( 249959 )  2025/01/15 18:47:16  
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12月26日にソフトバンク入団会見が行われた上沢直之について、武田一浩氏が今オフの補強について振り返った。

ソフトバンクの補強には、濱口遥大の獲得が目立ち、投手陣の補強が話題になっている。

上沢のポスティングでのメジャー挑戦についても言及し、ソフトバンクへの移籍について批判がある中で、武田氏はプロの選手としての権利として理解を示した。

来月からの春季キャンプでは、主力選手たちの動きやチームの雰囲気を見て、その年の状態を把握するのが重要だと述べた。

また、菅野智之のオリオールズへの移籍や菊池雄星のエンゼルスとの契約、そしてドジャースの先発陣の強化についても触れられている。

(要約)

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12月26日に行われた、上沢直之(30歳)のソフトバンク入団会見 photograph by JIJI PRESS 

 

田中将大や上沢直之の去就など、話題に事欠かなかったプロ野球のストーブリーグ。NHK解説者の武田一浩氏(元日ハム、ダイエー、中日、巨人)に、今オフの補強について振り返ってもらった。【全2回の後編/前編も公開中】 

 

◆◆◆ 

 

 武田氏によると今オフの補強で目立った印象だったのは、巨人とソフトバンク。前編で紹介した巨人に続き、後編ではまずソフトバンクの補強について聞いていく。 

 

「DeNAからトレードで獲得した濱口遥大は、1年離脱せずに投げられたら2桁勝てる実力はあると思うよ。彼は佐賀出身だから、地元が近いソフトバンクに行って調子がよくなるかもね。ただ、ホークスは千賀滉大が抜けてから、投手陣に大黒柱がいない。先発だけじゃなく中継ぎもそこまで盤石じゃない。先発で2桁勝利が計算できるのは、有原航平、モイネロくらいかな。そこに新加入の上沢直之と濱口がどう上積みするか」 

 

 上沢は昨季、ポスティング制度を利用してメジャーに挑戦したが、2試合の登板にとどまり、オフにFAに。日本に帰国後は、古巣の日ハムへ復帰するのではないかと思われていたが、昨年12月にソフトバンクと契約したのだった。 

 

 ポスティングによる球団への譲渡金の少なさや短期間での帰国、そしてオフの間に日ハム球団施設を使っていたことなどの理由により、上沢のソフトバンク移籍に対しては、ファンやOBらの苦言も聞かれた。武田氏はどう思っているのだろうか。 

 

「条件がいいチームに行くのは、プロとしてはしょうがないと思う。仕事だから。日ハムとソフトバンクでは、条件面でかなり差があったんじゃないの。ファンの気持ちもわからなくはないけど、あんまり叩くのもかわいそうだと思うし、そもそも叩くことじゃない。あくまでも本人の権利だから。ただ、上沢が今季どのくらい活躍できるかはわからない。俺も含めて多くの人は、去年の登板をほとんど見られてないからね。でも、上沢は普通にすれば150イニング近く投げられるから、チームとしては助かると思うよ。このような補強を見ると、パ・リーグではソフトバンクが戦力的には他よりひとつ抜けているかな」 

 

 

 来月からは春季キャンプがスタートし、いよいよ球春到来だ。期待の選手の仕上がりを現地まで見学にいくファンも多いだろう。武田氏はキャンプの見方についてこう話した。 

 

「キャンプを見ただけじゃ、チーム順位の予想や選手の調子まではわからない。前半は主力選手は本気で動いてないしね。俺も最近は主力が本気を出し始める20日頃から行ってるよ。でも、チームの雰囲気はぱっと見て結構わかると思う。怪我人が多いチームはどこか暗いし、逆に勢いがありそうなチームは活気があったりもするからね。チームのその年の状態を見たいなら、当たり前だけどキャンプじゃなく練習試合やオープン戦のほうが参考になる。ルーキーも出場するし、ベテランでもなんとなく調子の良し悪しがわかる」 

 

 ストーブリーグは日本だけではなく、アメリカも活発だ。昨年は、大谷翔平と山本由伸が在籍するドジャースがワールドシリーズを制覇し、日本でも大きな話題となった。また、今オフは日本からも選手が移籍する見込みだ。オフの補強から見える来シーズンのメジャーとは。 

 

「菅野智之はオリオールズに決まったね。随分、早く決まって、しかも1年契約なんだなと。オリオールズは徐々に強くなってきてはいるから、悪くはない。ただ、オリオールズの東地区は春先はまだ寒いから、大変だろうね。調整をしっかりして、怪我なくやってほしい」 

 

 菅野は35歳でのメジャー挑戦になったが、どれほど勝ち星を上げられるのだろうか。 

 

「願望としては2桁は勝ってほしいね。最多勝した去年のようなコントロールのいいピッチングなら、いけると思うよ。スピードはなくても、フォークの落差とコントロールがあれば2桁は乗るんじゃないかな。オリオールズはチャーリー・モートンとも契約したから、先発陣はいいよね。モートンは41歳だけど、打たせて取るピッチングで2桁近く勝てるし、イニングも投げられる。チームとして、どこまで勝てるか楽しみだね」 

 

 一方、武田氏が驚いたと話すのは、菊池雄星のエンゼルスとの契約である。アストロズからFAになっていた菊池だが、11月末にエンゼルスと3年総額6300万ドルで契約したのだ。 

 

「すごく早く決まってびっくりしたよ。当然、パドレスやドジャースでもアリだったと思うけど、なんでエンゼルスなんだろうと。昨シーズンは99敗しているエンゼルスでどのくらい勝てるのか懸念はある。エンゼルスは野手の補強をしているけど、それがうまくハマればいいね。菊池は昨シーズンは後半から結果が出てきたけど、来季は2桁は勝ってほしい」 

 

 

 また昨シーズン、ワールドシリーズを制覇したドジャースについて、武田氏は「地区優勝はすると思う」と予想した。 

 

「山本由伸は去年故障したけど、今年はその反省を生かしてくる。それで1年間投げられたら、2桁はカタイだろうね。大谷翔平は左肩の怪我の影響もあって開幕ローテーションには入らないと思うけど、途中からは投げる。また、ドジャースは、2018年のサイ・ヤング賞受賞者のブレイク・スネルも獲得した。スネルは制球難でそのぶん球数が多くなるときがある。中継するほうとしては、彼の登板試合は時間が長くなって大変なんだけど、ドジャースの課題だった投手力は確実に上がっている」 

 

 これでドジャースの先発陣は、山本、タイラー・グラスノー、スネル、大谷、トニー・ゴンソリンが有力。ここに佐々木朗希が加わるかどうかが、注目されている。 

 

「佐々木はドジャースかパドレスに行くんじゃないかと思う。仮に佐々木がドジャースに入ったら、先発はめちゃくちゃいい。みな故障せずに過ごせたら、地区優勝はするだろうね」 

 

 昨年は大谷が数々の記録を作ったうえでワールドシリーズを制覇した。今年もドジャースは連覇となるのか。 

 

<前編《巨人の失敗》編から続く> 

 

(「プロ野球PRESS」沼澤典史 = 文) 

 

 

 
 

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