( 254639 )  2025/01/24 17:22:53  
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名古屋市内と大阪市内間を移動する際、新幹線のぞみ号が主流だが、近鉄特急「ひのとり」も人気がある。

ひのとりは快適さや低価格が魅力で、所要時間は新幹線よりも長いが、移動中にリラックスした時間を過ごすことができる。

特急料金は新幹線の半額以下で、外国人観光客にも人気がある。

予約は混雑するため、早めに行うのがおすすめ。

(要約)

( 254641 )  2025/01/24 17:22:53  
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 東京や福岡など他地域に住んでいる人にとって、名古屋市内と大阪市内という2大都市圏の移動は「東海道新幹線一択では?」と考えるのがふつうでしょう。 

 

 新幹線「のぞみ号」を使えば、名古屋駅から新大阪駅までの所要時間はわずか49分。 

 

 ところがその新幹線をあえて使わない、別のルートも根強い支持を集めています。それは「近鉄特急」です。 

 

近鉄特急「ひのとり」のプレミアムシート。新幹線のグリーン車よりも圧倒的に快適に移動することが可能だ 

 

 東海道新幹線が停車する新大阪駅は、大阪市の北の端にあるため、新幹線を降りてから市内の繁華街に行くには、JRや地下鉄での移動と乗り換えが必要です。 

 

 新大阪駅から大阪市内のいわゆるキタ、大阪駅や梅田駅に行くにはJR東海道本線で4分、大阪メトロ御堂筋線で6分ですが、もうひとつの繁華街であるミナミにあるなんば駅に行くには、御堂筋線で15分かかります。 

 

 乗り換え時間を含めると、新大阪駅で新幹線を降りてから、キタまでは15分程度、ミナミまでは25分程度かかると見ていいでしょう。 

 

 また名古屋駅から新大阪駅までのぞみ号を利用する場合、運賃は3410円ですが、特急料金が自由席で2530円、指定席なら3060円かかり、トータルで5940円から6470円になります。 

 

 じつはこうした「移動と乗り換えの手間」「費用」という新幹線の弱点をカバーできるのが。近鉄特急なのです。 

 

 日本最大の私鉄である近鉄(近畿日本鉄道)は、大阪府、京都府、奈良県、三重県、愛知県に約500kmの路線網を有しています。 

 

 そして同社はこの路線網で、各地を結ぶ特急列車も走らせています。 

 

 そのうちのひとつ、大阪難波駅と近鉄名古屋駅を結ぶ全席指定の特急「ひのとり」および「アーバンライナー」が、じつは新幹線に代わる有力な移動手段なのです。 

 

 人気特急であるひのとりは、近鉄名古屋駅を出発すると、まずは名古屋線を伊勢湾岸に沿って進み、三重県津駅に停車(一部の列車は桑名駅、近鉄四日市駅、白子駅にも停車)、伊勢中川駅手前の短絡線を経由して大阪線に入ります。そのまま布引山地を新青山トンネルで貫き、大和八木駅に停車し奈良盆地を東から西に横切ると、生駒山地を抜け北西に進路を変え鶴橋駅、大阪上本町駅に停車、そして終点の大阪難波駅へと至ります。 

 

 所要時間は最速2時間5分ほどです。 

 

 

 近鉄特急ひのとりの所要時間は、東海道新幹線のぞみ号の名古屋駅-新大阪駅間の49分に比べ1時間以上多くなることから、太刀打ちできないのでは?と思う人がいるかもしれません。 

 

大阪と名古屋を結ぶ近鉄特急「ひのとり」。「くつろぎのアップグレード」をコンセプトとしている 

 

 しかし、新大阪駅を降りた後、ミナミに行くには移動と乗り換えに25分程度かかるため、のぞみ号利用での実質的な所要時間は1時間15分程度となり、大阪難波駅に到着する近鉄特急との差はぐんと縮まります。 

 

 さらに運賃と特急料金の合計は、ひのとりで4990円からと、のぞみ号よりも格安です。 

 

 そしてポイントとなるのが、移動の快適さです。実際にひのとりに乗ってみました。 

 

 ひのとりは基本的に平日は1時間に1本の15本、休日はそれに加えて朝夕に3本プラスの19本が運行されています。平日は、大阪難波発も近鉄名古屋発も、それぞれ毎時00分に出発します。 

 

 今回乗ったのは、レギュラーシートに700円プラスした「プレミアムシート」。横3列(2+1列)の見晴らしのいいハイデッカーです。 

 

 横4列(2+2列)のレギュラーシートでも、シートピッチ116cmという、新幹線のグリーン席並の快適性が特徴ですが、本革を使ったプレミアムシートは、東北・北海道新幹線、上越・北陸新幹線に設定される「グランクラス」と同じくらいのプレミアム感があります。「くつろぎのアップグレード」をコンセプトとしたひのとりならではの車両です。 

 

 プレミアムシートの座席はバックシェル構造のため、どんなに座席を倒そうとも後ろのシートに座る人に迷惑はかかりません。背もたれを最大限倒して電動のレッグレストを伸ばせば驚くほどフラットになり、快適に眠ることもできます。 

 

 全席コンセントもついているため、スマホやパソコンの充電もできます。さらにフリーWi-Fiも飛んでいるため、忙しいビジネスマンなら移動時間にパソコン仕事をすることも可能です。速度は10Mbps程度出ているので、トンネル内以外ならば息抜きにYouTubeなどの動画も問題なく視聴できます。 

 

 ひのとりは外国人観光客にも人気で、この日は平日の15時発という時間帯でしたが、プレミアムシートは満席で、ほぼ半数が外国人でした。 

 

 新幹線のぞみ号の名古屋・新大阪間49分と比較すると、確かに2時間5分の乗車時間は長いのですが、逆にいえば“ぜいたくな”ひとときを過ごすことができます。それが多くの利用者の支持を集めている理由です。 

 

※ ※ ※ 

 

 ひのとり指定席券は、発車の直前まで指定席券がオンライン購入可能というのも、利便性にひと役買っています。 

 

 ただし人気の特急のため、とくに休日のプレミアムシートは時間帯により早々に満席になります。旅行のスケジュールが決まったら、早めに予約をしておくのがベストです。 

 

VAGUE編集部 

 

 

 
 

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