( 250919 )  2025/01/17 17:29:52  
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日本の人口は2100年に8000万人に減少する見込みで、馬渕磨理子さんは「8000万人のための経済が回って行けばいいので慌てる必要はない。

すでに日本はそれに向けて成功しつつある」と述べている。

日本は工場誘致など供給側の強化を進めており、その取り組みが好調であるとしている。

トランプ政権の政策や日本の再生可能エネルギー、住宅政策なども株式市場に影響を与えている。

将来的に8000万人の日本でも経済が浮揚し、人々が安心して生活できる国づくりが重要だという見解も示されている。

(要約)

( 250921 )  2025/01/17 17:29:52  
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北海道千歳市に誘致されるラピダスの半導体工場を視察する鈴木道直北海道知事(左手前)と、説明するラピダスの小池厚義社長(左手前から2人目)。撮影=2024年4月26日 - 写真=時事通信フォト 

 

日本の人口は2100年に8000万人にまで減っていくと予想される。経済アナリストの馬渕磨理子さんは「8000万人のための経済が回って行けばいいので慌てる必要はない。すでに日本はそれに向けて成功しつつある」という――。 

 

 ※本稿は、馬渕磨理子『一歩踏み出せない人のための株式原論』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。 

 

■トランプ政権が日本経済に与える影響 

 

 米国経済の状況は、常に日本経済に影響を及ぼします。トランプ氏が大統領選挙に当選すれば、日本に対して防衛費のGDP比率を2%超えの水準にさらに積み増すことが考えられる。日本株の軍事関連は引き続き好調さを保つ可能性があると思っていました。 

 

 トランプ氏は中国製品に対し60%超え、中国以外の国からの輸入品にも10%の追加関税を課す考えを示しています。中国経済にとって大打撃であり、中国関連銘柄は厳しい状況が続きそうです。 

 

 次に、環境です。トランプ氏はパリ協定からの離脱や、燃費規制の緩和を掲げています。EV普及にも後ろ向きな点は日本の自動車産業には追い風です。 

 

 さらにエネルギー関連。「ドリル、ベイビー、ドリル(掘って、掘って、掘りまくれ)!」との言葉に象徴されるように、トランプ氏は、雇用を生み出すためだとして、アメリカの石油・天然ガス産業を後押しすると主張しています。米国のエネルギー産業が復活し、日本の商社などエネルギービジネスへの影響も期待できます。 

 

ハリス氏は、環境問題には積極的。バイデン政権と同様に、気候変動対策や再生可能エネルギーの推進を進める方向です。日本の再生可能エネルギー、水素やCO2 

回収・貯蔵などの分野でビジネスが期待できました。 ハリス氏は、住宅政策にも力を入れるとしていました。大統領の任期の4年間で300万戸の住宅建設を目指すとし、建設会社への税優遇を通じて若い世帯が最初に購入する安価な「スターター住宅」の建設を支援するという。これによって米国の住宅市場が活況となることが見越されていました。アメリカで事業展開している日本の住宅メーカーの株価が強含む局面も昨年10月時点ではありました。 

 

 2025年からの米国大統領はトランプ氏に決まりましたが、どちらが大統領になったとしても、株式投資に関しては、やることは同じ。アメリカの経済状況を見極めつつ、大統領の政策を分析することに変わりありません。 

 

 

■成功しつつある日本の工場誘致 

 

 先進諸国の需要が飽和してきた中で、なぜサプライサイド経済学に再び光が当たっているか。それは、人々の需要が飽和していて買い替えにしか需要がなくなってきたからです。既存の物を買い替えて回すしかない。豊かになりきった社会の次なる経済として、成熟した国からは、供給側からプッシュして雇用を生み出し、引き上げようとする理論が出てくるのが自然です。 

 

 例えば、工場誘致は賃上げにつながります。製造業だけにとどめず、幅広い産業を国内で作る方向にしていくと、人口が1億を下回っても、全員が豊かで食べられるという社会にしていけるでしょう。 

 

 日本も、供給力アップのために国内の工場誘致を進めています。地元の中小企業と消費者との関係や家賃上昇、賃上げなど問題はいくつかありますが、サプライサイドは調子よく動いています。日本の経済が浮揚しそうに見える理由は、このようなモノづくり国の復活にもあります。 

 

 ラピダスの工場が2025年、北海道の千歳に誘致され、台湾のTSMCが熊本に誘致されました。これらの銘柄は株価も伸びています。こうした中で、半導体や電力株も高騰しています。また、ルネサスが甲府に、三菱電機が福山に、マイクロンが広島にと、明らかにサプライサイド=供給側を増やしている政策です。この政策に関しては、日本はいま、成功していると言えるでしょう。 

 

 マクロ経済の視点から見ると、経済が浮揚する期待感があります。実際、私も熊本を訪れました。まだ地元での雇用が足りていないとか、土地の値段が上がっているとか、いろいろと痛みを伴いながら進んでいる様子ですが、1億2000万人だった人口が8000万人に減っていく日本の中で、8000万人のための経済が回って生きていくための、まずは一歩なのではないかと、期待が持てます。 

 

■8000万人が安心して住める国に 

 

 いまの日本は、8000万人に人口が減少する中で、第一次所得の金融で儲けている国になっています。でも、金融で儲ける国は、いずれ衰退します。モノづくりができる国でなければ発展はありません。製造業や農産物、電力などの国内自給率を高め、人口減少が進む日本の中で人々がうまく暮らしていける環境をつくる必要があります。 

 

 韓国は人口が5000万人、ドイツだって8000万人です。現時点では日本より人口が少ない国です。国内自給率が高まり、8000万人が安心して住める国という認識になれば、経済は成長していくと思います。 

 

 先進国では、どこも飽和状態の中でサプライサイド経済学の考えかたに、もう一度光が当たってきています。 

 

 出生率は、すぐには上がらないかもしれませんが、子育てにお金をばらまくだけではなくて、供給側でプッシュして、雇用を生み出して、経済を引き上げようという考えかたが出てくるというのは、この成熟した国にはすごくマッチしていると、私は思います。これらを紐づけて考える習慣を皆がつけることで、株式投資のための学びはいつしか、豊かな日本をつくるための力になっていくと思います。 

 

 

 

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馬渕 磨理子(まぶち・まりこ) 

日本金融経済研究所 代表理事、大阪公立大学 客員准教授 

京都大学公共政策大学院 修士課程を修了。トレーダーとして法人のファンド運用を担う。その後、金融メディアのシニアアナリストを経て、現在は、一般社団法人日本金融経済研究所 代表理事として企業価値向上の研究を大学と共同研究している。イー・ギャランティ社外取締役。楽待 社外取締役。国会 衆議院 財務金融委員会で参考人として意見陳述し、事業性融資の法案可決に寄与。フジテレビ「LiveNewsα」、読売テレビ「ウェークアップ」レギュラー出演中。 

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経済アナリスト、日本金融経済研究所代表理事 馬渕 磨理子 

 

 

 
 

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