( 256179 )  2025/01/27 18:16:26  
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2024年に発生した能登半島地震をきっかけに多くの人が大地震の恐ろしさを実感した。

南海トラフの巨大地震への警戒も高まっており、大地震から逃れられない時代が到来している。

『首都防衛』という本では、最悪の被害想定や防災に必要なデータ・対策がまとめられている。

 

 

巨大地震発生時に警戒すべきことは建物倒壊や大津波だけでなく、火災も重要だ。

特に木密地域における火災の被害が懸念されており、都市基盤の整備や住宅の建て替え支援が進められているが、まだ課題が残っている。

首都直下地震時の火災被害想定や消火活動の困難さが示されており、今後の対策が求められている。

(要約)

( 256181 )  2025/01/27 18:16:26  
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〔PHOTO〕iStock 

 

2024年1月1日、能登半島地震が発生した。大地震はいつ襲ってくるかわからないから恐ろしいということを多くの人が実感した出来事だった。昨年には南海トラフ「巨大地震注意」が発表され、大災害への危機感が増している。 

 

もはや誰もが大地震から逃れられない時代、ベストセラーの話題書『首都防衛』では、知らなかったでは絶対にすまされない「最悪の被害想定」が描かれ、また、防災に必要なデータ・対策が1冊にまとまっている。 

 

(※本記事は宮地美陽子『首都防衛』から抜粋・編集したものです) 

 

写真:現代ビジネス 

 

巨大地震発生時に警戒すべきは、激しい揺れによる建物倒壊や大津波の襲来だけではない。同時多発的に起きる火災もその一つと言える。 

 

東京都が2022年5月に公表した首都直下地震の被害想定は、最大約11万8000棟で火災による被害が生じ、2482人が犠牲になるとしている。とりわけ注意が必要なのは「木密」だ。 

 

戦後の復興から高度経済成長期にかけて市街化が急速に進んだ人口の多い都市部には、木造住宅が密集する木造住宅密集地域(木密)が多くみられる。 

 

国土交通省は2021年3月に閣議決定された「住生活基本計画」で著しく危険な密集市街地を解消するとしているが、地震発生時に火災が燃え広がる危険性が高い「危険密集市街地」は全国に2219ヘクタールある。 

 

木造住宅が軒を連ねる地域は、道路や公園などの都市基盤が不十分なことに加え、消防車や救急車といった緊急車両の進入が困難なところも少なくない。 

 

東京都は延焼を遮断する道路整備や老朽化した住宅の撤去、建て替え支援などを進め、市街地の燃えにくさを示す指標「不燃領域率」の平均は東日本大震災直後の58.4%から約10年間で65.5%に改善した。 

 

だが、延焼の危険性がほぼなくなるとされる7割には届いていないのが実情だ。木密地域の課題は首都の弱点にもつながる。 

 

東京消防庁が震災時の火災発生危険性をおおむね5年ごとに評価している「地域別出火危険度測定」によれば、地盤が軟弱で地震時に揺れやすい東京23区の東部で総合出火危険度が高い。 

 

なかでも繁華街が目立つ台東区から中央区、港区北部、木造住宅の密集が著しい墨田区、江東区、荒川区で出火危険度が高かった。 

 

同庁が消防隊や住民による消火活動を考慮せず、墨田区京島地区で同時に4件の火災が発生したシミュレーション(震度7・風速8メートル)を実施した結果、延焼により6時間後には8万6352平方メートル、東京ドームおよそ2個分の面積が焼失すると試算された。 

 

東京都による首都直下地震の被害想定では、最も被害が大きい「都心南部直下地震」が冬の午後6時に発生した場合には都内の総出火数が915件に上り、そのうち初期消火ができずに623件が炎上し、延焼していく。同時多発的に火災が発生し、さらに木密地域であれば消火活動も難しいのは言うまでもない。 

 

つづく「『まさか死んでないよな…』ある日突然、日本人を襲う大災害『最悪のシミュレーション』」では、日本でかなりの確率で起こり得る「恐怖の大連動」の全容を具体的なケース・シミュレーションで描き出している。 

 

宮地 美陽子(東京都知事政務担当特別秘書) 

 

 

 
 

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