( 254339 )  2025/01/24 05:17:52  
00

夕暮れや夜間にライトを点灯していないクルマを見かけることがありますが、ライトを点けないと他のクルマや歩行者に自分の存在が気づかれず、事故のリスクが高まります。

道路交通法では夜間はライトの点灯が義務付けられており、無灯火違反は取り締まりの対象になります。

それにもかかわらず、近年無灯火のクルマが増えている理由として、LED街灯やデイライトなど、環境が変化しており、ドライバーが気付きにくくなっていることが挙げられます。

さらに、オートライト機能の普及により、自動的にライトが点灯するクルマも増加しています。

車を運転する際は、自らライトを点灯することや状況に応じた適切なライトの使用が重要です。

(要約)

( 254341 )  2025/01/24 05:17:52  
00

 夕暮れや夜間、まわりのクルマはライトを点けているのに、ポツンと1台だけ周囲に溶け込むようにライトを点けていないクルマを見かけることがあります。 

  

 なぜライトを点け忘れてしまうのでしょうか。また、ライトをつけないとどのような違反になってしまうのでしょうか。 

 

危険な無灯火ドライバーのイメージ[画像:PIXTA]。 

 

 そもそも、なぜライトを点けなければならないのでしょうか。ここでライトの役割を考えてみます。 

 

 運転時、前方を照らすことはもちろんですが、もしかすると市街地では「ライトなんかなくても前見えるじゃん」と思うかもしれません。 

 

 しかし、自分は見てていても周りからはどうでしょうか。夕暮れや夜間になると、日の光りがなくなります。 

 

 市街地ではネオン看板や信号、街灯など、電球が仕込まれて明るくなっているものと、光が当たらないものでは明暗の差が広がります。 

 

 さらに、周りのクルマがライトを点けていると、ライトを点けていない(すなわち無灯火)のクルマは、ほかのクルマや人からみると、ほかの景色に溶け込んでしまうのです。 

 

 そうすると、街なかでほかのクルマが行き交うなか、横のクルマから発見が遅れたり、歩行者や自転車からも“存在”が気づかれにくく、ぶつかるまで分かりません。 

 

 これを防ぐために、夜間はライトを点灯するのです。「見えるからライトを点けなくて大丈夫」ではなく、「ほかのクルマから見つけてもらうために、アピールのために点ける」が正しいのです。 

 

 また、ライトを点灯することは道路交通法にも明確に定められています。 

 

 同法第52条では、「車両等は、夜間、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあっても、同様とする。」と定められています。 

 

「夜間」とは「日没時から日出時まで」のことをいい、実際の時間に関わらず日没以降に無灯火で走行すると、「無灯火違反」として取り締まりの対象です。 

 

 無灯火違反は違反点数1点に加えて、普通車で6000円の反則金が科されます。 

 

 

 では、なぜ近年、無灯火のクルマが増えてきたのでしょうか。その理由はさまざまなものが考えられます。 

 

危険な無灯火ドライバーのイメージ。 

 

 近年はクルマのライトだけでなく、街灯にもLEDが多く採用されており、街灯が多く設置された交通量の多い道路では、自分のクルマのライトがついていなくても、ある程度視界が確保されるため、無灯火のまま走行してしまうことが挙げられます。 

 

 また、そもそもドライバーが「無灯火状態」で走行していることに気づいていないかもしれません。 

 

 なぜならば、クルマのメーターパネルで常時点灯タイプのものが増えたことです。 

 

 従来のメーターは、ライトをオンにすることでメーターパネルも照明がつく仕組みだったため、「メーターが見えにくいからそろそろライトを点けなきゃ」という発想に至ります。 

 

 しかし、現在主流の「自発光式メーター」というタイプのメーターは、クルマのキーをオンにすると、昼夜問わずメーターの文字や針が発光しています。 

 

 そのため、「メーターの暗さ」をライト点灯のタイミングと見ていた人からすると、 

ライトのオン・オフタイミングの判断がしづらいという側面があります。 

 

 さらに、それ以外にも、「デイライト」を搭載したクルマが増えたことが挙げられます。 

 

 デイライト(デイタイムランニングライトなどとも)は、昼間など周囲の明るさに関わらず、常時一定のライトが点灯する機能です。 

 

 これによって「十分ライトがついている状態だ」と勘違いしてしまうこともあるようです。 

 

 しかし実際には、デイライトはフロントだけの機能であり、テールランプやナンバー灯などは点灯せず、フロントもロービームの明るさよりも暗いことがほとんどです。 

 

 一方、こうした「無灯火車」に対しては、国も動きを見せています。 

 

 2016年10月の保安基準改正により、2020年4月以降に販売される新型車および2021年10月以降の継続生産車には「オートライト機能」の搭載が義務化されました。 

 

 これは、ヘッドライトのスイッチを「AUTO」に設定しておけば、ドライバーが操作しなくても、明るさのセンサーが感知してライトのオン・オフを自動的に切り替えてくれる仕組みです。 

 

 特に近頃のクルマはオートライト機能をオフにできない、つまり常時オートライト機能が作動しているクルマも増えており、ドライバーが「まだ明るい」と感じていても、センサーによってライトが点灯するため安心です。 

 

 ただし、普段オートライト機能のついたクルマに乗っている人が、機能のないクルマに乗った場合には、ライトをつけるタイミングを迷ったり、そもそも点け忘れたりすることもあります。 

 

 ほかにも、停車した時に、対向車が眩しくないようにとスモールライト(車幅灯、ポジションランプとも)に切り替える人で、発進する時にオンにするのを忘れて、スモールライトのままで走行してしまうことがあります。 

 

 スモールライトは車幅灯や尾灯が点灯するため、周囲に自分のクルマの存在を知らせる効果はありますが、自分の視認性の確保には明るさが不足することになり、周囲の明るさによっては違反となることがあるため、よく確認しましょう。 

 

※ ※ ※ 

 

 日没の前後1時間の薄暮時間帯は、特に交通事故が多く発生しているといいます。 

 

 これは、徐々に暗くなる景色に目が慣れていなかったり、この時間帯は人の流れも増えてくるためです。 

 

 ライトをつけることは、自分の視界を確保するだけでなく、周囲のクルマや歩行者、自転車などに自分のクルマの存在に気づいてもらうためでもあります。 

 

 オートライト機能を積極的に活用するか、手動で操作する場合は意識的に早めにライトをオンにすることが大切です。 

 

くるまのニュースライター 市川ミナミ 

 

 

 
 

IMAGE