( 251194 )  2025/01/18 05:40:09  
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2025年1月8日、NHKの番組「首相動静」によると、石破茂首相へのインタビューが行われた。

インタビューでは、SNS規制、地方創生、減税、経済政策などの主要課題について話がされた。

特に実質賃金の問題や社会保険料の増加について取り上げられ、次の世代への負担増と物価上昇について言及された。

また、社会保障制度の改革やデジタル技術の活用が重要だと述べられた。

石破首相は、物価上昇に対し賃金上昇が必要とし、社会保障制度の改革の中心にデジタル技術とAIの活用が据えられるべきだとしている。

(要約)

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石破総理大臣 

 

 令和7年(2025年)1月8日、NHK「首相動静」の表記によれば、<16:29 ネットメディア「みんかぶマガジン」のインタビュー(~17:02)>に、石破茂首相へのインタビューを行った。インタビューは、SNS規制、地方創生、減税、経済政策など国政の主要課題について行われた。なお、掲載にあたって読みやすさや話題のまとまりを重視して、順序を入れ替えた部分がある。今回は「実質賃金」「103万円の壁」「歳出削減」について。(聞き手は、鈴木聖也みんかぶ編集長、小倉健一)全5回の第3回。 

 

  前政権である岸田政権では、実質賃金が24カ月連続でマイナスとなり、比較可能な1991年以降で戦後最長のワースト記録を樹立した。厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、物価変動を加味した実質賃金は、2023年3月に前年同月比2.5%減少した。名目賃金は伸びているが、物価上昇がその効果を相殺している状況が続いたのだ。 

 

 岸田政権を引き継いだ石破政権でも実質賃金の低下が続いている。2024年11月の実質賃金は前年同月比0.3%減少し、4カ月連続でマイナスとなった。名目賃金は平均30万5832円で、前年比3.0%増と35カ月連続のプラスを記録したが、物価の上昇に追いついていない。所定内給与の伸びは32年ぶりの高水準である2.7%増となったが、購買力の低下を反映する実質賃金のマイナス傾向は止まらなかった。防衛増税や子育て支援金、社会保険料のアップなど、国民負担が続々と増える中で、政府は有効な手立てを欠いたままだ。 

 

――社会保険料や社会保障についてお伺いしたい。現在、社会保険料や国民負担が増え続けている状況がある。一方で、これに対する国民の不満や不安の声も多く聞かれるように思う。石破政権として、この課題にどのように対応していくのか。また、国民民主党が提言している103万円の壁について、どのように考えているのか。 

 

石破茂総理大臣 

 

 103万円の壁について、現時点で、与党としては123万円まで引き上げを表明している。しかし、「これでは話にならない」と言われていて「178万円を目指す」ことになっている。この問題については、これから議会で各政党が話し合い、一致点を見出していく必要がある。 

 

 だが、控除を上げることで税収が減少するのは避けられない。そのため、その減少分をどのように補填するかという課題がある。減税は嬉しいことだが、それに伴う財源不足を解決しなければならない。この議論を通じて最適解を見つけるのが議会の役割だ。 

 

 財源の問題は避けて通れない。次の世代に負担を押し付けるような借金をして済ませるわけにはいかない。これは物価上昇の問題と似た構図がある。世論調査を見ても、国民が政府に最も求めているのは物価上昇への対応だ。物価上昇は低所得者層への負担が大きい。そのため、燃料支援や低所得者への補助などを行っていく。しかし、本質的な解決策は、物価上昇を上回る賃金上昇を実現することである。 

 

 昭和40年代には物価が年20%以上上昇する「狂乱物価」の時代があった。田中角栄元総理の時代だ。これは大変な物価上昇であったが、その時代は賃金も同時に上昇したため、生活水準が改善した部分もあった。現在も物価上昇に対応するためには、賃金がしっかりと上昇する仕組みを整えることが重要だと考える。 

 

 

――社会保険料や税金、国民負担の増加に対してはどのように取り組むのか。 

 

石破茂総理大臣 

 

 社会保険料も引き続き上がっていく状況にある。消費税をこれ以上上げる考えはないが、それでも国民は「税金が高い」という感覚を持っている。そこで集めた税金は、主に医療とか年金とか介護とかに使っていくのだが、この負担感を軽減しつつ、医療や年金、介護といった社会保障制度をより良い形に改革していくことが求められる。デジタル技術やAIを活用することで、これらの制度を最適化できると考えている。 

 

 例えば、医療分野では、全国どこに住んでいても同じ診療を受けられるようにするため、デジタル技術を駆使した医療インフラの整備を進めるべきだと考える。現在、お薬手帳が普及しているが、これをデジタル化することで、患者ごとに最適な薬の量を処方する仕組みが整う。複数の病院を受診し、過剰な薬を処方されてしまう事例を防ぐことができる。同じ患者が複数の医療機関で初診のたびに検査を受ける現状についても、情報を一元管理することで検査コストを削減できる可能性がある。 

 

 医療分野だけでなく、介護分野にもデジタル技術やロボットの導入が有効だと考える。例えば、ロボット技術を活用して人手不足を補いながら、高品質な介護サービスを提供することができる。これによって効率化だけでなく、サービスの質を高めることが可能だと考える。 

 

――社会保障を削減ではなく、効率化、最適化という考え方か。 

 

石破茂総理大臣 

 

 効率化という言葉は人件費削減を連想させるが、目指しているのは質を落とさず、むしろ向上させるための最適化だ。医療や介護の分野で得られるさまざまなデータを活用することで、最も効果的な治療法や介護方法を導き出すことができる。 

 

 これにより、限られた資源を有効に活用しながら、国民にとってより良い社会保障を実現できるはずだ。社会保障制度の改革は簡単な課題ではないが、現状を維持するだけでは国民の不安や不満を解消することはできない。デジタル技術やAIを積極的に取り入れることで、国民に安心と満足を提供できる社会を目指したい。 

 

 

――減税の話が出ると、必ず財源の問題が議論される。増税や国債発行が選択肢として挙がる一方で、歳出削減も有効な手段だ。世論調査からも明らかなように、国民の側からすれば、政府に行ってほしいのは、増税でも国債発行でもなくて、ムダ遣いを削ることを求めている。しかし、政府や自民党・公明党など与党内では歳出削減の話が一切出てこない印象がある。こうした歳出削減へのやる気について、政府や与党内での考え方を聞きたい。 

 

石破茂総理大臣 

 

 歳出削減の話になると、例えば「議員が多いのではないか」「議員を減らすべきではないか」という意見が出る。これには賛成する声も多い。しかし、具体的に「この選挙区の議員を減らしましょう」となると、反対意見が出るのが現実だ。「地域の声を反映するための議員が減るのは困る」という反発が必ずある。一方で、自分の地域と関係ない議員を減らす話には賛成するという傾向が見られる。これは良し悪しの問題ではなく、多くの人がそう感じるという現実だ。 

 

 無駄なものというのが本当に誰にとっても無駄なものであれば、とっくに削減されているはずだ。ある人にとって無駄なものが、別の人にとっては必要なものになる場合が多い。例えば、7割や8割の国民が「これは無駄だ」と感じるものがあれば、そういったものから削減する議論が進む。しかし、すべての人にとって無駄だと言えるものは非常に限られている。 

 

 先ほどの話の続きになるが、例えば朝昼晩と複数の医療機関を受診し、多くの薬が処方されてしまうケースや、どの医療機関でも初診扱いで多くの検査を受け、時間がかかるといった問題がある。また、コロナ禍においても、最適な治療法が確立されるまで時間がかかった背景には、情報の集積や分析が十分ではない点がある。 

 

 歳出削減や無駄の削減という議論よりも、すべての人に最適な行政サービスを提供する方法を考えるべきではないか。デジタル技術やAIは、そのために活用されるべきだと考えている。 

 

みんかぶ編集部 

 

 

 
 

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