( 253601 ) 2025/01/22 18:17:18 0 00 アフロきゃべつ
年をまたいでも高騰し続けるキャベツの価格。12月の時点で店頭の価格は、例年のおよそ3.3倍の453円/kgを記録している。
世田谷区奥沢にある「とんかつ鉄(くろがね)」の店主・武田幹朗さんに話を聞くと、キャベツの値上がりについて認識しながらも、「だからと言って買わないわけにはいかない」と胸中を吐露した。
店内には「フードロスにご協力ください。召し上がらないものは事前にお伝えください」という張り紙も。武田さんは「一切手をつけないお客さんもいるので、けっこう協力してくれる人が多い。(キャベツを)残す人がいっぱいいますから、食わないんだったら言えよって思うけど、これをやってから言ってくれるようになった」と、効果があることを明かした。
アフロヘアーが特徴のキャベツ農家・坂尾英彦さんは「アフロきゃべつ」を収穫していた。アフロきゃべつは、千葉県銚子市で栽培され、潮風に含まれるミネラルを吸収した強い甘みが特徴で多くの人に愛されており、12代目になる坂尾さんは家族代々農業を営み、約12,000坪、およそ東京ドーム1個分の畑でキャベツを生産している。
そんな坂尾さんは「例年の10分の1くらいの収穫量。収穫も大体1ヵ月近く遅れている」と現状を明かし、「『(値段)そんなすんの?』みたいな感じ。キャベツは高級食材になってしまった」とコメントした。
キャベツ作りの工程
キャベツ作りはまず種をまき、苗をつくる。1ヵ月程度経過したところで苗を畑に植え直し、さらに3~4ヵ月かけて葉を大きくするという。
半年近い歳月をかけて作られるキャベツだが、値段の高騰の原因について尋ねると「異常気象。苗を植えた直後に大雨になって、ここが湖みたいになっていた。そうすると根がもう水に浸かっちゃっているので大きくならない。そのあと乾燥して土が固まってなかなか大きくなれない」と坂尾さんは説明した。
キャベツの産地リレー(関東の場合)
さらに「銚子が駄目になると、全国的に産地リレーしているので、それがつながらなくなる。間が出てきてしまう」という。南北に広い日本では、季節によって産地を変えながら集荷することで、リレー形式で安定的に野菜を供給しているそう。
しかしその体制が崩れているそうで、「例年だと銚子産がもっと出るはずなのに、銚子産が出ない。リレーができなくなっているというのが現状。間が出来てしまって、供給量が少なくなるから価格が高騰する」と語った。
出荷時期がズレることで売りに出せる個数が減少するが、利益を下げたくない仲買人や小売業者が普段と同等の利益を残すために1個あたりの販売価格を上乗せしていく。これがキャベツ高騰の要因だ。
坂尾さんは「箱代、肥料代が上がった。上がっているけど生産者だけそれを価格に転嫁できない。生産するコストがどんどん上がっているのに売値だけは不安定。これでは農業をやらない。みんな辞める、こんなんじゃ」と嘆いた。
しかし坂尾さんはアフロきゃべつの魅力を自ら発信すべく、朝収穫してその足でベーカリーへ運搬。ベーカリーではアフロきゃべつを使った新感覚のパンを販売するなど、積極的な取り組みをしている。「ダントツに甘みがある。すごい美味しいなと思っていたので今回機会があったのでお願いした」(ごちそうパン ベーカリー花火・神作秀幸さん)
坂尾さんは「こんなにキャベツが野菜としてフォーカスされることは今まであまりなかったと思うので、うちの中では『キャベツチャンス』と言っていて『今だ!』みたいな感じ。うちの作る野菜は“人と出会うためのきっかけ”。一緒に農業体験したりとか、人と関われるきっかけとして、自分たちの作った野菜がつながっていくといいなと思っている」と前向きに語った。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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