( 248559 )  2025/01/13 04:54:52  
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夫婦2人で持ち家暮らしをしている場合、住宅ローンを完済していると定年後の生活費は低く済むと考えられがちです。

しかし、総務省の統計によると、65歳以上の夫婦だけの世帯の消費支出は月に約25万円で、その内訳は住居費を除いた生活費が約23万円とされています。

年金収入だけでは毎月約7万円の不足が生じることが示されています。

持ち家には維持費やリフォーム費用がかかり、その点に留意する必要があります。

年金だけで不足する場合、貯金を取り崩したり、定年後も働いたり、年金を繰下げて受給するなどの対策を取る必要があります。

(要約)

( 248561 )  2025/01/13 04:54:52  
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夫婦2人で持ち家暮らしです。ローンは完済しているので、生活費は年金の16万円で十分ですよね? 

 

持ち家暮らしで住宅ローンを完済していれば、定年後の生活費は賃貸暮らしと比較してそれほどかからないと考える方もいるようです。例えば夫婦2人暮らしで年金収入が月16万円あれば、生活費は十分まかなえるでしょうか。 

 

今回は、夫婦2人で持ち家暮らしの場合に、老後の生活費はどのくらい必要かについて調べてみました。持ち家暮らしの注意点や年金だけでは足りない場合の対策もご紹介しますので、参考にしてください。 

 

総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、1ヶ月の消費支出が25万959円であるとのことです。住居費は1万6827円となっており、持ち家暮らしでまったく住居費がかからないと仮定した場合の生活費目安は23万4132円です。 

 

夫婦2人で年金を月16万円もらえるとしたら、毎月の家計収支は7万4132円の赤字になることが分かります。持ち家暮らしであっても、一般的には生活費を年金だけでまかなうことは難しいといえるでしょう。 

 

賃貸暮らしの場合は家賃が毎月発生することを考えると、持ち家暮らしの住居費は負担が少ないといえるでしょう。しかし持ち家暮らしで住宅ローンを完済していたとしても、住居費がまったくかからないわけではありません。持ち家には維持費やリフォーム費用が発生し、まとまったお金がかかる場合もあるため注意が必要です。 

 

持ち家がある限り固定資産税・都市計画税が発生し、マンションの場合は管理費・修繕積立金がかかります。給湯器など住宅設備が故障した場合は、自己負担で交換をしなければなりません。 

 

持ち家暮らしでは、築年数などによってリフォームを必要とする時期も来るでしょう。リフォーム箇所や規模にもよりますが、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の「2023年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 結果報告書」によると、リフォームにかかった費用の平均は347万6000円、世帯主が50代以上では282万円です。 

 

 

実際の生活費は各家庭によって異なりますが、今回の事例においては前述の通り、年金収入だけでの生活では毎月平均7万4132円の不足分が生じることが考えられます。生活費の不足分を補う方法には、以下のようなものがあります。 

 

・貯蓄を取り崩す 

定年後の家計収支の不足分は、貯蓄を取り崩して補えます。毎月7万4132円の不足分を補うには、年間88万9584円、30年間で2668万7520円が必要です。十分な老後資金を準備することに加えて、すぐに必要でない資金は投資で増やせるかもしれません。 

 

・定年後も働く 

十分な貯蓄額がない場合、または老後資金を減らさないために、定年後も働くことを検討できます。仕事を続けることには、収入を増やすだけでなく、健康維持や社会とのつながりを保てるメリットもあります。 

 

・年金を繰下げ受給する 

年金をすぐに受け取らずに繰下げ受給をすると、繰り下げた期間に応じて増額した年金を受け取れます。日本年金機構によると、例えば請求時の年齢が70歳であれば増額率は42%で、年金を16万円受け取る予定の場合は22万7200円になる計算です。繰下げ受給までの生活費はパートや再雇用収入および貯蓄の取り崩しでまかなうことになるため、「いつまで繰り下げるか」「収入や貯蓄はどのくらい見込めるか」などを検討する必要があります。 

 

定年後の夫婦2人暮らしでは、住居費を除いた1ヶ月の生活費は平均23万4132円であることが分かりました。持ち家暮らしであったとしても、年金16万円だけで生活する場合は、毎月7万4132円の赤字になります。持ち家暮らしは賃貸暮らしと比較して住居費をおさえられると考えられますが、維持費やリフォーム費用が発生する点に注意が必要です。 

 

年金だけで足りない場合は、生活費の不足分を補うために、貯蓄を取り崩す必要があります。十分な貯蓄額がない場合は、定年後も働いて老後資金を少しでも増やせるでしょう。それと同時に年金を繰下げ受給できれば、繰り下げた期間に応じて増額した年金を受け取れます。 

 

出典 

総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2023年-(19ページ) 

一般社団法人住宅リフォーム推進協議会 2023年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 結果報告書 2024年2月 リフォーム費用(1)(22ページ) 

日本年金機構 年金の繰下げ受給 

 

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 

ファイナンシャルプランナー 

 

ファイナンシャルフィールド編集部 

 

 

 
 

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