( 252199 )  2025/01/20 05:05:12  
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2025年1月14日時点でのガソリン価格は高騰しており、レギュラーガソリンの店頭現金小売価格は1リッター180.7円。

石油製品価格調査によると、それ以外にハイオクガソリンは191.4円/L、軽油は160.3円/Lとなっている。

ガソリン補助金の減少により、価格上昇が予想されている。

ハイオク車にレギュラーガソリンを給油すると、エンジン性能や燃費が悪化する可能性があるが、使用できる車種もある。

しかし、エンジンを壊すリスクもあるため、メーカーが推奨する燃料を使用した方が良い。

(要約)

( 252201 )  2025/01/20 05:05:12  
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 ガソリン価格が高騰しています。 

 

2025年1月14日時点で、レギュラーガソリンの店頭現金小売価格は1リッター180.7円だが、1月16日にガソリン補助金がさらに減ったために次回統計発表時の1月21日には大幅に値上がりされた数字が予想される 

 

 経済産業省 資源エネルギー庁が2025年1月15日に発表した「石油製品価格調査の結果」によると、1月14日時点のレギュラーガソリンの店頭現金小売価格全国平均は1リッター180.7円となっています。 

 

 同じようにハイオクガソリン(プレミアムガソリンとも呼ぶ。以下、ハイオクで統一)は191.4円/L、軽油も160.3円/Lとなっています。 

 

 これまでガソリン価格が一番高かったのは2023年の9月。レギュラーガソリンは186.5円、ハイオクは197.3円、軽油は165.8円となりました。それでも当時、国から石油元売り各社への「9.7円の“ガソリン補助金”」が含まれており、ガソリン小売り価格の実態は、調査よりはるかに高い水準にありました。 

 

 ガソリン補助金とは、2022年1月にはじまった「燃料油価格激変緩和対策事業」による、国から石油元売り各社等への補助金です。このガソリン補助金は段階的に縮小され、この1月16日からは168円から17円を超える分の補助率がついに0%になりました。 

 

 前出のレギュラーガソリンの店頭現金小売価格データは、このガソリン補助金の補助率がまだ30%あったときのデータ。1月22日に発表される予定のデータでは、レギュラーガソリン価格が5円程度上がると見込まれています。 

 

※ ※ ※ 

 

 ここまでガソリンの値段が高くなると、なんとか安くなる方法はないのか? と考えることもあるでしょう。 

 

 そこで思いつくのは、ハイオクの代わりにレギュラーガソリンを使うという方法です。この技はレギュラー仕様のクルマでは使えませんが、ハイオク仕様のクルマのオーナーであれば、誰もが考えつく方法です。 

 

 では、実際にハイオク仕様のエンジンに、レギュラーガソリンを入れるとどうなるのでしょうか? 

 

 まず最初に理解しておきたいのは、レギュラーとハイオクの違いです。 

 

 この2つの違いは「オクタン価」にあります。JIS規格ではレギュラーが89.0以上、ハイオクが96.0以上と定められています。そしてオクタン価とは、燃料のノッキング(異常燃焼)のしにくさを示すもので、数字が大きいほどノッキングしにくくなります 

 

 

写真:VAGUE 

 

 そのため、オクタン価の高い=ノッキングしにくい燃料ほど、より高い圧力&温度で燃焼させることができるため、高性能エンジンの多くに、ハイオクガソリンの使用が指定されているのです。 

 

 ちなみに、エンジン内でノッキング(異常燃焼)が発生すると、最悪、エンジンが破損してしまいます。その対策として、量産車のエンジンには、ノッキングを防止する装置が組み込まれています。 

 

 これは、いわゆるリタードと呼ばれる仕組みで、点火タイミングをズラします。正常な状態では、ピストンがシリンダー内の空気と燃料をもっとも圧縮したときに点火を行います。ぎゅっと一番に圧縮したときに燃焼させるので、もっとも大きなパワーが生まれます。 

 

 ところが、オクタン価の低い燃料だと、点火前に勝手にあちこちで燃焼してしまいます。この異常な燃焼がノッキングです。放っておくとエンジンが壊れるので、もっとも圧縮したタイミングではなく、少しズラして、あまり圧縮していないときに燃やそう…それが、リタードという手法です。 

 

 ただしこの方法では、ノッキングこそしませんがパワーが出ません。また、燃え方がベストではないので、燃費も良くないし、排気ガスも汚れてしまいます。ノッキングしないというだけで、その他には良いことがないのです。 

 

 だからこそ、自動車メーカーは、「ノッキングしないようにハイオク仕様のクルマにはハイオクガソリンを使ってほしい」と訴えているのです。実際に、自動車メーカーが用意する「主要諸元」や「取り扱い説明書」には、ほぼ確実に「指定以外の燃料は補給しないでください」と明記されています。 

 

日本を代表するスーパーカー、日産「GT-R」の説明書には「超高性能エンジンのため、オクタン価100以上の無鉛プレミアムガソリンをお使いください」と書いている 

 

 日産が誇るスーパースポーツの「GT-R」などでは、さらに明確に「超高性能エンジンのため、オクタン価100以上の無鉛プレミアムガソリンをお使いください。オクタン価99以下の無鉛プレミアムガソリンを使用すると、エンジン出力低下などの現象が発生することがあります。オクタン価96以下のガソリンや軽油、有鉛ガソリン、粗悪な燃料(高濃度アルコール含有燃料など)を使用するとエンジンを破損するおそれがあります。(レギュラーガソリンのオクタン価は91程度です。)」とあります。 

 

 つまり、レギュラーガソリンは絶対にダメ!と言っているのです。さすが、スーパースポーツの超高性能エンジンです。 

 

 ではすべてのハイオク仕様車がダメかといえば、じつはそうではありません。マツダ「ロ—ドスター」の諸元表には「無鉛プレミアムガソリンが給油できない場合、無鉛レギュラーガソリンも使用できますが、エンジン出力低下などの現象が生じます」との記載があります。ハッキリと、レギュラーガソリンでも仕方ないけど使えます、というのです。 

 

 また、トヨタ「スープラ」の取扱い説明書には、「プレミアムガソリンを使用してください」とある一方で、「さまざまな品質のガソリンを給油することができます」「最低品質の燃料を使用しても、エンジンの耐久年数は変わりません」「最低品質 無鉛レギュラーガソリン(オクタン価91)」とあります。 

 

 プレミアムガソリンを使ってほしいけど、レギュラーガソリンでも壊れないよ、というわけです。 

 

 

 じつはハイオク仕様のクルマでも、一方で「厳密にハイオクじゃないとダメ」というものもあれば、また一方で「レギュラーも使えます」というクルマもあります。この違いができるのは、主にクルマのキャラクターが理由だと考えられます。 

 

マツダ「ロードスター」の諸元表には「無鉛プレミアムガソリンが給油できない場合、無鉛レギュラーガソリンも使用できますが、エンジン出力低下などの現象が生じます」との記載がある 

 

 日産GT-Rは、性能を最優先した日本が誇るスーパースポーツカーです。 

 

 もしかするとリタードではカバーできないほど、緻密で繊細なエンジン設計をしているのかもしれません。一方、トヨタ・スープラとマツダ・ロードスターは、スポーツカーといえどGT-Rと比べればもう少し、身近な使われ方を想定するクルマ。そこに違いが生まれたということでしょう。 

 

 ちなみに、一般的なハイオク仕様の普通車が、GT-Rほどに高性能なエンジンであるとは考えられません。 

 

 スープラやロードスターが大丈夫なのですから、ハイオク仕様にレギュラーガソリンを使っても、エンジンが壊れることはないはずです。 

 

 ガソリン小売の会社のホームページにも「レギュラーガソリンを使用しても車の故障につながるような不具合は発生しないと考えられます」とあり、JAFのホームページにも「最近のハイオクガソリン仕様車は、レギュラーガソリンを入れても直ちにエンジンが壊れるといったことはほとんどありません」とあります。 

 

 ただし「それなら安いレギュラーにしよう」と思うのは早計です。 

 

 ハイオク仕様のエンジンは、ハイオクを使ったときに、本来の性能が発揮できます。 

 

 ノッキングしないように燃焼のタイミングをズラしていては、想定されたパワーも出ないし、排気ガスも汚れ、燃費性能だって悪化します。もしかすると、ハイオクとレギュラーの価格差以上の悪化になってしまうかも。さらに、絶対に壊れないというわけでもありません。 

 

 つまるところ、「ハイオク仕様車にレギュラーを入れるのは、まったくもっておすすめできない」。それが答えになるはずです。ガソリン小売の会社もJAFも、同様に「壊れないけど、おすすめできない」という内容がHPに記載されています。 

 

※ ※ ※ 

 

 ちなみにガソリンスタンドには、レギュラーとハイオクの2種のガソリン以外にも、軽油、灯油などが販売されています。 

 

 ガソリンエンジン車に対して、軽油もしくは灯油を入れるとエンジンが破損します。 

 

 また、ディーゼルエンジン車は逆に、軽油が指定燃料となります。ですから、ディーゼルエンジン車にレギュラー、もしくはハイオクガソリンを入れると、これまた確実にエンジンが壊れてしまいます。 

 

 こちらの間違いは、絶対にダメということになります。 

 

「間違えて給油してしまった!」というときは、絶対にエンジンを始動しないこと。それでも、燃料タンクからパイプ類すべての清掃、もしくは交換が必要になります。 

 

 万一、エンジンを始動してしまったときは、相当な額のエンジン修理費を覚悟しましょう。それだけ燃料の給油間違いは大きなミス。要注意です。 

 

VAGUE編集部 

 

 

 
 

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