も重要な要素である。
特にアウトレットモールやテーマパークでは遠方からの来場者が多く、長時間の運転後に大型駐車場に到着するケースが一般的だ。そのため、帰路でも長距離運転が続くことが予想される。このような利用者には適度な休憩を促す啓発活動も必要だ。
このように、大型駐車場での事故防止には多角的な対策が求められる。どの施策が最も効果的かは施設の規模や利用状況によって異なるが、適切な対策を講じることで、事故のリスクを大きく低減させることができるだろう。
運転アシストシステムのイメージ(画像:写真AC)
大型駐車場での事故防止には、車両の機能を最大限に活用すること、歩行者優先の設計の導入、そしてドライバーひとりひとりの意識向上が不可欠だ。近年、車両技術は急速に進化しており、運転サポート機能や各種システムが標準装備されている。
特に、自動運転システムに搭載されている自動駐車機能は、大型駐車場の難易度の高いスペースでも安全に駐車をサポートし、非常に便利だ。また、駐車場内での走行においても、カメラやレーダーを活用した事故防止機能を理解し、適切に使うことが事故リスクを大幅に減らすことにつながる。
さらに、スウェーデンをはじめとするスカンジナビア諸国では、歩行者優先の道路設計が取り入れられている。日本のショッピングモールやテーマパークの大型駐車場でも、このような設計を採用することで、事故を効果的に減少させることが期待できるだろう。
みなさんは、果たしてつねに正しく一時停止できているだろうか。まずは、普段の一時停止から見直してみていただけたらと思う。こちらは、大型駐車場の大型駐車場内でも実践していただきたいことだ。 ぜひ、「大切な命を守る」ために安全への意識を変えてあるいは高めて、運転していただければと思う。
事故を防ぐために最も重要なのは、運転者の意識だと感じている。先日受けた運転講習では、事故を減らすためには運転者がどれだけ歩行者に配慮できるかが大切だと実感した。
その講習で講師がいっていたことが印象に残っている。特に、
「一時停止の場所で正しく停まらない車が多い」
という指摘だ。一時停止標識や標示がある場所では、停止線の手前1m以内で車を完全に止めなければならない。
みんなは普段、一時停止を正しくできているだろうか。まずは日常的に一時停止の方法を見直してほしい。これは大型駐車場でも実践すべきことだ。
「大切な命を守る」ために、安全意識を高め、運転に反映させることが重要だと考える。
命を守る大切さ(画像:写真AC)
このような事故が繰り返される背景には、ドライバーの意識の低さと施設設計の問題が複合的に絡んでいる。
社会的には、現代の都市生活において大型駐車場の増加とその利用者数の増大が、個々の運転行動や施設運営の対応に対する十分な配慮を欠いた状況を生んでいることが浮き彫りになっている。特に、忙しい時間帯や運転手の疲労が蓄積した状態での運転は、事故のリスクを高める要因となる。
また、利用者の多様性や生活スタイルの変化にともない、現行の施設設計では対応しきれない部分も多く、公共交通機関との連携強化や施設内での歩行者優先の設計改善が急務となっている。
社会的には、こうした問題に対してシステム的かつ統合的なアプローチが求められる。まずは、ドライバーひとりひとりの意識改革が重要であり、日常的な運転行動の見直しや事故防止に向けた啓発活動が強化されるべきだ。
さらに、施設運営側も人々の安全を最優先にしたインフラ整備を進め、歩行者の安全確保を徹底する必要がある。特に、日本が抱える高齢化社会において、歩行者の保護や、運転手が配慮を持つことは、公共の安全を守るための重要な一環となるだろう。
最終的には、ドライバーと施設運営者が協力し合い、安全対策を講じることで、無駄な命を失わずに済む社会が築かれるべきだ。
ショッピングモールやテーマパークの大型駐車場での事故とその対策について、これまでさまざまな視点で話してきた。皆さんは普段、どんな対策を取っているだろうか。また、どんな対策が効果的だと思うだろうか。意見や感想があれば、ぜひ教えてほしい。
都野塚也(ドライブライター)
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