( 255864 )  2025/01/27 04:39:43  
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石油元売り各社へ補助金を支給しての“ガソリン価格抑え込み施策”が進行中で、2025年1月には補助金制度の見直しが行われた。

補助金による影響を受け、1月20日時点のガソリン価格は185.1円と過去最高水準であることが報告されている。

今後、補助金制度が継続される限り、ガソリン価格はこの水準で推移すると予想されているが、トランプ大統領の政策やガソリン税の見直しなどにより、価格下落の可能性も考えられている。

(要約)

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 2022年1月にはじまった「燃料油価格激変緩和対策事業」による、国から石油元売り各社へ補助金を支給しての“ガソリン価格抑え込み施策”が、ようやく終焉を迎えつつあります。 

 

資源エネルギー庁が2025年1月22日に公表した全国ガソリン価格調査によると、1月20日現在のレギュラーガソリン価格はリッター185.1円と前の週から4.4円値上がり、過去最高水準となっている 

 

 この事業は「原油価格の高騰がコロナ禍からの経済回復の重荷にならないよう、ガソリンなど燃料油の小売価格の急騰を抑制する」という目的ではじまり、補助金の額は当初「全国平均ガソリン価格が170円(レギュラー/1Lあたり)以上になった場合、1Lあたり5円を上限とする」というものでした。 

 

 しかし現実のガソリン価格は世界情勢の不安、さらには急速な円安の進展などにより大きく値上がりし、補助金の上限も同年3月には25円、GW以降は35円+超過分の2分の1へと拡大します。そして2023年に入っても、補助上限額の引き下げなどの調整を行いつつ、ずるずると続いていくことになります。 

 

 こうした状況は、2024年12月に行われた見直しで、ようやく大きく動くことになりました。 

 

 これまでの基準価格168円を17円上回る185円以上については全額補助し、17円以下にの部分は補助率を毎月10分の3ずつ引き下げることが定められます。 

 

 そして2025年1月16日以降は新たな基準価格が185円となり、185円を上回る部分の補助率は、月の価格変動が5円程度となるよう、原則月3分の1ずつ見直すというルールへとあらためられたのです。 

 

 ではこの2025年1月の見直しで、ガソリン価格はどう変動したのでしょうか。 

 

 石油情報センターが公開している「給油所小売価格調査」によると、1月20日のレギュラーガソリンの全国平均小売価格は185.1円で、前週の180.7円から4.4円の値上がりとなっています。 

 

 もちろん、ガソリン価格は補助金のほか、市況など他の要素によっても変動するため、この値上がりが補助金の減額だけによるものと断定はできませんが、大きく影響したことは間違いないでしょう。 

 

 そして185円を超えたのは、2023年8月から9月にかけての調査以来で、補助金のない時期との比較では、2008年8月、石油需給の見通し不安と不透明な中東情勢によるガソリン高騰期と並ぶ水準となっています。 

 

 

 では今後、ガソリン価格はどうなっていくのでしょうか。 

 

いわゆるガソリン補助金によるレギュラーガソリン価格の推移 

 

 国際的な石油価格の指標となるWTI原油先物価格は2024年12月なかばからこの2025年1月なかばにかけて上昇傾向にあり、いったんは1バレルあたり80ドル付近をうかがいましたが、その後やや下落し、70ドル台後半で推移しています。 

 

 政府は補助金の仕組みを見直したものの、支給そのものは継続するとしていることから、原油価格の急騰や円安の加速がなければ、当面のガソリン価格はこの185円程度で推移するものと考えられます。 

 

 とは言え、この水準は先に述べたように、ユーザーが直接支払う価格としてはこれまでの最高値圏と並ぶもので、とくにクルマが必需品で、ひとり1台が当たり前となっている地方では、家計への負担は小さくありません。 

 

 ただその一方で、ガソリン価格が下落に転じるというシナリオも想定されています。 

 

 その理由のひとつ目は、トランプ大統領の就任です。 

 

 トランプ大統領は就任演説でアメリカ国内での化石燃料を増産する方針を強く打ち出し、さらに地球温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ議定書」から脱退する大統領令にも署名しました。 

 

 これがただちに原油の増産に結びつくかどうかは不透明ですが、将来的には原油価格の軟化につながり、それによりガソリン価格が下落する可能性はゼロではないでしょう。 

 

 そしてもうひとつ、これ以上に大きく影響すると思われるのが、ガソリン税の「当分の間税率(暫定税率)」の見直しです。 

 

 2024年12月に発表された与党の「税制改正大綱」には、自民、公明両党と国民民主党との幹事長で合意した「いわゆるガソリンの暫定税率は廃止する。具体的な実施方法については引き続き関係者間で誠実に協議を進める」という文言が盛り込まれました。 

 

 当分の間税率は「1Lあたり25.1円」となっていて、これに消費税が加わるため、もし廃止になればガソリン価格は1Lあたり28円弱、値下がりすることになります。 

 

 しかしながらこの合意および大綱では、廃止の時期については明言されていません。 

 

 ただ2022年からの燃料油価格激変緩和対策事業に使われた予算額は累計で8兆1719億円(軽油、灯油、重油、航空機燃料含む)にも上り、年間のガソリン税の税収2兆2000億円の4倍近くになっていることから、当分の間税率を廃止しても、何ら問題はないのではと思われるところです。 

 

 とくにクルマが必需品となっている地方の声に応えるためにも、当分の間税率の廃止については、早急な実施を願いたいところです。 

 

植村祐介 

 

 

 
 

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