( 254619 )  2025/01/24 16:58:57  
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2025年の春闘が始まり、連合は5%以上の賃上げを要求しており、中小企業には6%以上を求めている。

経済全体に賃上げが定着するかが問われる状況で、労使が高水準の賃上げを目指す方向で一致している。

中小企業への賃上げ目標では意見の差があり、格差是正に向けた課題も浮かび上がっている。

春闘において賃上げの余力が乏しい中小企業や格差是正の課題が残る中、労使交渉が具体的な議論に進展するかが今後の焦点となる。

(要約)

( 254621 )  2025/01/24 16:58:57  
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経団連と会談する連合の芳野友子会長=22日午前、東京都千代田区 

 

 2025年春闘の火ぶたが切られた。連合は高水準の賃上げを実現した前年に続き、基本給を底上げするベースアップ(ベア)を含め5%以上の賃上げを要求。特に中小企業については6%以上を求め、大手との賃金格差をどこまで縮められるかが焦点となる。今春闘は、物価高が長引く中で大幅な賃上げが日本経済に広く定着するかどうかの試金石となりそうだ。 

 

 ◇中小目標で温度差 

 「春闘とは、春に共に行う共闘だ」。経団連の十倉雅和会長は22日、連合の芳野友子会長と東京都内で会談し、こう呼び掛けた。従来の春闘では、労使で主張を闘わせるのが常だったが、潮目は変わりつつある。 

 

 近年の春闘では高水準の賃上げを獲得してきたが、実質賃金は物価高を反映して低迷が続く。両者はこうした情勢を踏まえ、25年春闘で高水準の賃上げを目指すことや、賃上げの原資を捻出するために価格転嫁を推進していくことで一致。会談後に取材に応じた芳野会長は「労使で考え方はおおむね同じ方向を向いている」と満足げに語った。 

 

 ただ、中小企業の賃上げ目標を巡っては温度差も見られた。連合は中小労働組合で全体よりも高い数値を掲げ、金額ベースでは1万8000円以上の賃上げを要求している。経団連が「チャレンジングな目標」と突き放すのに対し、連合は「『運動論として理解できる』では困る。結果が大事だ」(幹部)と達成にこだわる姿勢だ。 

 

 ◇「古い慣習」脱却を 

 連合が中小で一段高い目標を掲げた背景には、企業規模間の格差に対する危機感がある。24年春闘では、賃上げ率の加重平均が全体で5.10%と33年ぶりの高水準に達した一方、組合員数が300人未満の中小は4.45%にとどまった。 

 

 格差是正のためには、「道半ば」(芳野会長)とされる価格転嫁の推進が欠かせない。金属・機械産業が中心の「ものづくり産業労働組合(JAM)」の安河内賢弘会長は「(値上げできないという)古い慣習にとらわれた経営者に目を覚ましていただかなければならない」と訴える。 

 

 流通や外食などで構成し、中小やパート従業員を多く抱えるUAゼンセンの永島智子会長も「今春闘で、格差拡大に歯止めをかけることが非常に大事だ」と強調した。 

 

 ◇乏しい賃上げ余力 

 ただ、格差是正がすぐに実現できるかは不透明だ。みずほリサーチ&テクノロジーズの服部直樹氏は、今春闘の賃上げ率を全体で5%前後、中小は4%台前半とそれぞれ予想。業績が改善していないにもかかわらず、人手を確保するための「防衛的賃上げ」を繰り返した中小の余力は少ないとして、「格差は依然として残る」と分析した。 

 

 政府も下請法の早期改正を目指すほか、地方版政労使会議を開催するなど賃上げの機運醸成に努めている。地ならしは進みつつあるが、今後本格化する労使交渉で、どこまで具体的な議論に踏み込めるかが賃上げ定着のカギを握る。 

 

  

 

 ◇2025年春闘を巡る主な日程 

1月22日 連合と経団連がトップ会談 

  23日 電機連合が統一要求方針決定 

  31日 経団連労使フォーラム 

2月 6日 連合が闘争開始宣言 

   中旬 大手企業の労働組合が経営側に要求提出 

3月12日 大手企業の集中回答日 

  14日 連合が第1回回答集計結果発表 

   後半 中小企業の労使交渉ヤマ場 

 

 

 
 

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