( 256641 ) 2025/01/28 16:56:07 0 00 資源エネルギー庁が発表したレギュラーガソリンの全国平均価格によると、2024年12月2日時点では175.4円/Lであったのに対し、2025年1月6日時点では180.6円/Lとなっています。
およそ1か月のあいだに1Lあたり5.2円もの価格上昇が起こった最大の理由は、ガソリンに対する補助金が縮小されたこと。
これまでは、レギュラーガソリンの全国平均価格が170円/Lとなった場合に1Lあたり5円を上限に石油の元売り会社に補助金が支給されていました。
しかし、2024年12月19日以降は補助の範囲が縮小となったことで、補助金に相当する部分の価格が上昇したものと考えられます。
それにくわえて、1月16日以降はさらに補助範囲が縮小される予定となっていることから、ガソリン価格のさらなる上昇は避けられないでしょう。
ガソリン価格の高騰は輸送コストの上昇にも影響することから、あらゆるものの価格が高騰する可能性がある
ガソリン価格の高騰は、バイクやクルマを持つユーザーに直接的な影響があることはもちろんですが、輸送コストの上昇にも影響することから、あらゆるものの価格が高騰する可能性があります。
そのため多くの人はガソリン価格が下がる事を望んでいるわけですが、そこで指摘されているのがガソリン価格の内訳。
店頭価格が180円/Lの場合、ガソリンそのものの価格(原油価格と精製・輸送・販売コストなど)は108円ほどにすぎず、残りはいわゆるガソリン税が53.8円(本則税率が28.7円、暫定税率が25.1円)、石油・石炭税が2.8円、そして消費税が約16円を占める計算となります。
このように、ガソリン価格のおよそ40%を税金が占めており、極端に言えばガソリンに関する税金をすべて免除することで、ガソリン価格は108円/L程度まで引き下げられる可能性があるという訳です。
こうした現状に対し、インターネット上では「補助金を支給するぐらいならガソリン税を減税してほしい」、「特に地方部ではバイクやクルマが生活必需品なので、ガソリン税を下げるべきだ」といったコメントがあふれています。
一方で、これまでガソリンに関する税金が大幅に引き下げられたという事例は皆無です。
この点について、政府の怠慢を指摘したり石油の元売り会社などに対する利権の存在がささやかれることも少なくありません。
しかし、実際には「日本が産油国ではない」ということこそが、その最大にして唯一の理由と言えます。
日本は石油のほぼ全量を輸入に頼っており、そのなかでも中東からの輸入がおよそ90%を占めている
日本は、石油のほぼ全量を輸入に頼っており、そのなかでも中東からの輸入がおよそ90%を占めています。その一方で、日本は世界有数のエネルギー消費国でもあります。
こうした石油依存の状況のなかで、ガソリンの消費をうながすような政策を取ってしまうと、それこそ国家存亡の危機につながりかねません。
たとえば、中東で政変が起こったり、あるいは石油輸入のルートを悪意ある第三国に破壊されたりすれば、日本のエネルギー安全保障は即座に失われてしまいます。
もちろん、そうしたことが起こらないように政府や関連企業は多額の費用を投入してきました。
その結果、日本は非産油国であるにもかかわらず、全国各地でペットボトルの水とそう変わらない価格でガソリンを手に入れることができるようになった訳です。
ガソリンに関する税金が複雑であることは事実ですが、日本の置かれた状況を考えると、将来的な減税はほとんど期待できないのが実情です。
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ガソリン補助金は正式名称を「燃料油価格激変緩和補助金」ということからもわかるように、あくまで急速な価格高騰を緩和させるためのものであり、ガソリン価格そのものの引き下げを目的としたものではありません。
実際、政府も「(ガソリン補助金は)小売価格の高騰を避けるための制度であり、価格を引き下げる制度ではありません」と明言しています。
ガソリン補助金が終了することとなった背景には、産油国における原油価格の変動が落ち着きつつあることがあります。
一方、日本では円安基調が続いていることや、人件費などのコスト増加などの理由から、ガソリン価格そのものは今後も高止まりすると見られています。
ただ、日本が産油国ではない以上、政府や企業の力をもってしてもこの潮流は簡単には止められません。
結局のところ、国民ひとりひとりが自衛していくほかなさそうです。
Peacock Blue K.K.
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