( 247884 )  2025/01/11 18:12:00  
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大阪・関西万博に関して、松井一郎元大阪府知事と高橋洋一経済学者は、観光客誘致や経済効果について肯定的な見解を示している。

円安やインバウンド観光との関連性、大阪を中心とした関西全体への観光効果、万博会場の魅力、インフラ整備などが経済効果を生む要因とされている。

経済効果は2兆9000億円と試算され、ノーベル賞受賞者による分析に基づいていると述べられている。

(要約)

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大阪・関西万博の経済効果はいかほどか(大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン/時事通信フォト) 

 

 4月にいよいよ開幕する大阪・関西万博だが、費用の増大、工期の遅れなど様々な問題が取り沙汰されている。しかし、「投資以上の経済効果を生む」と語るのは万博を招致した松井一郎・元大阪府知事と経済学者の高橋洋一氏だ。批判もうずまくなか、あえて賛成派の意見に耳を傾ける。 

 

高橋:観光客誘致のインパクトも大きい。 

 

松井:万博の招致をしていた頃は第2次安倍政権。高橋さんが内閣参与で、観光を日本の産業の柱にする「観光立国」を掲げた。僕も官房長官だった菅義偉さんと以前から「観光を政策の柱にしましょう」と話していて、大阪では府と市、経済界が一体となり大阪観光局という司令塔をつくった。 

 

高橋:僕はその頃、安倍晋三・総理から「アベノミクスやったらどうなるか」と聞かれ、「円安になります」と説明した。円安になると外国から観光客がすごくやってくる。アベノミクスとインバウンドは同じ方向だった。インバウンドは金持ちが来てすぐ帰るので、問題のある移民とは別です。 

 

松井:大阪では2024年の外国人旅行者数はコロナ前を上回る1200万人に達しました。先日、菅さんと話をしたら、「インバウンドの目標だった4000万人達成が見えてきたよ」と喜んでいた。 

 

高橋:海外から関空にやってくる観光客の何割かがUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)や万博を見に行くのでは。 

 

松井:昔は、観光と言えば京都。今は大阪に宿泊して京都や奈良に行く。どちらも大阪から約1時間。少し足を延ばして琵琶湖でも約1時間。和歌山のパンダを見たいなら天王寺から特急で2時間。大阪は民泊特区で、大阪観光局は多種多様な宿泊施設を推進してきたから、1泊数千円の民泊から1泊何百万円の宿まである。大阪を中心にすると関西各地への観光がコンパクトに収まるんです。 

 

高橋:大阪は観光のハブとしてのポテンシャルが高い。万博は確実にその起爆剤になる。 

 

松井:今、海外の観光客に非常に注目されているのは内海クルージング。1人50万円の瀬戸内クルージングも人気が高い。万博会場の夢洲は瀬戸内海の大阪湾にあって、淡路島から別府まで静かな内海で結ばれ、海産物もおいしい。そういう非日常の体験もベイエリアだからこそ用意できる。京都や奈良だけではなく、瀬戸内まで含めると多様な観光ニーズに応えられると思う。そう見ると万博の経済効果の広がりはもっと大きい。 

 

高橋:万博は新しい公共事業。多くの人に来てもらい、技術などを工夫していろんなものを生み出す。インフラも整備される。大阪万博の経済効果は2兆9000億円と試算されている。その金額を「あてにならない」と言う人もいるけど、この試算はノーベル経済学賞を受賞したレオンチェフによる産業連関分析で、これまで日本は何回も万博をやって経済効果を調べてきたから、試算の精度は高いんです。しかも、効果はこれまでの準備段階にも出ている。万博期間の収支だけを見ていると全体の経済効果が見えない。 

 

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【プロフィール】 

松井一郎(まつい・いちろう)/1964年、大阪府生まれ。元大阪府知事。福岡工業大学卒業後、株式会社きんでん勤務。2003年に大阪府議会議員、2011年に大阪府知事、2019年より大阪市長を務める。大阪維新の会代表、日本維新の会代表ほかを歴任し、2023年4月に政治家を引退。 

 

高橋洋一(たかはし・よういち)/1955年、東京都生まれ。経済学者。嘉悦大学経営経済学部教授、株式会社政策工房代表取締役会長。1980年大蔵省(現・財務省)に入省、小泉内閣・第1次安倍内閣ではブレーンとして活躍。2008年に退官し、『さらば財務省!』(講談社)で第17回山本七平賞を受賞した。YouTube「高橋洋一チャンネル」で注目を集め、チャンネル登録者数は120万人を超える。 

 

※週刊ポスト2025年1月17・24日合併号 

 

 

 
 

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