( 249571 ) 2025/01/15 04:35:12 0 00 〔PHOTO〕Gettyimages
昨年の東京都知事選で2位に躍進し、政界で注目の的となっている石丸伸二・前安芸高田市長。
今夏に行われる東京都議会議員選挙に向けて新党を立ち上げると表明しているが、都庁記者クラブで開かれる予定だった新党設立に関する記者会見が中止となったことが話題となっている。
石丸氏は1月13日、X(旧Twitter)に「1/15(水)に予定していた記者会見は中止になりました」と投稿。
理由について、「記者クラブ宛に出した案内がネットに流出し、日時と場所が広く知られてしまった」「記者クラブには『取材目的の希望者は出席を制限しない』と言われたため、誰が来るかわからない状況は種々のリスクが高いと判断しました」と綴った。
つまり、当初予定していたやり方だと、会見への参加希望者は特に選別されず多くがそのまま参加する可能性があり、会見の場が荒らされたり、場合によっては、暴力に訴えかける人が乱入したりする懸念があるため、予定を立て直すことにしたというわけだ。
なお、石丸氏はその前日である1月12日にYouTubeで実施したライブ配信でも、「記者とかも自称の人が来たら混乱のもとだし危ない」と苦言を呈していた。
都庁関係者は語る。
「これまで都庁記者クラブで行われてきた会見は、フリージャーナリストも事前に参加希望の連絡をすれば、多くはそのまま会見に出ることが可能な形で運用されてきた。今回も同じように会見を開こうとした結果、トラブルになったのだろう」
誰でも参加できる記者会見は、マスコミのみの閉鎖的な会見と比べて、説明の場としては納得感を得やすいが、一方で、不審者などが入り込む可能性があり、危険を伴うのも確かだ。
例えば、内閣総理大臣記者会見はフリージャーナリストも一部受け入れているが、警備上の観点から「署名記事等を提供し、十分な活動実績・実態を有する者」などという条件をつけている。
トラブルで一度中止となった石丸新党の記者会見だが、そのことについて投稿された1月13日に再度、石丸陣営から記者会見の案内が各報道機関にプレスリリースされた。
フリージャーナリストである筆者も取材の過程で案内を入手。その具体的な場所などは会見の支障となるおそれがあるため本稿では伏せるが、案内の中で目を引いたのが、記者会見に参加するための条件だった。
新しい案内には「参加に関する諸条件事項」として、「都庁記者クラブに所属していないメディアに関しては、事前申請ならびに、許可制といたします」「許可の可否基準に関しましては、マス媒体の有無もしくは、登録者数100万相当のネット媒体を有するか否かを基準とさせていただきます」「会見中、不規則発言等の進行を妨げるような言動、行為のあったメディアに関しては、途中退室していただきます」という3つの条件がつけ加えられたのだ。
特に「登録者数100万相当のネット媒体」というのはかなり高いハードルであると言えるだろう。
マスメディアに所属しないフリージャーナリストにとっては、総理会見よりも参加が難しいと言えるかもしれない。
一方で、近年の記者会見では、批判的な質問の域を超えた、不規則発言や一方的な意見表明のような質問が多々見られるのも事実だ。
ネットを中心に、目立つ事で再生数などを稼ぎ、収益をあげようとするアテンション・エコノミーがジャーナリズムにも侵食してきていると言える。
そうした中で、どのような形で記者会見を開けば、より多くの人が参加出来て、より建設的な質疑応答を行うことができるのか。
石丸新党を巡る一連の騒動は、そうした課題を浮き彫りにしたと言えるだろう。
今も記者会見の運営を握っているマスメディアによる記者クラブのあり方が改めて問われている。
宮原 健太(ジャーナリスト)
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