( 251389 )  2025/01/18 16:05:26  
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フジテレビの港浩一社長が女性トラブルに関与した社員についての週刊誌報道を受け、17日に記者会見を開いたが、批判を浴びた。

会見は閉鎖的で、要求される厳しい質問を避けるために行われたと指摘されている。

港社長は第三者委員会を設置すると宣言したが、委員の中立性や調査の進め方についての明確な情報がなく、企業コンプライアンスに疑問が残る会見だった。

会見での発言から、フジテレビ側が自身を擁護し、態度が強気で結論ありきであるとの印象を受けた。

今後の展開が注目されている。

(要約)

( 251391 )  2025/01/18 16:05:26  
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フジテレビの港浩一社長 

 

 タレントの中居正広さん(52)が公表した女性トラブルに、フジテレビ社員が関与していたという疑惑を掲載した週刊誌報道を受け、同社の港浩一社長は17日、記者会見を開いた。だが、その会見の様子が報じられるやいなや、SNS上では「形だけの会見」「穏便に済ませたいとしか思えない」など批判の嵐となった。フジテレビの会見は、なぜ世間の不信感をあおり、火に油を注ぐ結果となったのか。企業コンプライアンスに詳しい郷原信郎弁護士に、会見の問題点を聞いた。 

 

*  *  * 

 

 今回の会見について、郷原氏は「そもそも会見と呼べるものではなく、単なる説明会だった」と切り捨てる。 

 

 当日招かれたのは、記者クラブに加盟している新聞社やテレビ局の記者のみで、雑誌やネットメディア、フリーの記者は締め出された。さらに、NHKや民放局記者は質問できず、ただ話を聞いている“オブザーバー”としての参加となった。 

 

 情報発信を生業とする立場でありながら、あえて、批判が予想される閉鎖的な会見を行った意図は何なのか。郷原氏は「厳しい質問にさらされるよりはマシ」という判断が働いたとみる。 

 

「『これから調査委員会を設置するので、その調査結果が出るまでは何も話さない』という姿勢を貫く以上、いくら質問されても答えようがない。はぐらかしたというマイナスイメージを極力持たれないようにするための戦略でしょう」 

 

 港社長は冒頭、「第三者の弁護士を中心とする調査委員会を立ち上げることとしました」と宣言したが、肝心の調査委員会メンバーについては発表しなかった。 

 

 記者との質疑応答の中では、「非常に、第三者委員会に近い、独自性専門性が高い人たちを選びます」「調査委員会の方々と相談したうえで、じゃあ第三者委員会にしよう、もしくは調査委員会にしよう、というように決めることになると思います」という発言もあり、委員の中立性がどこまで担保されるのかは不明瞭だった。 

 

「フジテレビは昨年末、『当該社員は一切関与しておりません』と断言するコメントを出している。週刊文春の報道は“ぬれぎぬ”とする姿勢が前提にある以上、フジの意向とは完全に切り離された第三者委員会にならなければ、まともな調査結果にはならないでしょう。企業の言いなりになって都合のいい報告をあげるような外部弁護士に委員を依頼したり、ましてや社内の人間をメンバーに混ぜたりする事態になっては言語道断です」 

 

 

■幹部発言ににじむ「結論ありき」のニュアンス 

 

 郷原氏は会見内容から、「自分たちは悪くない」「週刊文春とは全面対決する」といったフジテレビの意志を感じたという。そのメッセージが顕著に表れているのが、石原正人・常務取締役による以下の発言だ。 

 

〈(社員の関与の有無について、)当該社員の聞き取りのほか、通信履歴などを含めて調査、確認を行った結果を受け、弊社HPにおいて見解をお伝えしました。中居氏が出した声明文においても、当事者以外のもの、すなわち、中居氏と女性以外の第三者が関与した事実を否定しています。ただ、この点につきましても、調査委員会の調査に委ねたいと思っております〉 

 

 郷原氏が続ける。 

 

「通信履歴の調査といっても、社内メールだけを調べたのか、スマートフォンを提出させてLINEのトーク履歴なども確認したのかは分かりません。フジとしては、当事者の言い分を聞いただけでなく、調査した上でコメントを公表したことを強調したかったのでしょう。石原氏の説明は、フジ側の強気な姿勢の表れであり、調査委員会には“念のため”調べてもらうという結論ありきのニュアンスを感じました。やましいことはないという絶対的な自信があるのか、いまさら非を認めるわけにいかないというハッタリなのかは分かりませんが……」 

 

 だからこそ郷原氏は、今回の会見の次の展開を注視している。一般的に、企業が調査委員会のメンバーを選ぶのにかかる時間は数日程度。1週間たってもメンバーが公表されなければ、「何か公にしづらい事情があるのでは?」「ほとぼりが冷めるのを待っているのでは?」という疑念を持たれても仕方がないという。 

 

 会見では、委員会メンバーについて「決まった段階でお伝えしたい」と答えるにとどめたが、不祥事対応はスピード勝負。フジテレビの“本気度”が試されている。 

 

(AERA dot.編集部・大谷百合絵) 

 

大谷百合絵 

 

 

 
 

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