( 249099 )  2025/01/14 05:06:14  
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中国では新車の販売数は多いものの、NEV(新エネルギー車)を含むEV(電気自動車)は減少傾向にある。

中国市場ではNEV車の需給が安定しないと予想される。

2021年11月の中国市場におけるEVの動向では、NEVの販売台数は前年比50.8%増の126.8万台となり、新車販売全体に占めるNEVの割合も52.33%と歴史的な高水準。

ただし、販売シェア率は3ヵ月連続でわずかに低下しており、現在は経済対策の一環としてNEV向けの補助金政策が行われているため、NEVとともにガソリン車の需要も増加している。

BEV(バッテリーEV)のシェア率が急速に増加し、世界の主要マーケットにおいて中国市場がリードしている状況。

2025年以降には高衝撃の新型EVが次々に登場するなか、各セグメントにおける販売動向も注目されている。

(要約)

( 249101 )  2025/01/14 05:06:14  
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中国では、新車自体はかなりの数が販売されているが、EVなどを含むNEV車は減少傾向にあるそうだ。中国市場ではまだまだNEV市場における数字の乱高下が目立つと予想される。 

 

中国市場における最直近11月のEV販売動向の詳細が判明しました。新車販売の2台に1台以上がすでに新エネルギー車に置き換わるなか、日本メーカーの苦しい販売動向と見通しを中心に考察します。 

 

まず、中国市場におけるBEVとPHEVの合計を示した新エネルギー車の販売台数は126.8万台と、前年同月比で50.8%もの増加を記録しました。新車販売全体に占める新エネルギー車の販売比率も52.33%と、歴史上最高水準の電動化率を達成しています。 

 

ただし、販売シェア率は3カ月連続でわずかに低下を続けている状況です。この理由は、現在中国市場における経済対策の一環として、いまある車両を下取りに出して新車を購入すると、排気量2リッター以下のガソリン車の場合は1.5万元(日本円で約32万円)、新エネルギー車の場合は2万元(約42万円)が補助されるという政策を実施中だからです。 

 

よって、NEVとともにガソリン車の需要も同じく増加しているのです。ちなみにこの補助金制度は2024年末まで実施され、自動車だけではなく、冷蔵庫や洗濯機、テレビ、エアコン、コンピュータなどの家電などにも買い替え支援策を展開しています。 

 

他方で注目するべきは、新エネルギー車のなかでもBEVとPHEVの販売割合という観点です。2021年11月時点での新エネルギー車全体に占めるBEVのシェア率は79.63%と圧倒的なシェア率を示していたものの、直近の2024年11月単体では59.78%と、PHEVのシェア率が急速に増加しています。 

 

ちなみに9月からPHEVとEREVをわけて統計情報が発表されており、11月単体のシェア率は、BEV:PHEV:EREV=60%:32%:8%という販売割合です。 

 

そして、もっとも注目するべきはBEVに絞った販売シェア率の変遷です。11月単体のシェア率は31.28%と史上最高を達成しました。PHEVの販売増加以上にBEV販売も伸びていることを示しているのです。 

 

世界の主要マーケットにおけるBEVの販売シェア率の変遷を比較すると、水色で示されている中国市場が欧米などを大きくリードしている状況です。果たしてBEVシェア率が最大化する年末までにどれほどシェア率が伸びるのかに注目が集まります。 

 

それでは11月にどのようなEVが人気であったのか、そして2025年以降、どのEVに注目するべきなのかを分析します。 

 

まず初めに、11月の内燃機関車も含めたすべての販売車種ランキングトップ30を確認しましょう。ピンクが新エネルギー車、そして緑が内燃機関車を示しています。 

 

トップに君臨したのがBYDシーガルです。その次にテスラ・モデルY、BYD Song Plus、BYD Qin Plus、Hong Guang Mini EVと続きますが、トップ10のうち内燃機関車は第7位の日産シルフィと第8位のフォルクスワーゲンLavidaしかランクインすることができていません。トップ20に広げてみてもたったの6車種です。つまり、人気車種のマジョリティが、BEVかPHEVという新エネルギー車で占められてしまっているのです。 

 

次に、このグラフは新エネルギー車に絞った販売ランキングトップ30を示したものです。黄色がBEV、水色がPHEVを示します。BYDが13車種を席巻しながら、トップ10に限ると7車種とBYDの強さが見て取れます。 

 

そして、注目するべきは、このトップ30のうち海外メーカー勢はテスラ・モデルYとモデル3の2車種しかランクインできずに、残りはすべて中国勢が席巻しているという点です。 

 

 

さらに、このグラフはBEVに絞った販売ランキングトップ30を示したものです。このBEVランキングで注目するべきは、注目の新型車が次々とランクインしているという点です。とくに第27位にランクインしたXpengのフラグシップセダンP7+、第19位のファーウェイLuxeed R7、第18位のZeekr 7X、第16位のXpeng Mona M03、第11位のGalaxy E5、そして第7位のシャオミSU7というように、すべて2024年から発売をスタート、とくにSU7以外は2024年後半から発売をスタートしている最新BEVです。 

 

そして、その車種別の販売動向をさらに詳細に分析するために、今回は大衆セダンとプレミアムBEVセダンとSUV、および高級車という注目セグメントをそれぞれ分析します。 

 

まず初めに、大衆セダンセグメントの販売動向について、やはりBYD Qin PlusとQin L/Seal 06がそれぞれ5.6万台、6.3万台を1カ月に売り上げて圧倒しています。フォルクスワーゲンLavida/Sagitar、トヨタ・カローラ/レヴィン、ホンダ・シビック/インテグラ、そして日産シルフィという大衆車が揃って前年比マイナス成長であり、補助金政策があるにもかかわらず、BYDに対抗できなくなっている様子が見て取れます。 

 

また、BYDと日本メーカー勢という大衆セグメントの販売が中心の大衆ブランドの月間販売台数の変遷を見てみると、BYDが前年同月比で59.3%もの成長を実現するなか、トヨタのみ10.3%のプラス成長を実現したものの、日産は15.8%ものマイナス成長、ホンダは27.9%という大幅なマイナス成長を記録。 

 

これでガソリン車に対する補助金がなくなる2025年シーズン、レガシーメーカーがどれほど販売台数を維持できるかが懸念されます。 

 

次に、プレミアムBEVセダンセグメントに関して、11月はモデル3の販売台数が急増してシャオミSU7超えを達成しました。シャオミSU7は11月単体で2.3万台強を発売しており、すでに月間生産能力の上限に到達しているものの、現状週間ベースで6000台の確定注文を獲得。つまり、このペースというのは現状の生産能力の上限の需要が続いているということを示します。 

 

また、モデル3とSU7に対抗するのが、Xpengが11月に発売開始したP7+の存在です。11月の数週間で6950台を発売することに成功しています。 

 

また、2025年に注目するべきはプレミアム電動SUVセグメントです。これまでモデルYが不動の王者であったものの、2024年以降、競合が続々参入中です。なかでもLi AutoのL6とL7、さらにファーウェイAITO M7というEREVの存在感が高まるなか、Zeekr 7Xが1.1万台強と大躍進中。そして、ファーウェイLuxeed R7も1.1万台と人気です。そして、NIOの大衆ブランドOnvoのL60が5082台を達成しながら、12月中に月間1万台、25年3月までに2万台を目指しており、モデルYの最大のライバルとなる見込みです。 

 

そして、なんといっても注目なのが、ついにシャオミが公式に2車種目として2024年7月までの正式発売スタートを表明したSU7のSUVバージョンとなるYU7です。全長4999mm、全幅1996mm、全高1600mm、ホイールベースが3000mmの中大型SUVセグメントに該当しながら、前後にモーターを搭載することで最高出力も508kWとハイパフォーマンス仕様です。 

 

これらの競争力の高い電動SUVがモデルYにどこまで対抗できるのか。販売台数の推移に注目です。 

 

最後に注目したいのが高級車の販売動向です。トップに君臨しているのがファーウェイのAITO M9の存在であり、ドイツ御三家のアウディA6LやBMW 5シリーズなどの人気モデルを上まわっています。しかも、アウディはA6Lにおいては、最大14万元以上(約300万円)もの大幅値下げを断行中であり、現在A6Lは30.81万元(約620万円)からのスタートと、もはや高級車ではなくなってしまっています。 

 

いずれにしても、最直近2024年11月最新の中国市場のEV販売動向を詳細に分析していくと、 

 

・大衆セグメントはBYDが圧倒的な支配力を発揮しており、対する日本メーカーの販売台数がさらに低下中 

 

・中国市場が稼ぎどころでもあるドイツ御三家も、ファーウェイ、Li Auto、NIO、BYDの台頭によって大幅値下げを強いられている状況 

 

・テスラ・モデル3とシャオミSU7、Xpeng P7+というBEVセダンの三つ巴の激しい戦い 

 

・Zeekr 7X、Luxeed R7、Onvo L60、そしてシャオミYU7というモデルY包囲網の形成 

といったことがわかります。 

 

これらの動向を2025年も継続的に注目していきたいと思います。 

 

高橋 優 

 

 

 
 

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